第二戦 柔道部へ挑め!
「それでは、只今より柔道部対科学部の試合を始めます」
アナウンスがかかった。
「うっしゃ!行くぞ!」
柔道部の一番強そうなやつが仲間に呼び掛ける。
敵は三人か…。
二階で観察しているのは俺と鶴橋。
他の部員は部室で休憩中。
応援する気無し。
優勝すれば部員全員に記録が入るのにねぇ。。。
両者睨み合うこと1分。
お互いに技をかけようとしない。
柔道部は主将が下がって後の二人が前に出ている。
なるほど。二人倒されたとしても自分が戦うのは疲弊した科学部員。
そうなるとまず負けは無い。
そう考えているのだろう。
1分半過ぎたあたりで動きがあった。
柔道部員の一人が横溝に仕掛けた。
「来ないならこっちから行くぜ!背負い投げ!」
さすがは柔道部。投げ技が基本か。
横溝が綺麗に投げられた。
「うあ!」
ダーンという凄い音とともに横溝は叩きつけられた。
横溝はそのまま柔道部員に抑えつけられてしまった。
「これでもう動けまい!文化部が調子に乗ってんじゃねぇ!」
すると横溝はポケットからラテックスを出して柔道少年の顔にかけた。
「うあ!臭ぇ!何だこれ!?てめぇ!ふざけんな!」
「身体能力だけじゃ勝てねぇってことを教えてやるよ。それと…文化部をバカにした罪、その身で覚えろ!」
横溝キレてる。
上から見ていた俺や鶴橋にもわかった。
「今てめぇにぶっかけた液体はラテックスと言ってなぁ、免許がないと扱えない程の毒薬だ。ま、俺はこんなところで人殺しになりたくないんでね、こいつで中和してやるよ!」
そう言ってラテックスに酢をかけた。
「今度は酢か!うあ!?何だ!?何しやがったテメェ!」
柔道部員が驚いた。
ラテックスが固まり始めたからだ。
「うあぁ!息ができねぇ!大将!すまねぇ、俺は降参だ。畜生、こんな文化部なんかにぃ!」
「あぁ?降参?そんなに嫌ならしなくてもいいんだぜ!?ラテックスで窒息死するまでやってもいいんだぜ?」
横溝がそう言ってる間に柔道部員は会場を出て行った。
「根性無し目が!使えねぇな。ザコが!」
大将怒ってる。
「ねぇ、大祝?ラテックスって危険なの!?そんなの持ちださせたの!?」
鶴橋が質問してきた。
「いや、全然。ゴムの原料だよ。酸入れると固まる。ただ臭いがきついんだ。仮設便所のきっついやつ見たいな感じなんだよね」
「え?じゃああれって嘘?」
「あぁ横溝の言ってたこと?嘘だよ。相手を惑わすために言ったんだろ。現に一人降参させたし。戦いの場では精神に攻撃するのもかなり有効なんだ。まぁ、あの強烈な臭いの中じゃあどっちにしろまともな投げ技は出せなかっただろうけどね」
「そんなにきついんだ…」
「さて、次は水橋がもう一人を倒すかな?そうすると米原が大将かな?」
水橋ももう一人の柔道部員と戦っていた。
ただ、何もしないで相手の攻撃を避けているだけだが…。
「ちょこまかと動きやがって!まぁ、俺が怖いのは分かるが逃げてるだけじゃ勝てないぜ!」
柔道部員の挑発にも水橋は無言。
「ねぇ、あれはどんな戦略なの?剣道だとあれじゃ持たないよ!?」
鶴橋が質問してきた。
「え?あれは…。わからん。何で仕掛けないんだろ…」
「タイミングを見てんのかな?」
「いや、その割には逃げてばっかりだな…あれだとお互いに体力だけを使うんだけど…」
「それより、どうして米原君は大将を攻めないの?」
「柔道部にまともにぶつかったら勝てるもんも勝てないだろ。だから、相手の対象以外のやつが邪魔してこない環境になるまで待ってんだ」
「一騎討ちってこと?」
「まぁ、基本的には。でもまぁ、こっちは横溝がいるから一対一にはならないと思うけどな」
「じゃあちょっと有利?」
「どうだろうか…。あの大将が分からない。基本的にぶん投げられたら終わりだからな」
「そうか…」
話してる間も水橋は逃げ続けていた。
「ええい!いい加減にしろ!」
そう言って柔道部員は投げ技を繰り出した。
「米原!今!」
水橋が叫んだ。
次の瞬間投げの体制に入っていて無防備な柔道部員に米原が強烈なドロップキックをヒットさせた。
そして、倒れた柔道少年に腕挫ぎ逆十字固めを決めた。
「もう止めとけ。腕折るぞ!」
「うあぁぁ!痛てててて!無理無理無理!降参!降参!離せ!離せって!」
これにより残りは敵大将だけになった。
「え?何であんな技使えるの!?科学部だよね!?」
不思議そうな鶴橋。
「えっと…。あいつはプロレス好きだったり昔柔道ならってたりしたからさ…」
「は!?それで科学部?」
「うん。。まぁ、羊の皮を被った狼ってやつ?」
「反則のような…」
「いいのいいの。一応部員だしな」
「そんなことより、何で避け続けてたかわかったよ」
「え?何で?」
「チャンスをより確実なものにするためさ」
「どういうこと?」
「空振りってのはヒットした時よりも体力の消費が激しいんだ。その上あいつは相手を怒らせただろ?それで怒りにまかせて疲れた体で攻撃させた訳よ。そうすれば、自然と一回一回の隙が大きくなるってわけさ」
「なるほど。それで大きな隙ができたらそこに付け込んで攻撃するわけか。確かに剣道でも空振りは疲れるからなぁ」
