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記憶⑧

 人相書きは、ぐしゃぐしゃにひしゃげていた。


「あいつも怒る時があるのか……」


 セングンは、ぼりぼりと頭をかきむしった。




   ***



 手馴れた包丁さばきだった。料理というものに慣れているのだろうか、次々と魚や肉をさばいてる。驚かされるほどの早業はやわざである。アリスはエレンの行為に目を見張ってしまった。


「どうかしましかたか、アリスさん?」


「随分と料理に慣れているのですね。びっくりしました」


「えっ?あっ、本当だ。分からないけど慣れているんです。どうしてかな?」


「さあ……」


 ナナーとシャリーの三人でロウマを袋叩きにしたアリスだったが、よく見ればロウマが連れて来たのはちょっと前に会った事があるエレンだった。そこでようやくアリス達は、ロウマに対しての誤解を解くことができたのである。しかしすでに遅く、ロウマの顔には無数の腫れや傷ができていた。


 ロウマはわけがあって来てもらったと言っていたが、エレン自身の記憶が欠落しているところから、どうもまともな連れ方をしたわけではなさそうだった。


 だが、そこまでは使用人である自分が関与することではなかった。


 とりあえずエレンには客として屋敷にいてもらうことにした。ところがどうした事かエレンは随分と落ち着きがなかった。


 当たり前だろう。急に見知らぬ所に連れて来られたのだから、落ち着かないはずである。


 アリスはとりあえず、エレンには今日の夕飯の手伝いをしてもらうことにした。


 結果、この状態だった。


「先ほどのは、どうやったらできるのですか、エレンさん?」


「さあ……なんだか知らないけど、体が勝手に動いたの。料理って、楽しいわね」


 エレンは、にこりと笑った。


 この人はクルアン王国で料理人でもしていたのだろうか、とアリスは首をかしげた。試しにエレンが味付けをしたスープを味見してみた。

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