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異世界への招待状  作者: よ~こ
第一章 招待状
5/8

森を歩くとエルフに出会う?





 前回までのあらすじ……


 クマ殺した。探偵がバトルジャンキーで逃げてたら森の中。妖精に出会い、迷子になる←今ここ。




「こう言う時って地図は便利だよなぁ」


 スマフォを取り出し、マップを開く。


 そこには今まで通ってきた道が表示されている。


「えっと……」


 ………………バトルジャンキーなグラディウスさんから逃げ回った時間は数時間である。


 ぐるぐると同じ地点を回っていればまだ良かったのだが……


 表示された地図はただひたすら、一直線に表示されていた。


「えっと……リンドラで確かめた情報によると……南にアグル」


 これから来た時と同じ速さで走った場合……同じ時間が必要になるわけで……


 リンドラに戻るには朝となる。


 そもそも走るのも面倒なので、もっと時間はかかるわけで……


「よしっ、このままアグルに向かおう!!」


「おーー!!」


 俺が宣言すると肩に止まっている妖精シェリーが腕を上げて返事を返してきた。


 やっぱり、一人旅よりも誰かいた方が良いねぇ


 ま、俺はあんまりおしゃべりする方じゃないけど


「ねぇねぇユッキー! それってなに? なに!?」


「ああ、こりゃスマートフォンっていう機械だ。本来は同じような機械を持っている奴と話したり文章を送ったりすることができる」


「へ~!! 念話みたい!! ん? あれ? 本来なら?」


 感心した後首を傾げて不思議そうにするシェリー


「この機械はこの世界にゃ一つだけしかないんだよ。それに中継用の衛星もないだろうしなぁ」


 地図の表示がだいたい半径1㎞で表示されていくのでもしかするとケータイやスマフォを持っている人間が居れば送受信することも出来るかもしれないが……まあ、無い物は無いのだからしょうがない。


