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異世界への招待状  作者: よ~こ
第一章 招待状
6/8

初めての野宿に抗争勃発?





 アキドナへ向かう途中……日が暮れました。


 日が暮れきる前にセンテがキャンプの用意を始めています。


「そう言えば二人とも何も持ってないけど、これまでどうやって旅してきたの?」


「どうやって……適当に? ふらふらと?」


 というか、異世界に来てまだ三日目である。レッドベアーが結構高値で売れたので、野宿用の用具でも集めようとしたところでバトルジャンキーに襲われたので、最終的には何も買っていないためそんな言葉しか出ない。


「あ、でも手ぶらなのはこれがあるから」


 そう言ってスマフォ登場。カバンのアプリや念話機能なんかを説明する。ステータスの機能は教えない……だって浮浪者だよ? しかも伝説の……嫌だよ


「す、すごいね……」


 あ、やっぱり変って顔してる


「まあ、俺も変だとは思うけどね」


 乾いた枝(拾い集めて来ました)を組んで、ライターで火をつける。


 ついでにタバコにも火をつける。


「……何それ」


 センテが驚いた表情を向けていた。


「ん? これ? タバコだけど?」


 そういや、この世界だと始めてだな吸うの……なんかいろいろとあった所為で美味いなぁ……


「いや、そうじゃなくて……ってそれってタバコなの? 紙で巻いてあるんだ? いや、そうじゃなくて」


 大事なことなのか? 二回言ったし


「……何それ?」


 そう言って指差したのはタバコと反対の手に持っているジッポーライター(伝説ver)である。ちなみにタバコも(伝説ver)である。


 なんか、一本取り出すと新しいのが増えてるらしく、ライターの方もオイル切れやらが無いそうです。※図鑑参照


「ライターだけど?」


「ちょっと見せて!!」


「え? ああ、良いけど?」


「うわぁ、何これ綺麗」


 外装を眺めている姿は宝石何かを見る女の子の表情でした。


 ちなみに俺のライターはブラックアイスと呼ばれる色で、黒と銀の中間のような色合いをしている。端の方に猫の様なトライバルタトゥーが深堀されたデザインだ。


「そういえば、さっき火付けてたけどどうやったの?」


「ああ、ちょっと返してくれ。こうしてこう」


 ライターの蓋を開け、フリント・ホイールを回して火をつける。


「へぇ、すごい。こんなからくり見たこと無い。それにそのタバコの匂いも不思議……」


 タバコは死神の絵柄の入った黒いパッケージでDeathと書かれた物だ。タバコ自体は黒く細長い紙タバコで、そのブラックジョークさが気に入ってハマったタバコだ。香りは甘く、味はとげとげしさの無いマイルドな味わいである。ただ名前の所為で廃止しかけたが……(※実際にはこんなタバコありません。あったら作者がほしいです)


 ちなみにこの世界でのタバコはパイプや煙管の様な物が主流である


「まあ、それはそうとそろそろ飯にするか……」


 タバコの甘いにおいに惹かれてか……魔物が一匹近づいて来る気配があった。


 レッドベアーを殺したことで殺す覚悟は出来ているため、あっさりと狩ることに成功する。


 近づいて来ていたのは一匹の狼、間合いを詰めて喉を掴んで潰し、そのままひっくり返して頭をつぶした。


「はぁ……やっぱり、この感触は嫌いだ……」


 でも武器とかを使おうとは思わなかった。自分が相手の命を奪って生きていることを忘れない為にも……


「すまんな……」


 獲物を持ち帰り、センテに解体してもらった……だって、ナイフもないんだもん。


 解体用のナイフ買わないとなぁ……


 狼肉……結構おいしい……





 翌朝、朝露に起こされた俺は森の中を散歩しつつ、タバコに火を付けた。


 このタバコの甘い匂いが魔物を惹きつけるか否かの確認である。


 一本吸いきるが……やってこない……どうやら昨日のはただの馬鹿だったらしい。


「いやはや、よかったよかった。おいそれと吸えなくなるところだった」


 ケータイ灰皿に吸いがらを捨てて、新しい煙草に火をつける。


 そして、二人のところに戻る途中……


「み、見るなぁ!!」


 センテが林の中でトイレ中でした。


 まさかラッキースケベを発動するとは思ってもいませんでした。


「痛い……です」


 頬に手形を付けつつ歩いている現在。


「うわ~、いたそ~」


 だからと言って突くなシェリー


「うぅ、ごめん」


「いや、気づかなかった俺も悪いんだ。注意していれば音とかで分かっただろうし」


「いや、その……音を聞かれるのも、少し嫌なんだけど……うぅぅ」


 まあ、音を聞かれずに直に見られてしまうことの方が嫌だろう。


「人って不便ねぇ」


 くるくると飛びまわっているシェリーがそう言って来た


「ん? 妖精はトイレ行かないのか?」


「そうよ!! おしっこもしなければう○こもしないわ!!」


「いや、そんなきっぱりと言わなくて良いから」


「うん、というよりも女の子がそんなこと言っちゃだめだよ」


 いや、そんな言い方すると……


「え~、う○こ、う○こ、う○こ、う○こ!!」


 やっぱり……こいつの性格からして言いそうな気がしたよ……天の邪鬼め


「あわわわ」


 そしてセンテもセンテで反応するからシェリーが調子に乗る。


「う○こ、う○こ」


 てか妖精のう○こコールとか誰得だよ……


「○んこ!!」


 ○の位置を変えるな!! そこは危険だ!!


