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5.新たな仲間

 風が、私の身体を包んでくれている。

 その不思議な感覚に、安心して瞼を閉じ身を任せた。

 ――彼が来てくれたのだとわかったから。

 その間はほんの数秒だったのだろう。


「カノン!!」


 次第に治まっていく風音の中聞こえた呼び声にもう一度目を開ける。

 そして私は信じられないものを見る。ビアンカに跨り両手を広げている人物、それは――。


「んんーー!!」


 口が塞がっているのを忘れて思わずその名を叫んでいた。

 私は風に流されるまま彼女の身体に飛び込んだ。それと同時、それまで私を包んでいた風が霧散していくのがわかった。

 衝撃はほとんどなかった。私の身体は彼女によって強く包まれていた。その確かな温もりにじんわりと涙が溢れてくる。

 ほうと息を吐く音が聞こえて私はばっと顔を上げた。


「んんーんんん!? んんんーんーんんん!?」

「外してやるから少し待ってろ」


 苦笑するように言って、彼女の手が私の後頭部に回った。口を塞いでいた布が取り払われ、私はすぐに口内に詰め込まれていた布の塊を足元へ吐き出した。

 今まで出来なかった分思いっきり口から息を吸って、声を出す。


「セリーン傷は!? もう大丈――っげほっげほっ!」


 二日ぶりに喉が外気に触れたせいか途中で咳込んでしまった。


「落ち着けカノン。私は見ての通りピンピンしている」

「な、なんで……」


 その元気そうな声を聞いたらまた感極まって声が詰まってしまった。

 だって最後に見た彼女は血をたくさん出して目を虚ろにさせて今にも――。


「てめぇはまた人の心配か!!」

「ラグ!?」


 背後から聞こえた幼い怒声に振り向くと、眉間に皺をいっぱいに寄せた少年がこちらを睨み見ていた。

 小さな彼のその姿を見て確信する、やはり先ほどの術はラグのものだったのだ。

 更にはその手前――。


「よ、カノンちゃん。元気そうで良かった!」

「アルさん! なんで、どういうこと!?」


 そう、あのアルディートさんまでがビアンカに乗っていたのだ。


「カノン、少し大人しくしていろ。腕の方も解くから」


 言われて私はハっとする。


「そうだ、フィエールは!?」

「フィエール? あぁ、奴ならあそこだ」


 セリーンが私の手枷を外しながら顎でその場所を示してくれた。

 その先を見下ろすと確かにアレキサンダーに乗ったフィエールがこちらを見上げただ唖然としているのが見えた。

 ビアンカは彼らの真上を大きく旋回しているようだ。

 フィエールとの距離を感じて、ようやく自分が助かったのだという実感が湧いてくる。


「こんなに強く縛られて……動くか?」


 自由になった腕を上げると、案の定縛られていたところがぐるりと赤く痕になってしまっていた。手を握ったり開いたりするが特に問題はないようだ。


「うん、大丈夫みたい。ありがとう、セリーン」


 と、急にセリーンが私の身体を強く抱きしめた。


「セリーン?」

「他に痛いところはないか? さっき殴られたところは平気か? 奴に酷いことをされなかったか?」


 質問攻めに合いながら気付く。小さいラグがこんなに傍にいるのに彼女が全く興味を示していないことに。

 それほどに心配してくれているのがわかって私は更に嬉しくなった。


「大丈夫。怖かったけど、でも皆が来てくれたからもう大丈夫。……それより皆はどうして」

「カノンちゃん、詳しい話は後でゆっくりな」


 すぐ背後でアルさんの声がした。


「で、ラグ。アイツどうすんだ? お前が術使えねぇなら俺がやっちまうか?」


 その言葉に私は思わず「え!?」と声を出してしまっていた。


(やっちまうって、殺すってこと!?)


