VS柔道部 作戦会議
「う~っす!凱旋!」
俺が元気よく化学室の扉を開けた。
「見てたよ!ナイスファイト!運動部相手によく勝ったね!運動部に文化部が勝ったって話題になってたよ。5年前の吹奏楽部以来だって!」
そう言ってるのは同じ科学部メンバーの中島なすの。科学部唯一の女子部員。でも文系。
「ん。まぁ、俺にかかればこんなもんよ!で、今度の作戦会議にはこいつにも参加してもらうから」
そう言って俺は後ろにいた鶴橋を前に出した。
「えっと。。。剣道部の鶴橋弥生です。あの…。対戦相手でした」
鶴橋の自己紹介。
「あ、怪我してるじゃない!え~と…。消毒には…オキシドールか」
結構気がきくなすの。ってか、実験用の薬品で手当てするのはどうかと…。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ。全く、祐輔!女の子に怪我させちゃダメでしょ!」
「どこの保護者だよ…。だってさ、試合だったからな。選んだ武器が悪かったか?」
しばし談笑。
「で、次の試合なんだが…」
俺が切り出す。
「次は、俺、米原、水橋で出てくれない?」
水橋…。こいつはかなりの頭脳派。力こそないが戦略には長けているはず。
「ちょっと待って!」
口を挟んできたのは鶴橋。
「あんたさっき私の技喰らって負傷してるじゃん!だったら横溝君の方が戦力になるんじゃないの?車懸りの陣って知ってる?次々に新しい兵力を投入できる陣形なんだけど、そっちの方がよくない?一人で体張る理由も無いでしょ?」
「主役が出ないってのもどうよ…。まぁいいか。じゃあそうするか。横溝、米原、水橋の三人で行く!異論は?」
よし、無いな。
「次は武器か…。何か良いものある?」
俺は呼び掛けたが返事がない。
「おい鶴、科学部と言えば?」
「鶴って…。つる?ペたがないと立派なニックネームっぽくなるから止めて~。で、科学部ねぇ。。。炎色反応とか、水素結合とか…?」
「え~…。使いづらいものばっかじゃん…」
「そう?じゃあ聞くなって…」
「あ!あれどう?ラテックス!後は酢酸でも持って!」
「いいね、それだけだとこころ細くね?」
そう言ったのは米原。
「じゃあけん制の意味も込めてこれも持ってけ!薬品じゃないからいいだろ」
そういって俺は酸素ボンベとチャッカマンを手渡した。
「いかなる手段を用いても勝ってこい!燃やしても構わない!」
「いや!構うだろ!」
突っ込んだのは水橋。
こうして会議は終了。
柔道部との決戦に向かった。
「私、この会議に必要?」
鶴橋…。誰しもが思っていることを言うなって。。。
「え…。ひ、必要…」
適当にごまかす俺であった。