「いった~い、なんで叩くの~?」


「いろいろ危険だったからだ!! それといい加減にしろ。う○こ娘」


「あ~、ひどい!! こんなかわいい子に向かってう○こ娘なんて!! それに妖精はう○こなんてしないもん!!」


「う○こう○こ連呼するような奴はう○こ娘で十分じゃ!!」


「う~、分かったわよ!! もう言わない!!」


「よろしい」


「あ、見えてきたよ、二人とも」


 センテのその言葉に言い争っていた俺達は目を向ける。


 道の先に街が見える。


「おお、あれがアキドナか? ホントに街って感じだな」


 俺は街を眺めそう言い


「あそこから私の冒険が始まる……」


 センテは胸の前で拳を握ってそう呟く


「おっきな街~、なにか面白いものあるかな?」


 シェリーはその小さい胸を機体に膨らませていた。



「んじゃ、行きますか」


「うん!!」


「お~~~!!」






 ☆~~◆~~☆





 街への入り口にたどり着き、目に飛び込んできた光景に一歩後ずさる。


「すげぇ、活気だな。つぅか目が痛い」


 大通りに面して居るその場所では築地の場外市場や、大阪の商店街、中華街の呼び込みを合わせて割ったようなにぎわいである。しかも紙の色がカラフルで目ぇ痛~い


 だが、これは一見するだけでも価値がありそうである。


「すごい、人の数……」


 センテはその人の数を見て後ずさっている


「ちょっと怖いよ~」


 シェリーは怯えてユキトのポケットへと入り込んで隠れるが、興味が勝ったのか、顔をちょこんと出して覗き見ている。


「一緒に行動してると人に呑まれそうだし、換金済ましたら外れて大通りから外れた宿探して、集合場所決めてから買い物とかしよう」


「うん」


「さんせ~」


 話し合いを終えると同時に割り込んでくる人物が居た。


「そこのお兄さん!! 宿をお探しですか!?」


 真っ赤な髪の褐色の肌をした女の子、どうやら宿屋の呼び込みらしい……まあ、冒険者ならまず最初にここ(換金所)に来るので張っていたのだろう。


「へ~、熱心だねぇ。いくら?」


「この街の平均宿屋額は300リル!! だけど内はその平均からぐぐっと下げて200リルだよ!! しかもそこらの宿よりもサービス満点間違いなし!!」


「ん~、ぶっちゃけ寝泊まりさえできれば良いんだけどなぁ。飯とか、この町だったら買い食いしても面白そうだし」


「そんなあなたにお勧め!! 宿のみご利用のお客様なら150リル!!」 


「え~、でもそれだと食事代しか引いてないじゃん」


「いえいえ、お客様!! うちの宿屋はサービスが違います!! 香りの良い干し草のベットに、柔らかく軽い羽毛の布団!! 安眠できることは間違いなし!! しかも150リルは一部屋の代金!! お二人でお泊まりならこれ以上安い場所はございません!!」