 だがすぐにラグが呆れたように答えた。


「アホか、あの野郎を殺しちまったらランフォルセの奴らが何言い出すかわかったもんじゃねぇ。これ以上ややこしくなってたまるか」

「まぁ、そうだな。セリーンとカノンちゃんに酷ぇことしたあいつをこのまま見逃すってのは癪だが……、しょうがねぇか」


 そんな二人の会話を聞いて私はほっと胸を撫で下ろした。

 自分自身酷い目に合ったしセリーンを傷付けた憎むべき相手だけれど、やはり目の前で人が殺されるのを見るのは平和な日本育ちの私には強い抵抗があった。


(それに一応、昨日助けてもらってるし……)


「んじゃ、とっとと去りますか」

「あ、ちょっと待って!」


 私は重要なことを思い出して皆に言う。


「私、フィエールに言わなきゃいけないことがあるの! ビアンカお願い、少しだけ下に降りてくれる?」


 その硬い背中を摩りながら言うと、わかってくれたのかビアンカが下降を始めた。


「わかった、文句を言うんだな! よし、思いっきりぶつけてやれカノンちゃん!!」


 アルさんが妙に楽しげにそんなことを言っていたけれど、私は驚いた顔のフィエールに向かって大声で叫んだ。


「フィエール!! 私ストレッタとは何の関係もないし、あなたが思っているような力なんて全然無いから! 王様にもそう伝えてー!!」


 聞こえたらしいフィエールが瞬間憤慨したように口を開いたが、ビアンカが近づいたことでアレキサンダーが暴れ出してしまい、そこでフィエールと私の視線は外れた。


 ――もう二度と、視線を合わせたくはない相手だ。


 そしてビアンカはまた上昇する。

 ずっと言いたくても言えなかったことが言えて、私はものすごくスッキリしていた。

 だがすぐに大きな怒声が飛んでくる。


「んなこと言われて信じる奴がいるかアホォォォーーー!!」


 そしてなぜだかアルさんは爆笑し始め、セリーンは私の頭をぽんぽんと軽く叩いたのだった。




「エルネストさんが!?」

「そ、驚いたなんてもんじゃなかったぜ。いきなり現われて、カノンちゃんが攫われた。セリーンも酷い傷を負ってしまった、だもんな」


 酷く久しぶりな気がするビアンカの背の上で、私はすぐ前にいるアルさんの話に耳を傾けていた。

 セリーンが深手を負い私がフィエールに連れられ町を出たのとおそらくは同時刻、ラグ達の前にエルネストさんがいつもの如く忽然と姿を現わしたのだという。

 その時ラグ達はストレッタに到着したばかりで、でもそれを聞きすぐに引き返して来てくれたのだそうだ。


「戻ったら本当にセリーンは酷ぇ状態で、カノンちゃんはいないだろ~」

「じゃあセリーンは」

「そ、俺とラグの二人がかりでな。でないと本当に危なかったんだぜ」

「……不本意ながらな」


 セリーンが私の耳元でぼそっと言った。

 彼女は大人の男性が好きではないようだから、きっと二人に借りを作ってしまったことが面白くないのだろう。

 こっそり苦笑しながらも、私の頭の中には優しい笑顔が浮かんでいた。


(エルネストさん、本当に見守ってくれてるんだ)


 絶望せずに彼のことを信じていて良かった、そう思った。

 今、私たちは手近で安全な街を探しながら飛んでいた。

 傷が治ったと言ってもまだ酷い貧血状態であるセリーンと、体調がまだ万全でない私が今度こそゆっくりと休める街。

 ちなみに今私はセリーンがノーヴァのあの宿から持ってきてくれた防寒具を着込み、更にあのままずっと彼女に後ろから抱きしめられていた。

 温かいには温かいのだが、少し気恥ずかしかった。――ラグはいつもこんな気持ちなのだろうか。

 私が落ち着いた今、彼女の視線はアルさんの向こうの小さな背中に釘付けで、すぐにでも飛びつきたいのを我慢しているように思えた。


(ビアンカに乗ってなかったら、アルさんを撥ね退けて行ってるよね、きっと)


