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異世界への招待状  作者: よ~こ
第一章 招待状
3/8

森の中~♪ クマさんに~出会った?




 やあ!! みんな!! 俺だよ俺!! 俺だってば!?


 え? 知らない?


 てか、自己紹介ぐらいしろ?


 そういや、自己紹介してないネ!!


 相坂雪杜アイサカユキト!!


 20歳の元学生だ!!


 なんか前回、異世界に来て早々いろいろとあったが、そんなことは気にせずに元気にやってるZe!!


 今は見習い冒険者として、狩りに来ているところだ!! 一人で!!


 泣けそう……


 まあ、そんなことよりも!! 俺の今回のお相手はこちら!!


 ホーンラビットさんです!!


 一本のツノを額から生やした兎さんです!!


 そして何気に凶暴な様です。でもはっきり言って雑魚らしいよ!! 一般的な村人でも倒せるんだって!!


 しかもその肉は食用に使えるんだって!!


 美味いんだって!!←これ重要!!


 そりゃ、狩るさ!! おいしい物は正義だよ!!


 丸焼きにして食ってやるぜ!!






 とか、思ってたんだけど、まさかあんなことになるなんて……その時は、思いもしなかった。


 俺が魔物を探す為にもいの中を駆けていた。


 すぐに目的の魔物と思わしき動物を発見した。


 というか向こうから襲って来たんだ。


「うおっ!?」


 急停止した俺の目の前をツノのついた兎が飛んでいた。思わずそれを掴んでしまったのは、ステータスでもご覧の通り、上がった身体能力のおかげだろう。


「……依頼達成?」


 とりあえず、殺そうと兎の首に手を当てたんだが…………


「きゅ~~」


「やめろ……そんな目で俺を見るな!!」


 思いっきり視線を逸らした俺……


 つぶらな瞳を涙目で向けてくるのだ……


 ツノが付いていなければただの兎である。てかツノついてても兎は兎である……


「うぅ……」


 喉を握った親指と人差し指……その二本に力を入れれば、その命を簡単に奪うことが出来る。


 指には柔らかい肉の感触……


 駄目だ!! 俺には俺には……出来ない!!


 こんなつぶらな瞳を浮かべた兎に悪い奴なんか



 そんな時、後ろから衝撃が来た。


 いや、衝撃と言うほどの衝撃じゃなかったが……


 あれだ


 学生時代、様があって後ろからちくちくと鉛筆で刺された時の感覚に近い


 振り返るとそこには、3匹程のホーンラビットが背中に飛びかかっていたのである。


 服に傷一つつかないとは……さすが伝説級のジャケットである。


「ツノだけなら良いかな?」


 殺生は嫌だったが、依頼はホーンラビットのツノとしか書かれて無かったのだ。


 と言う訳で、ツノを根元から折って持ち帰ることにした。


「よし!! これで大丈夫!!」


 自慢のツノが折られた兎は悲鳴を上げて逃げて行ったが、もしかするとツノにも神経が通っていたのだろうか……もしかすると爪をはがすような痛みだったのかもしれないと今になって思う……


「う~む、すまん。これも生活の為だ」


 とりあえず、依頼を達成させた俺は来る時には走っていた為に見ることの出来なかった森をゆっくりと歩いて行くことにしたのだった。


「う~む、意外と早く片付いてしまったなぁ」


 とのんびり歩く。


 が


 俺は動物を殺すことが出来なかった。


 前の世界では何かを殺す必要なってなかったからだ。


 俺は……甘いのだろうか……殺す覚悟なんて全くできてなかった。


「はぁ……」


 こう見えて俺はネガティブなんだ……落ち込むことがあったら一気に落ち込んで落ち切ったところで気分を変えるんだ。


 精一杯悔やんで、それを忘れないようにする。


「うん……殺す覚悟……いつかは分からないが……手に入れよう」


 この世界では基本、自給自足である。家畜などもいるが、食用と言うよりも畑を耕す為だったり、乳をもらうためだったりなのだ。食事処では、魔物の肉が主流である。それはそちらの方が美味いという理由もあるし、魔物はそれこそ無限と言っていいほど湧いて出てくるのである。


 まあ、俺が最初に訪れたあの村の近くの様に魔物一匹出てこない地も存在するが……ああいうところは、長期間暮らすと人体になんらかの影響を与える場所と言うことでもあるらしい……そう言うところは神魔の戦いが関係しているらしいが詳しい事は知らん。


