表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/158

猛毒ウェルズ=アルバート④

「周囲が真っ暗だった。本で読んだりしていたが、やはり死ぬ時とはともしびが消えるのと同じものなのだと分かったよ」


「そんなものか?」


 死んだ事がないデュマやガストーには、いまいちぴんと来なかった。ハシュクは興味津々に話に聞き入っていた。


「だけどな、俺は死ぬのと引き換えに特殊能力に目覚めた」


「なんだって?まさか生まれ変わりが能力だというのか?」


「今日はなかなかえているじゃないか、デュマ。正解だ。俺の能力は死ぬことで発動する『転生』だ。普段は意味ないが、死ぬ事によって、いくらでも新しい肉体に生まれ変わる。素晴らしいだろう?」


 笑いかけたバルザックの表情に、デュマ達は気圧された。考えてみれば便利な能力であるのは間違いない。なぜなら彼の能力は、前世の記憶がしっかりと叩き込まれている。つまり、以前やり損ねた事を今度はできるかもしれないのだ。もちろん生まれた地位にもよるが、前世の知識があるので、なんとか克服できるはずである。


「まだ尋ねてもいいか?」


「どんどん質問しろ、デュマ」


「そんな不思議な能力を持っていて、前世の知識があるのなら、どうしてクルアン王国で改革を行ってくれなかったんだ?」


「やろうとしたさ。だけど、絶対に行動できない理由があった」


「それは?」


「パリスがいたからだ」


「あいつが?」


 クルアン王国ではラスティの子飼いの将軍であり、ついこの間、反乱軍に合流したかと思えば、セイウンを連れて旅に出てしまった。つかみどころの無い男である。確かに騎兵のさばき方はうまかったし、セングンからも信頼を得ていたから尋常な人物ではないのは間違いない。だが、クルアン王国では格別凄い働きをしていた形跡は無かった。


 怪訝な表情のデュマにバルザックは無理もないという感じで頷いた。


「お前が疑問に思うのも当たり前だ。これは俺とあいつの因縁の問題だからな」


 はっとして、デュマは顔を上げた。表情から少し感づいたようである。一緒に聞いていたガストーも同じだった。彼の額から流れた汗はしずくとなって、床にぽたりと垂れた。ハシュクは、ますます興味がいてきたらしく、腕を組んで真剣に聞き入っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