「だろ?まぁあるいみ体力勝負ではあるけどな。水橋の体力もよく持ったよ。きっとギリギリまで避け続けたんだろう」
「あ、ホントだ。端っこに座っちゃった」
「もうあれじゃ動けないだろう。大将戦どうするのかな…」
「ほう。まさか科学部なんかがあいつらを倒すとはな…。だが…貴様らもここまでだ。俺が踏みつぶしてやる!」
そう言うと大将は科学部員の一人に狙いを定めた。
「まずは貴様からだ!消えろ!」
狙われたのは一番奥にいた水橋。まだ体力が回復いしていない。
「喰らえ!」
そう叫んだ瞬間強烈な蹴りが水橋を直撃。
横溝が駆け付けたが手遅れだった。
水橋は卍固めを喰らっていた。
「おい!お前!これ以上近づいたらこいつの腕を折るぞ」
横溝は近づけなかった。
そして…。
「…降参だ…」
水橋が降参した。
「ははは!投げ技だけが柔道と思ったか!次は貴様らだ…!」
「ねぇ!どうしよう…!水橋君がリタイアしちゃった!」
鶴橋が心配そうに言った。
「まぁ、怪我はねぇと思うけど…。あいつ…。なかなか頭がキレるな」
「え?何でわかるの?」
「だってよ、普通なら一番近くにいるやるを気にして奥までは行かないだろ。それが今回は真っ先に動けない水橋を仕留めた。体力が回復する前に仕留めておけばやりやすいからな」
「…?それって普通なんじゃない?一番弱そうなのねらうでしょ?」
「そう?」
「うん…」
「科学部でリタイア出したのはあんたが初だ。褒めてやる」
横溝が言った。
「調子に乗ったことを言いやがって。後悔させてやる!」
大将が横溝に走りかかってきた。
「喰らえ!イケメンビーム!」
そう言ってラテックスを大将に投げつけた。
「ビームじゃねぇ!ってオウッ…。気持ち悪…。なんだこの悪臭は!」
「ラテックスだ!」
「ちっ…。こざかしいマネをしてるんじゃねぇぞ!」
そういうとまた横溝に走りかかってきた。
「喰らえ!お化けキューカンバー!」
そう言うと酢酸を投げつけた。
「キューカンバー?キュウリ?って酢じゃねぇか!目に入った…!痛ぇ!うお!固まってる!ゴムか!?」
「そうだ!ゴムだ!ラテックスは酸に反応してゴムになるんだ!思い知ったか!さっきも使った手だがな!にとりは俺の嫁ぇ!」
「くそっ!思うように動けねぇじゃねぇか!ふざけんな!最後の一言いらねぇだろ!」
「ねぇ、にとりって何?」
鶴橋が聞いてきた。
「え?ああ…。うん…。知らなくていいよ。重要じゃないし…」
「そう?気になるんだけど…教えてよ!」
「あ~…。知らなくていいって!いいから見てなさい!」
「え~?」
「ちっ、早々に決着付けねぇと…俺がダウンしちまう!臭いで!」
大将、ラテックスの臭いで一気にピンチに。
「そっちのふざけた野郎からぶっ潰してやる!喰らえ!巴投げ!」
大将が横溝を投げようとした。その時…
「させるか!」
そう叫んで米原登場。
「不死 火の鳥-鳳翼天翔-」
米原はチャッカマンに火を付けその火に酸素ボンベを噴射した。
とんでもない炎が大将と横溝の方へ。
「ぎゃーー!熱っ!待て待て!何で俺まで!?」
御子溝の悲痛な叫びが聞こえてくる。
「これ以上やるならもっと近づいてあんたを燃やすが?」
大将に脅しをかける米原。
そして…
「ここまでか…。わかった。降参だ…」
敵大将降参!
「わっ!早く!早く止めてって!マジで!燃える!ヤバい!」
横溝がうるさい。
こうして科学部の第二戦は勝利で終わった。
「勝った!勝った!凄いよ!」
と、鶴橋。
「まぁな!俺の下僕は強いぜ!あんたのようなつるペたとは訳が違うのさ!」
「殺す…!」
「うあ…?あー!」
俺、戦闘不能。。。
横溝と米原は先に戻っていた水橋に勝利を報告した。
俺と鶴橋も部室に到着。
「あ!祐輔!勝ったぜ!そのあざ何?」
横溝が嬉しそうに言った。
「見てた。あざはちょっと…ね」
「見てたんだ!どうよ!俺のイケメンビームとお化けキューカンバー!」
「どっちも投げるという動作は一緒じゃねぇか。投げる物変わっただけだろ」
「バレたか…」
「次の相手は野球部だって!」
そう言ったのはなすの。
「そうなの?じゃあ武器はもしかして…」
「うん。バット」
「うあ~…やっぱりか…ヤバいな…」
「あ、硬式のボールも使ってた!」
「うあ~…どうしよう…」
次の対戦への作戦を練る科学部であった。
柔道って…。
技知らないんですけど…。
書いてみました…。
途中からふざけてみました。
元ネタのお話
イケメンビーム:アニメ「お願いマイメロディ」でウサミミ仮面が使う必殺技。
仮面取るとでる。
にとり:東方風神録の3面で出てくる河童。お、値段以上は関係ないっす。
お化けキューカンバー:なかなかのネーミングセンスを誇るにとりのスペルカード。緑の光線が飛んでくる。
不死 火の鳥-鳳翼天翔-:東方永夜抄のExステージで藤原妹紅が使うスペルカード。
ラテックスの臭いは半端じゃないですよ?一度体験してみて下さい。
オススメはしませんけど…。
火炎放射機はマネしないでください。
酸素じゃなくて市販の消臭スプレーでもできることは秘密です。
危ないので止めましょう。