 話が逸れた……殺す覚悟についてだが…………


 俺はすぐに手に入れる必要が出てきたのだ。


 それは、俺が殺す覚悟をいつか分からないが手に入れようと心に決めたときである。


 そんな時、森の中から4m程のクマ現れたのである




 え~~~



「殺す覚悟をいつか手に入れようっと言ったんだ。そういつかだ!! 断じて今ではない!!」


 そんなことよりも逃げよう!! 身体能力は化け物並みとは言え、自分よりも背の高い奴と戦ったことなんてない(俺の身長は182㎝)し、もともと喧嘩をしたことだってないんだ!!


「と言うことでサラダバーー!!」


 間違えた、サラバだ!!


 身を翻し森を駆ける。しかし回り込まれたとぅ!?


「な、なんだとぉ!?」


 即座に逃げるのコマンド!!


 しかし回り込まれた!!


「って二匹ぃ!?」


『『がるるるる!!』』


 いやぁん……


 襲いかかってくるクマ二匹


「とうっ!!」


 俺は跳んだ。右へ行くと見せかけた後で左へ!!


 と言うか一瞬迷っただけである!! しかしそれが功をそうした!!


 クマ二匹は俺のフェイント?につられて互いの頭をぶつけることになったのだ!!


「とりあえず!! 逃亡!!」


 しつこいけど、殺す覚悟なんてねぇ!! ってか俺が死にそうだ!! ステータスなど知らん!!


「おいおい……ウソだろ? ウソって言ってくれよ……」


 まさか、まさかの三匹目である…………しかもその最後の一匹ってのが……本当に馬鹿げている。


 全長はいったいいくつなのだろうか……さっきの二匹の倍はある……つまりは8m程のクマである。


「そんな、バハマ!?」


 後ろの二匹も俺を追い詰めるように囲んでくる……


 三角形の形で囲まれた俺……しかも逃げ道も木によって塞がれており……絶体絶命の大ピンチ!! である。


「オーマイガッ!!」


 頭を抱えてそう叫んだ。神ではなく髪に祈ってみたいなどと変な思考が生まれたが気にしてはいけない。


 どうすればいいんだ!! いったいどうすれば!!


 ホント、どうしよう?





 後半へ続く



 え? ちょまってこのまま放置なの!?


 








 なんてことなく、再開



「って来たぁぁ!!」


『『『グロォオオオオオオオオオオ!!!!』』』


「いや~~~~~~~~~~~~~!!!!」


 三匹が一斉に襲いかかってくる。小さい方の二匹は跳びかかり、巨熊は腕を振るう。


「死ぬのは嫌だぁぁ!!」


 破れかぶれで巨熊の懐に飛び込んだ。


 爪が頭をかすめ血が流れる。


 視界が真っ赤に染まりながらも巨熊の懐へ……


 そこで……


「何をすればいいんだ?」


 喧嘩なんかしたことが無い俺には何をすればいいのかなんて分からなかった。


 だが、無意識に俺は手を拳にして、その腕を振るっていた。


 ドゴオオオン!!