 そんなセリーンと嫌がるラグの姿が瞬時に頭に浮かび、小さく笑みがこぼれた。


「その後すぐにでもカノンちゃんを追いたかったんだけど、俺も飛びっぱなしで結構限界でさ」

「あ、それでビアンカを? でもどうやって……」

「お前が冬眠じゃないかと言っていたことを思い出してな。それならば暖めれば目を覚ますのではと考えたんだ」


 ビアンカはあのままずっとあの場所で眠っていたのだそうだ。

 そしてノーヴァから持って行った松明の火と術を使ってその場を暖めたのだと言う。

 セリーンの傷を治したことと言い、改めて術というものは万能で便利なものだと、思わず感嘆のため息が漏れていた。


「少し時間は掛かってしまったが、起きてくれてな。事情を話したらすぐに飛んでくれた」

「そうだったんだ……。ビアンカも、ありがとうね」


 お礼を言って背中を撫でる。

 初めて乗った時、心もとなくて怖かったビアンカの背中。でもアレキサンダーの乗り心地を知ってしまった今ビアンカの背中はまさに快適な飛行機に乗っているかのようだった。


「本当は昨日のうちに追いつけるはずだったのだが、一度追い抜いてしまったらしくてな」

「そうだったの?」

「あぁ、街道を辿って行ったのだがな。街道を外れて走っていたのか?」

「ううん。ずっとあの道を走ってたよ。あ、でも昨日川で休憩とったり、山小屋で寝たりしたから――」

「何!?」

「何だって!?」


 突然、セリーンとアルさんが酷く驚いた様子でこちらを見てきた。


「え?」

「山小屋で寝たって、あいつも一緒にってことだろ!?」

「え? あ、で、でも私寝たっていうか気を失ってたみたいだから、向こうはずっと起きてたのかも」

「それでは何かされていてもわからないではないか!!」


 凄い剣幕で言われて初めてその意味を理解した私は焦って言う。


「何もされてないよ!! た、ただ私の身体をあっためてくれて」

「あっためてくれただと!?」

「あっためてくれただって!?」


 ほぼ同時に大声を張り上げた二人に私は慌てて付け加える。


「防寒服を貸してくれて、火を焚いてくれたの!!」

「そ、そういうことか」

「ふぅー、焦ったぜ」


 またも同時に息をついた二人に、私もほっと胸を撫で下ろした。妙な誤解をされたくはない。


「だがカノン、お前は気を失っていたのだろう?」

「本当に大丈夫だってば! だってあの人、私のこと銀のセイレーンだからって化け物扱いしてたし……っ!」


 私は自分の失言に気づき咄嗟に口を塞いだ。だがすでに遅い。

 アルさんが目の前にいるのに銀のセイレーンのことを口に出してしまった! ――でも、


「あぁ、もう知ってるよ。カノンちゃんが銀のセイレーンだってこと」


にっこり笑顔でそう言われ、私はなんだか拍子抜けしてしまった。

 アルさんがラグを指差しながら続ける。


「こいつが昨日全部話してくれてさ。まぁ、俺が頼んだんだけど。でも驚いたなぁ、カノンちゃんがあの伝説の銀のセイレーンだなんてなぁ」

「あ……、すいません。なんか、あはは」


 例の伝説のことを思い出し、私は空笑いしながら言う。すると。


「えー、なんで謝んの? カノンちゃんの歌、俺聴いてみたいなぁ」


 屈託のない笑顔でそう言われて、私は目を見開く。

 ――そうだ。ここにいる人達は皆、私を化け物扱いなんてしない。同じ人間として見てくれている。

 そんなごく当たり前のことに、じんわりと胸が温かくなる。喉がきゅっと苦しくなる。


