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現れし一軍④

「セングン、今はそういう事態ではないんだ。治療なんか後だ」


「そんなことしてたら、いつか死ぬぞ。自分の体なんだから、もっと大事にしておけ。ハシュクをここに呼んでおいて、正解だったよ」


 結局、軍議の前にハシュクによる治療が先となった。やがて軽い治療が終わったので、軍議を始めることにした。まず話題に出したのは、あの突如現れたロウマ=アルバートの率いる軍隊だった。


「奴がいたなんて情報は、今までどこにも無かったぞ。どう説明するんだよ?」


 デュマは困惑していた。


 しかし、情報なんていくらでも隠せるものだった。おそらくロウマ自身もこっそりと、オルバス騎士団にもぐり込んでいたのかもしれないし、五百の騎兵もどこか別の場所にひそませていたに違いない。


 それにしてもロウマという男は嫌な奴だ。もう少しで完全な勝利をつかめるはずだったのに、それを崩されてしまった。今度会った時は、ただでは済まさないとデュマは心に誓った。


 兵の犠牲は全部で六百ほどだった。


「多いな。これからは、もう少し減らせ」


 セングンがデュマに対して冷たく言い放った。今回の戦の犠牲のほとんどが、デュマの軍からだった。ジュナイドの軍からは出てないに等しかった。


「死人を減らせというのは難しいものだ、セングン」


「デュマ、そうならないように兵を強くするんだ。そのために指揮官のお前がいるんだ」


「よく考えておくよ」


「いや、実行しろ」


 どうやら問答無用のようである。とりあえずデュマは頷くことにした。


 次はグレイスに連れ去られてからのエレンがどうなったのかについてだった。


 エレンを調査したのはハイドンだった。調査した結果は書類にまとめられていた。


「口よりも、目で確認した方が早いでしょう。どうぞ」


 書類を受け取ったセングンは、ゆっくりと時間をかけて一読していった。どれくらいの時間がたっただろうか。頭の中は、信じられない気持で満たされていた。


 エレンは全ての記憶を失ったと記載されていた。今はロウマの屋敷で客分として扱われているようだ。だが、それよりも彼女がグレイスの娘。ということは、敵の娘という事になる。

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