 拳での攻撃とは思えないほどの音が森に響きわたる。


 巨熊の体がくの字に折れ曲がり、クマの額が露わになった。


 猟師は猟銃で熊を狩る際、眉間を狙うと言う知識が頭に浮かび、がむしゃらに拳をその眉間に向かって振るった。


「うぁあああああああああ!!!」


 ミチミチと肉の繊維が潰れる音が拳を伝って響き、ピキーンッと甲高い音が脳髄を駆け抜ける。


 クマの頭蓋が砕け、その脳に衝撃を伝え……


 クマの体が崩れ落ちた。


「あ……ああ…………」


 殴った拳が痛い。


 真っ赤に擦り切れてびりびりとしびれる拳の感触……


 目の前のクマの命が途絶えたのを俺は感じ取っていた。


 命を奪った。


 その事に今さら気づく。


 後ろの二匹は、巨熊が倒されたことで、ビビっているが……そんなこと気にしてられない。


 たった二発だ……経った二発拳を握りしめて振るった。


 あまりにも簡単に命が消えた。


 その事に恐怖する。


 そう、俺は殺す覚悟なんて、本当はどうでもよかったらしい……


 俺はただただ……自分の力が怖かったのだ。


「あ、ああ……あああああああああ!!!!」


 空に向かって吼える。何もかも無くしたいとばかりに……


 命を奪ったことも、異世界に来たことも、自分の力も……何もかも…………


「はぁはぁはぁ……」


 それから……どれほど時間が過ぎただろうか……一分? 二分? それとも十分だろうか……


 ひたすら叫んだ俺は息を整えている。叫んだことで多少、落ち着きを取り戻したらしい。


「はぁ……」


 溜息を吐きだすと完全に呼吸は整い、倒れているクマを見た。


 そいつに手を合わせ拝む……


「なんまんだぶ、なんまんだぶ」


 拝み終えた俺は幾分かすっきりとしていた。目の下にはクマが出来ており、頬は若干こけており、叫んだことで口の端が切れたのか血が出ているが……すっきりして居た。


 叫ぶことと、祈ることで、無意識のうちに心の中で整理がついたのである。


「よいしょっと……」


 そうして俺はそのクマを引きずりながら町へと帰ることにした。


 その帰り道で、俺は一つの決意をする。


 殺生をしないなんて言わない。ただ無意味な殺しだけは絶対にしないと……そう心に決めた。





 ☆=========☆




 クマを引きずりながらリンドラの町にたどり着いた。


「……ちょっ!? なんだよそのクマは!?」


 門番をしている男に尋ねられたが……どう見たってクマはクマだろう。いったい何を言っているのだ。


「なにってクマはクマじゃないか……えっと、たしか正式名称はレッドベアーだったか……」


 あの後、メールが来てレベルアップしたことを知ったついでに図鑑を見て確認した事である。


 ちなみにカバンアプリにしまうのもアリかと思ったが止めておいた。


 この世界には四次元ポケットじみたポシェットやカバンなんてものは無いのだ。まあ、探せばあるのかもしれないが、あることが確定するまで隠しておくべきだろう。


「いや、そんなことは分かってんだよ!! なんでそんなレッドベアーが居るんだって話だよ!!」


 居たんだから仕方ないと思う。むしろ俺の方が聞きたいよ……


 こいつ倒した途端、一気にレベルが上がってLv10だぞ?


 つまりこいつとはそれだけレベル差があったって事だ。そんなのを素手で相手したんだぞ? 怖かったんだぞ!!


「うるせ!! 居たもんあ居たんだからしょうがねぇだろ!! 俺だってこんなのに襲われるなんて思わなかったんだ!! 怖かったんだぞ!! ドチクショー!!」


 半ば泣きながらの言葉によって、門番が落ち着きを取り戻す。


「あ~、そのすまんかった。それでそのレッドベアーを持ってきたって事は売るつもりで来たのか?」


「ああ、その通りだよ……たしかここで出来るんだよな?」


 いまさらだが、町は防壁で囲まれており、門を通り抜けてすぐに換金所が存在する。そこで依頼品を受け取って、その品をギルド員が届けに行くのだ。


「ああ、確かに出来るが……レッドベアーの解体なんて出来る人は限られてるんだ……明日までに報酬は用意しておくから、また明日来てくれるか?」


「ああ、そうしてくれ。ああ、いや、そうだな……出来れば解体に立ち会いたいんだけど」


 初めて狩った動物だ。それくらいはするべきだろう……それに、解体の仕方も学ぶこともこれから役に立つだろうしな。


「では、夕方頃にもう一度来てもらえますか?」


「ああ、分かった」


 そう言って、俺は手を振って門をくぐり宿屋へと向かって行った。








「あ、これ換金してくれ」


 全財産が100リル(リンドラにたどり着いたのが夕方だったため、そのまま宿に泊まった)であることを思い出し、ホーンラビットのツノを換金しに戻ってきたのだった。







「ふぅ……」


 食事をした後、宿に戻ってタバコを吸いながらスマフォをいじる。


 ステータス


ユキト・アイサカ

伝説の浮浪者

旅人Lv10


HP1330/1367 112↑

MP578/578 256↑

ATK668 62↑

INT246 44↑

HIT434 52↑

DEF446 55↑

RES313 67↑

SPD398 71↑



 その内、千とか越すんじゃないだろうか……



 ちなみにHPが減っているのはレッドベアーの一撃がかすめていた為である。




 あと、スキルと言うのも手に入れて居たみたいだ。


 格闘Lv15だってさ……




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