「ありがとう、ございます……っ」

「え!? ちょ、カノンちゃん泣いちゃったけど!?」


 昨日からずっと張りつめていたものが、ここで切れてしまったみたいだ。

 後から後から涙が零れてきて困った。


「お、俺が泣かせたのか!? なぁ、おいラグ! 俺なんか悪いこと言ったか!?」


 慌てた様子のアルさんに泣きながら笑ってしまった。

 セリーンがそんな私の頭を優しく撫でてくれた。――でも、そのときだ。


「うるっせぇんだよ!!」


 それまで黙りこんでいたラグの甲高い怒声が飛んできて途端涙が引っ込んだ。

 彼はこちらを見てはいなかった。そしてまた口を閉ざしてしまった。

 ――彼が不機嫌なのはいつものことだけれど、やはり焦ってしまうのは私がまだそれに慣れていないからだろうか。

 でもそこで私はまだ彼にお礼を言っていないことに気がついた。彼はそんなことで怒るようなタイプではないけれど、私は慌てて涙を拭って口を開いた。


「ラグ、来てくれてありがとう! すごく嬉しかった! さっきも助けてくれてありがとう!!」


 逆風に負けないよう声を張り上げる。すると、少しの間を置き、彼がどうにか聞き取れる声で低く言った。


「……お前、さっきあいつの前で歌ってただろう」

「うん。一か八かだったけど、でもちゃんと効いたみたいだったよ!」


 私は少し自慢げに言う。ハミングでもセイレーンの力が発揮できるとわかったのだ。

 あのときはとにかく必死だったけれど、今改めて考えるとこれはかなり凄い発見ではないだろうか。だが、


「なんでそんな無茶しやがった!」


またしても飛んで来た怒声にびくりと肩をすくめる。

 そしてこちらを向いた少年の顔を見て、咄嗟に彼が今少年の姿で良かったと思った。それほどラグは怒っていたのだ。


「オレ達が間に合ったから良かったものの、あの野郎に殺られてたかもしれねぇんだぞ!?」

「で、でも、私には歌しかないって思ったから……」

「使いこなせてもいねぇくせに生意気なこと言ってんじゃねぇ!」

「おいおい、ラグ」


 私が何も言えなくなってしまったのを見兼ねてか、間にいるアルさんがラグに声をかけてくれた。


「てめぇは黙ってろアル! いつも言ってるけどな、お前が死ぬとこっちが困るんだよ!」

「わ、わかってるよ!」

「わかってねぇ!!」

「てりゃ」


 突如、アルさんのチョップがラグの脳天を直撃した。


「いってぇ! 何しやがんだ!!」

「いや、丁度頭が叩きやすい位置にあったもんでさ」

「はぁ!?」

「なんて冗談はさておき、お前なぁ。そんなんだからいつまでたっても彼女出来ないんだぞ?」

「!? か、関係ねぇだろうがぁ!!」


 少年の顔にさっと赤みが差す。

 私も何で今そんな、それこそ冗談のような話になったのかわからなくて呆然と前の2人を見つめていた。

 と、アルさんが困ったような笑顔でこちらを振り返り、そのまま小声で私に言う。


「カノンちゃんごめんね~、こいつホントに素直じゃなくてさ。カノンちゃんのことが心配で心配で昨日からずーっとイライラしててよ、ホントは今嬉しくてしょーがないんだぜ。だから許してやってくれな」


 最後にウインクまでしてくれたアルさんに、私は咄嗟に生返事しか出来なかった。

 ……失礼な話だけれど、アルさんの言葉はどうも軽くて、正直どこまで本気にしていいのかわからなかった。


(どう見ても、嬉しくてしょうがないってふうには見えないし……)


