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父と娘②

 エレンが城の男達にとって、憧れの的であるのは有名だった。


 というより、残党の村にいたころから知っていた。村で彼女は、人の嫌がることを平気な顔でしたり、人当たりもよかった。それが男達の心を射ぬいたのである。


 無論、美人だからというのもあるはずだ。いつの間にかエレンを崇拝する秘密結社ができており、レジストはその結社の代表に就任していた。


 サイスもあと二十年ほど若かったら、レジストと同じようになったかもしれなかった。


 エレンを妻にしているセイウンは、嫉妬に狂った男達の標的だった。毎日、怪文書を送りつけられているらしい。


 レジストが出て行くためにドアに手をかけた途端、逆にドアが外側から開いた。


「やあ、みんな。おはよう」


「申し訳ありません、みなさん。遅れました」


 セイウンとエレンが入って来た。


「そんな所に立ってどうした、レジスト?もしかして俺を迎えに行こうしてくれたのか?嬉しいぜ、友よ」


「うるさい、お前は引っこんでいろ!エレン嬢、大丈夫でしたか?」


「私はなんともないけど」


「本当ですか?俺に心配をかけまいと、嘘をついてないでしょうね?」


「別に嘘はついてないわよ。そもそも、どうして私が嘘をつかないといけないの?」


 疑問に思ったエレンは首をかしげた。彼女は自分を崇拝している秘密結社が存在していることなどつゆほども知らなかった。知らない方が絶対に本人のためだった。


「ようやく来てくれたか。待ちくたびれたぞ、セイウン」


 セングンが言った。


 ハシュクも、やれやれという感じの表情だった。


「悪い、悪い。ちょっと野暮用が入ってしまってな」


「野暮用というのは、その顔の赤い手形か?」


 セングンがセイウンのほおを指差した。セイウンの左の頬には赤い手形が、くっきりと痛々しく残っていた。どうやら、またエレンの怒りに触れるようなことをしたらしい。


「また胸のことで、エレンの怒りに触れたのか?」


「違う!俺は今回は何もしていない。無実だ!むしろ今回の俺は、被害者なんだぞ」


「おい、みんな。セイウンの言ったことは信用できるか?」


 セングンが周囲を見渡して聞いてみたが、誰一人手を挙げたり、頷く者はいなかった。

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