 そんな事を考えていると、シェリーが何やら唸っている事に気付いた。


「む~」


「なにやって……ん?」


 ぶぶぶぶっとマナーモードのケータイが震え、画面が電話を受信して居たのである。


 電話番号の表示文字化けして分からない


「わひゃ!? なにこの音!?」


 音はスマフォの震える音の事だろうか……とりあえず、シェリーのことは無視しておいて電話に出た。


「……はい、もしもし?」


「『わ!! 本当に繋がった!!』」


 ステレオで聞こえてくる声にスマフォとシェリーの顔を交互に見る俺。


「お前が電話を鳴らしたのか?」


「そうだよ~!! なんか話聞いてたら念話テレパシーみたいだなぁって思って!!」


 それで試してみるお前がすごいわ……


「んじゃ、少し試してみたい事があるから、そうだな。1㎞位、向こうに離れて見てくれるか?」


「その位なら私の念話で喋れるよ?」


「ん、そうなのか? どのくらいの距離まで話せるんだ?」


「ん~、そんな遠くに知り合いが居ないから分かんない。でも隣町に遊びに行った友達とも会話できるよ?」


 隣町までの距離が分からんがな……まあ、それは良いとして……


 これはスマフォである……受信が出来るのであれば、送信できるはずなのだ……


 着信履歴を開いて文字化けした番号を押す


「にゃ!? にゃに!? なにこの音楽!?」


 先ほどの音と言ったのは相手のスマフォの受信音だったらしく……今は着信音が頭に流れているようだ。


「あ!! この感覚って念話だ!!」


 そう気づくと同時にスマフォが通話状態になった。


「おお、繋がったか」


「『うひゃ!? ユッキー念話使えるの!?』」


「言っただろ、この機械で使えるって」


 通話終了のボタンを押してそう答える


「あ、切れた。すごいね~、他にもいろんな力があるの?」


「ああ、地図とか図鑑とか」


 ステータスとかスキルだとか……


「あとこんなのもあるぞ」


 そう言ってカメラを向けて写真を撮り、その画像を見せる。


「うわぁ!! すごいすごい!! こんな綺麗な絵初めて!!」


 そんな調子で俺達は森の中を歩いて行った。


 ちょくちょく地図を確認しながら進み、ただただ南にまっすぐと進むユキトとシェリー


 しかし、ユキトは知らない……南にアグルと言う町は確かにある……しかしそれは、道なりに進んだ場合だと言うことを……


 なまじ高性能な地図を持っているが為に……




 そして夜が明けた。


「…………腹減ったな」


「ん~、そう?」


 俺の言葉に花の蜜を吸っているシェリー、そりゃ君は花の蜜吸えば満足だろうからね


「あ~、魔物でも居ればなぁ」


 一応、持ちカバンアプリの中には伝説級のお菓子が入っているが、なんと言うか、腹が減ったからと言って食すものでも無い気がするので食べて居ない。まあ、限界になれば食べるのだろうが


「てか普通、こう言う異世界物だと町の外に出ればすぐに魔物と出会うと思ったんだがなぁ」


 平和なもんである。


「なに言ってんの? ユッキーみたいなレベルの高い冒険者となんて戦いたくないから、みんな隠れるか逃げるかしてるのよ」


「なるほど~、でも俺のレベルって10だよ?」


 説明に納得し、自分のレベルを考え不思議に思う。


「え? うっそだぁ~、レベル10のしかも人間が木の邪妖精を倒せるわけないじゃん!!」


「ほれ」


 そう言って取り出したのはギルドカード。この世界のギルドはランク分けがされいることは前にも話したが、そのランクの分け方はレベルとどれだけの仕事をこなしてきたかなのである。


 モンスターを倒すごとに経験値が上がり、レベルアップすることができる。


 レベルアップすることでステータスの上昇も確認されているがステータスの数値化はされていないらしい。


 それはそうとレベルである。


 ギルドカードに載っているのは名前と職業とレベルである


「うわぁ、ホントにLv10だ……」


 とは言っても俺の場合、Lv相応のステータスでは無い訳であるが。


「でもLvが高いと魔物は逃げ出すのか?」


「ううん、正確には強いモノから逃げ出すの。ユッキーは昨日木の邪妖精を倒したから逃げられてるんだよ……でも、あれ?」


「どうかしたのか?」


「普通なら殺したことで受け取る魔力の残り香(つまりは経験値)を嫌って近づいてこないんだけど……ユッキーは木の邪妖精を、倒しはしたけど殺してなかったなぁって」


「ああ、もしかすると、昨日レッドベアーを倒したからその匂いじゃないか?」


「へぇ、レッドベアーか、それなら納得…………ってレッドベアー!!?」


「おう」


「…………はは、そっか~、レッドベアー……あはは……」


 なにやら放心しているシェリーはおいといて……


『はぁぁぁ!!!』


 キィン


 少し遠くの方から、金属のぶつかり合う音と気合いの籠ったような声が聞こえてくることに俺は気づいた。


「よし! 行ってみるか!!」


 放心状態でふらふらと飛んでいるシェリーを掴んで、ジャケットの胸ポケットに入れ、走り出す。


 5分もしないうちに森が途切れ、馬車が通れるほどの道に出た。


 するとそこには両手剣を振るう金髪の美女!!


 金髪と言っても異世界物でおなじみのお嬢様然とした縦ロールとかウェーブ髪(偏見である)ではなく腰まで届きそうな髪の中頃でまとめた三つ編みである!!


 そう三つ編みである!!


 近年、三つ編みは絶滅危惧種なのだ!!


「あべしっ」


「俺はユキト・アイサカ!! お嬢さんのお名前は!?」


「え? えっと……センテ……だけど?」


「センテ!! 良い名前だ!! よかったらこのまま一緒に旅でもしませんか?」


 三つ編みに気づいた俺は一瞬でお嬢さん(センテ)との間合いを詰め、途中で何かに当たった気がしたが無視して、鎧姿のお嬢さんの手を握りしめ名前を尋ねると、そのまま仲間にならないかと勧誘を行ったのだった。


「えっと……」


 突然の行動に戸惑うセンテだが、そこがまた可愛らしい。見た目はかっこいい系の美女だが、その顔が驚きを浮かべているのって萌えないか? いや、萌える!!