「おいてめぇアル! 今何言いやがった!?」

「別に何も~」


 飄飄と前に向き直ったアルさんにラグはまだ何か言おうとしたが、諦めたのか大きく舌打ちして背を向けてしまった。


「全く、可愛いやつめ」

「え?」


 耳元で、それまでずっと黙っていたセリーンのうっとりとしたような声が聞こえて私は視線を向ける。

 彼女はラグの小さな背中を愛おしげに見つめていた。


「あの子は、本来責められるべきである私に何も言わなかった。それよりも自分があの時あの場にいなかったことを悔いているんだろう。それでずっとああして苛ついているのだからな。可愛いだろう?」


 そう言って優しげに微笑むセリーン。そしてこっそり教えてくれた。


「……あの子の取り乱した姿、お前にも見せてやりたかったぞ」


 私は彼女の視線を追うようにしてラグを見た。

 彼の背中はまだ怒っているように見えた。でも、先ほど怒鳴られて落ち込みかけていた私の心はいつの間にか灯が点ったように温かくなっていた。


(ラグ、そんなに心配してくれてたんだ……)


 もう一度ちゃんとお礼が言いたい。そう思った。

 彼の取り乱した姿は全く想像つかないけれど、あんなに急いで向かっていたストレッタから引き返してきてくれたのは事実だ。――と、そこで大事なことを思い出す。


「そ、そうだ。ストレッタから引き返してくれたってことは、例の話はまだしてないってこと?」


 銀のセイレーンをラグが始末したと言う嘘の話。それを伝えるためにラグは急いでストレッタに戻ったのだ。

 するとラグが不機嫌そうに、それでも答えてくれた。


「一応、言伝は頼んできた」

「じゃぁ、もうストレッタには行かなくていいの?」

「あぁ。だがランフォルセにもうこの話は通じねぇだろうな……」


 そうだ、ランフォルセからの使者であるフィエールに見られてしまったのだから。


「まぁ、その辺りはまた後で考えるとしてだ。アル、お前ここで降りろ」

「えぇ!?」


 ひっくり返ったような声を上げたアルさんの後ろで私も驚く。

 “ここ”はまだビアンカの背の上で、空の上だ。けれどすぐにアルさんもラグと同じ術士であることを思い出す。彼らにとっては別段おかしな会話ではないのだ。


「ここからだったらまだ今日中に戻れるだろう。アイツだとやっぱ少し不安だからな。お前からちゃんと話してくれれば」

「ちょ、酷くね!?」

「何が酷いだ。もう力は十分に回復しただろう。これ以上離れちまったら面倒なのはお前なんだからな」

「そういう意味じゃなくって、俺もお前らについて行く気満々なんだけど!?」

「――は!?」

「え!?」

「!?」


 アルさんのまさかの台詞に3人同時に声を上げていた。


「何だよ皆して~。ここまで乗りかかった船だぜ? ここで俺だけ抜けるとかありえないでしょ!?」

「つかお前ストレッタはどうすんだ!? 生徒がいんだろうが!!」

「それがさ~、やっぱお前がいないとつまんねぇんだよなぁ。ストレッタ全体に覇気がねぇっつーかさ……。ってか俺がいた方が何かと便利だろ? それにほら、」


 アルさんが意味あり気な笑顔でこちらを振り向いた。


「運命の人に出逢っちまったしな」


 その熱い視線の先は勿論セリーン。しかし彼女の視線はわなわなと震える少年に釘付けで、残念ながらその視線が交わることは無かった……。


「ふっざけんな!! 即帰れ! お前がついて来るなんて冗談じゃねーぞ!!」

「またそーやって素直じゃねーなぁ~。嬉しいくせによっ!」


 なぜかそこでまたベシっとラグの頭に容赦ないチョップが入る。

 ラグはまた悲鳴と怒声の混ざった声を上げ、そしてそれはしばらく止みそうになかった。


 ――本当に、アルさんもこの旅に加わることになるのだろうか。


(すっごく明るくなりそうだけど、ラグはきっと大変だろうな……)


 今も怒鳴り続けているラグを見ながら私はこっそり苦笑したのだった。



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