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三つの約束②

「何だよ?」


「別に」


「俺じゃいけないような顔をしているが、何か悪いかよ」


「気のせいだよ。さっさと適当な席に座ってくれよ」


 舌打ちしたデュマは、近くの椅子に座ると窓に目を向けた。間もなくバルザックとガストー、サイス、ガリウス、レジストもやって来た。


 ところがジュナイドが姿を現さなかった。さすがにセングンもいらいらしてきた。


「ジュナイドはどうした?」


「私が言伝ことづてを預かりました。なんでも先ほどの戦での傷が思った以上に深くて立ち上がれないので、会議は欠席させてほしいと……」


 ガリウスが言ったのと同時に、セングンは机を蹴り飛ばした。大きな音が、部屋中に響き渡った。


「今が、どういう時なのか分かっているのか?何が傷が深いだ!無理にでも出席させてやる!」


「落ち着いてください、セングン殿。あなたらしくないですよ。ジュナイドは放っておいて、とりあえず会議を始めましょう。あいつには後で、内容を伝えればよろしいでしょう。とにかく今は会議が大事です」


 レジストが前に出て制した。そこまで言われると、その通りだと納得するしかなかった。まだ怒りは完全には沈静化してないが、とにかく今は会議である。セングンは自分の席に着いた。


「先ほどレストリウス王国の元帥のロウマから、書簡が届いた」


 一同は驚きを隠せないでいた。セングンは書簡を開くと読み上げた。


「『君達とは元々敵同士ではなかった。たまたま今の状態になったにすぎない。そこで提案がある。降伏してほしい。降伏さえしてくれれば、頭領のセイウン以外は必ず助ける。しかし、降伏しない場合、明日十月二十五日に総攻撃をかける。明朝返事を待つ』以上だ」


 誰も口を開く者はいなかった。予想していた反応だった。しかし、黙っているだけでは何も始まらないので、口を開くことにした。


「みんなの返答を聞こう」


「決まっている。徹底抗戦だ。とにかくこれしかない」


「右に同じだ」


「俺もだ」


 サイスとデュマ、レジストだった。珍しくバルザックが口を挟まなかった。


 どうしたのだろうと疑問に思ったセングンは、バルザックに目を向けたが、彼は合った瞬間に目を背けた。

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