「ん~、でも男女だからなぁ」


「えっと、私はかまわないけど?」


「ほらほら、こちらの美人さんもそう言っておりますし!!」


「ん~、あ、でも朝食はそっちで食べたいかな?」


「むむ……分かりました!! なら朝食込みで150リルでいかがですか!!」


「よし、じゃ見るだけ見てみようか!!」


「かしこまりました!! ではご案内いたします!!」


 そう言って案内された場所は……


「おお、大通りから結構離れてるけど……この当たりなら喧騒も聞こえないし良いところだな」


「はい、静かに過ごせる場所を提供することをコンセプトにして居りますから!!」


 店員も元気だしなかなか良いところかなぁ


「あ、こちらです」


 そういって裏道を曲がると……


「へへ、待ってたぜお嬢」


 そこには4人の皮鎧を身に纏った男たちが居た。


「おう、てめぇら、用意は良いか」


 女の子の表情ががらりと変わる。


「あ~、もしかしなくてもアレか……」


「今頃、分かったところで遅いぜ!! 俺たちゃ泣く子も黙る赤螺羅せきらら盗賊団だ!!」


 女の子がそう言ってセンターに立ち、その後ろで男たちが思い思いのポーズをとる。


「お~ぱちぱちぱち」


「って、そんな拍手してる場合じゃないよ!!」


「大丈夫だ!! こう言う時の対処法は知っている!!」


「ホント!?」


「うむ!! まず一人を捕まえて」


 ステータス任せに一瞬で背後を取り、一番の大男を投げ飛ばす。


 そしてそれは盗賊団の前に落ち、ユキトは盗賊団を飛び越えその腹に飛び乗った。


「ぐぇ!!」


「そしてぇ!! 俺はぁぁぁ!!! 貴様が泣くまで殴り続ける!!!」


 拳を振り上げ打ち下ろす。打ち下ろす。打ち下ろす。打ち下ろす。打ち下ろす。


「ぐぁ、ぶで、ふじさrぶういじょk」


 打ち下ろす。打ち下ろす。打ち……打ち……打打打打打打打打打打打打打打っだアダダダダダダダダっだ仇d……


「キイロ~~~~!!」


 殴られている大男の名前です





 過剰な表現があるため、放送を一時停止させていただきます……綺麗な川でも想像してお待ちください。





「おめんあひゃい……おう、ひあけおあいまへん(ごめんなさい……もう、しわけございません)」


 顔面に腫れてないところが無いほど、ボコボコになったキイロが土下座する。


「「「「本当にごめんなさい」」」」


 その後を続いて、赤い髪の女の子アカ、その部下ミドリ、アオ、クロが土下座した。


「もうすんなよ~」


 そう言って立ち去って行くユキト……その後、五人の盗賊団は……


「うぅ……あんなひょろっこい奴がまさかあんなに強いなんて……」


「ぜって~詐欺っすよ!! しかも情け容赦ねぇっすよ!!」


「俺達盗賊よりもこえぇよ~」


「しかも金、全額取られましたし……」


「ひでぶ(ありゃ~、悪魔だ!! 人間の皮をかぶった悪魔だ~!!)」


 アカ、ミドリ、アオ、クロ、キイロの順で文句を垂れ流しているのだった。


「とにかく……真面目に働くか……」


「「「「そっすね/ううぅ」」」」





★~☆~★




 一件落着し、ちゃんと宿も確保できたため、街へと躍り出す。


「しかし、ホント人でいっぱいだな……」


 人と人の隙間を通り抜けつつ胸ポケットにいるシェリーに話しかける


「そうだね!! あ、ユキト!! あれ!! アレ買って!!」


 ユキトへの返事をテケトーに済ませて、ひとつの屋台を指差すシェリー


「ん? おお、飴か。兄ちゃん一つくれるかい?」


「あいよ!! ってあんたは!?」


「ん? …………だれ?」


 この屋台を営業して居るのは何を隠そう……というか別に隠しちゃいないが、先ほどの盗賊団の一人、アオである。


 実はあの赤螺羅盗賊団、この街のヤクザの様なものをしているのだ。


「あ、いえ!! 人違いです!!」


「あ、思い出した!! さっきの盗賊団の一人だよ!!」


「うを~ん!! 気づかれたぁぁ!!」


 デカイ顔をするチンピラ冒険者をつぶしたり、まとめたりしてくれる為、必要悪として存在する赤螺羅盗賊団、しかし団長の方針で地域密着型なヤクザな為、地域の住民にはそのキャラの性格から親しまれていたりする。


「まあ、いいや。とりあえず一個頂戴」


「へ? 殴ったりしないんですかい?」


「何言ってんのさ。俺が人を殴れるような人間に見えるか?」


 そう言って朗らかに笑うが……先ほど実際に殴っていたので説得力の欠片もない。


「いやいやいやいや!! さっき普通に殴ってやしたから!!」


 だがその笑顔で緊張が解けたのか、普通にツッコミを入れるアオ


「あ、そういえばそうだったな」


「忘れてたんか~~~~~い!!!」


 ナイスツッコミ


 飴も買い終え、さあキャンプ用具でも買いに行こうかと言うところで事件はおきた


「ちょっと、待ってくんんせぇ!!」


 そう言って青が引きとめてきたのだ。


「実は旦那に一つ頼みたいことがあるんでさぁ!!」


「ん? 頼み?」


「へい。実は近々他の盗賊団と抗争が起こりそうなんでさぁ!! そこで鬼の様な強さに旦那に用心棒を!!」


「やだ」


「即答ぅ!!」


「冗談だよ。お前さんらはなんとなく憎めないから、別に手伝っても良いさ……ま、でもその相手を見た後でな」


 どっちか一方の意見を聞いたりするだけでは判断がつかないのでそう答えるユキト。


 その心意気に感動したのか、アオはうっすらと涙を浮かべた。


「ありがとうございやす!! 引き受けてくれるのでしたらセキトバ組の事務所まで来てくだせぇ!! お待ちしておりやす!!」


「あいよ~」


 そう言って背後に手を振りつつ、他の出店を冷やかすユキトなのであった。






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