「貴様何者だ!? ここは里を守るための迷いの結界で閉ざされている森、貴様の様な人間が来れるところでは無いぞ!!」


「ほえ?」


 説明口調な怒鳴り声に気づき、後ろを振り返るとそこには男が4人……あ、もう1人居るから5人だな……なんでか知らないけど、視界の隅でぴくぴくしてたから気づかなかった。(お前が轢いたんだよ)


「言え!! なぜ人間がこの様な所に居る!?」


 そう言えば、ここに来た理由は金属のぶつかり合う音が理由だった事を思い出す。両手剣を持っているセンテ、それともう一つ金属が無ければぶつかり合う音など聞こえるわけがないのだ。そして達位置からして……


「なるほど……だいたい分かった!! 貴様らは盗賊か何かでこのお嬢さんを襲って××(ちょめちょめ)する気なんだな!!」


 その俺の言葉に顔を真っ赤にさせる男たち4人、一人は顔を青くさせ、今にも事切れそうである。


「き、貴様!! 何を言っている!!」


「図星を指されたからと言って怒鳴るな!! そのような輩、俺が成敗してくれるわ!!」


 そう言って無駄にかっこいいポーズ(本人談)を決める。


「ええい!! 貴様がなんであろうとどうでも良いわ!! かかれぇ!!」


 リーダーッぽい男の言葉に4人が襲いかかる。一人は何か空い向かって手を伸ばして何やらぶつぶつ言ってる。


「ちょっ!! 4人で一斉に来るのは卑怯だって!!」


 4人の剣を技術もへったくれもない無様な格好で避けるユキト、シェーのポーズだったり、トゥッと跳んだり……しかしそれが当たらない!!


「ギャー、トゥッ、しぇー!!」


「くっ!! なぜ当たらん!?」


「ふっ、決まっている!! 今こそこの言葉を言おう!! 今の俺だからこそ言える!! …………ああ、有名な台詞忘れた!!」


 えっと……なんだっけ? 速さが足らんのだよ、速さがぁぁぁ!! なんか違う気がする。


「ふざけおってぇ!!」


「なんにせよ、今が好機!!」


「なにぃ!?」


 現在の位置は俺、男男男男男木と一直線である。最後の男は現在、我に返った瞬間だ。


「乾坤一擲!! コークスクリューブロー(若干手加減!!)!!」


 体ごとぶつける拳を回転させ、戦闘に居たリーダーっぽい男の腹を叩く。


 男の体が纏った鎧ごと回転し、後ろに居る4人を巻き込んで木にぶち当たった。


「赤手空拳!! 一撃必殺!! 一網打尽!! の俺、勝利!!」


 拳を天に突き出し決めポーズ!!


「はは……」


 センテが渇いた笑いをうかべているのが印象的でした。




 ☆~★~☆




 事情を説明されました。


 なんでも、冒険者になった母に憧れ、センテは里抜けをしたらしく、あの男たちはその追手だったらしい……里抜けで追手って忍びか?


 あ、忍者じゃなくてエルフだってさ。はっはっはっは


「って、エルフ!? ホントだ!! 耳長っ!!」


「気づいてなかったんだ……」


 なにやら呆れたような表情をされました。


「まあ、それはそうとさっきのお返事は?」


 内心ドキドキで返事を待つ俺、信じてもいない神様にも祈っちゃうくらいだ。


「……えっと? 返事って?」


「忘れてんのかいっ!! (ビシィ!! ※ツッコミ音的ななにか)アレだよ!! アレ、ご一緒に旅しませんか!! って」


「え? アレ、本気なの!?」


「俺はその場のノリでしか嘘は言いません!! 見てこの真剣な目!!」


「その場のノリで嘘つくなら信用できないと思うんだけど……」


 ……それもそうだ


「いや、納得して頷かないでよ、もう……。でも、良いの? 私が仲間になって? 里の人が襲ってきたりするよ?」


「それなら大丈夫だ!!」


「大丈夫じゃないよ!! さっきの人たちよりも強い人いっぱいいるんだよ!?」


「はっはっはっは!! 大丈夫、大丈夫!! なんたって、さっきの人たち倒したの俺、つまりはもう手遅れってことだから」


 言われて気づいたのだろうセンテは、落ち込み謝ってきた。


「あ……ごめん……そうだよね……私が迷惑かけたんだよね」


「あ~、ちがうちがう。とりあえずアレだ。俺は君と旅がしたい。それは良いかな?」


「え? いや、その……うん」


「なら、それで万事解決!! 旅には波乱が付きもの、波乱は冒険者にとってスパイスだ。スパイスなら何種類もあった方がおいしいんだぜ」


「はは、そっか……そうだね。うん、一緒に旅させてもらえる?」


「当然!! あ、そうだ。もう一人の仲間も紹介しとくよ。ほらシェリー、我に帰んな」


 レベル10でレッドベアー? なら倒す前はレベルいくつ? などとぶつぶつ言って、未だに呆然としているシェリーを指で突いて我に返す。


「はっ!? あれ? ここどこ~? あ、エルフだ!! 珍しい!!」


「妖精?」


 なんか互いに相手を珍しがっている。もしかして二人とも珍しい存在なのだろうか?


 なんか言ってて(思ってて?)変だな。うん、二人とも珍しいのだろう。


「シェリー、新しく仲間になったセンテだ。センテ、こいつは昨日仲間になったシェリー。仲良くしてくれな」


「よろしくね、センテ!」


「こっちこそよろしく、シェリー」


 握手を交わし、笑みを浮かべる二人。うんうん、仲良きことは美しきかなだな。


「「でも……やっぱりユキトって変」」


 グサァ!!


「二人でハモらんといてぇなぁ……がくっ」


 どこの方言か分からん言葉を吐きつつ、地面に突っ伏すユキト。


「ごめんごめん、ほらそんな落ち込まないでよユッキー」


「私からも謝るよ」


 突っ伏した態勢から体育座りまで持ち直したが、いまだにしくしく言いながらユキトは地面にのを書いていた。


「でも、心の中では変だって思ってるんだろ?」


「「うん」」


「やっぱり……」


 シェリーとセンテの言葉にまたも気分を落ち込ませるユキト。しかも二人の言葉はさらに続く。


「だって仕方ないじゃない、レベル10で木の邪妖精倒したり」


「うちの里の猛者達4人を翻弄したり」


「それ以前に妖精見ても普通に相手してくれるし」


「エルフに対してもそうだよね」


「「やっぱりユキトって変」」


 その言葉に更に落ち込むかと思いきや、立ち直るユキト。


「なんだ。そんなことが変なら変なままで良いや」


 立ち直ると言うよりも開き直ると言った方が良いかもしれない。


「「やっぱり変」」


 そう言って笑うシェリーとセンテ


「あ~あ~~!! 聞こえない!! 聞こえない!!」


 耳を両手で塞いで必死に聞こえないとアピールするユキトだった


「それで、これからどこに向かうの?」


 その問いには普通に答えました。


「ん? えっと、ここから南にあるアグルって町だけど?」


 南を指差していると、とある事実が発覚した。


「アグルなら北だよ?」


 北を指差すセンテ


「あれ?」


「それと、ここからならアキドナの街の方が近い」


 そう言って向かっている方向を指差す


「あれ~?」


「あ、南に一直線に来たからだよ!! ユッキーの地図、知らない街までは表示しないから」


「あ、そっか……道理でアグルに着かない訳だよなぁ」


 通り過ぎていたとは思わなんだ。 はっはっはっは!!


「よし!! じゃ、向かう先はアキドナ!! センテ、案内をお願い!!」


「はいはい、分かったよ」


 こうして新たな仲間を見つけたユキト


 ユキトはアグルの街に行くことはあるのだろうか?




 次回へ続く





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