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護衛の仕事で成り上がれ  作者: 肩ぐるま


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第16話 ハイドになったルージー

自分の部屋に戻ってくると、アールが出かけるところだった。

「結構矢を使ったから補充しないといけないの」

「武器屋に行くなら付き合うが」

「なら、一緒に行きましょう」

宿屋で遅くなった朝食を食べ、3人で武器屋にやって来た。

アールが矢を選んでいる間、俺は鎧を見ていた。俺はちゃんとした鎧を着けていなかったので鋼の胴鎧を買った。

その間にルージーが木剣を見つけて、

「旦那様、稽古を付けて欲しいです」

「ルージーは十分強くなったと思うけど」

「まだまだ旦那様にはおよびません」

「それなら、この木剣を買って、宿屋の裏庭でも借りるか」

ルージーが木剣を6本も買っている。何に使うんだろうと思いながら、金を払う。

アールも矢筒5本分を買い込んで、一旦宿へ帰る。

「旦那様、早速、お願いします」

とルージーが木剣を渡してくる。

「えっ、早速か?」

俺の中で、ルージー戦闘狂疑惑が持ち上がった。

ルージーに裏庭に連れ出され、木剣を構える。

「ちょっと待て、俺は木剣で、なんでルージーは鉄のメイスなんだ」

「これくらいのハンデは当然でしょう」

と言うなり、ルージーは打ち込んでくる。

やばい、速い。これ、当たったら、洒落にならねえわ。

必死で避けるが、ルージーは容赦なくメイスを振ってくる。

『なんで?俺、ルージーに恨まれてる?』と考えて思い当たった。アールのことを怒っているのか?

「なあ、ルージー、手加減してくれよ」

そう声をかけると、益々攻撃が激しくなる。とうとう、躱しきれずに木剣で弾くと木剣が折れた。

「次の剣です。まだ5本あります」

と木剣を渡してくる。やばい、目が座っている。

「なあ、ルージー」

と声をかけている間にも、メイスを打ち下ろしてくる。

結局、木剣が6本とも折れるまでルージーは止めなかった。

「ふー、スッキリしました。旦那様、お相手ありがとうございました」

そう言ってお辞儀をすると、ルージーは部屋に戻ってしまった、

最初から横で見学していたアールは

「妬いているようね。いい子じゃない。大事にしてあげなさいよ」と呟いて、部屋に戻っていった。

結局、冷や汗まみれの俺だけが裏庭に取り残された。足元に散乱した折れた木剣を拾い集め、宿屋の親父に焚付の材料にしてくれと渡すと喜ばれた。


手持ちの金が減ったが、まだ金貨3枚以上ある。

「街を見物するにも、立ち入り禁止の場所が多過ぎるしな。ずっと宿に居るしかないか」

ルージーはあの憂さ晴らしですっきりしたのか、あれ以上立ち合いを言ってこない。

『庭を借りて、風魔法の訓練でもするか』

風魔法は盗賊との闘いの最中に使えるようになっていたが、実戦ではまだ使っていなかった。

庭とはいえ、風魔法のウインドカッターを庭で撃つのはやばい。となるとウインドシールドか?そんな魔法使えるのかな?

俺は庭に出て、風魔法のスペルブックを持った奥の手を出し、弱く力を込めたウインドシールドを展開する。

俺の周りに、つむじ風のような弱い風の壁が出来たのが分かる。手を伸ばしてみると、手に風が当たる。風の勢いは、それ程強くない。

そのウインドシールドを維持したまま、腰の剣を抜いて素振りをしてみる。風の勢いをもう少し強くすれば、矢を逸らすことも出来そうだ。1時間ほど、ウインドシールドを使ったまま、剣の素振りや他の奥の手の練習をした。

ラノベによくある魔力切れは起こさなかった。

部屋に戻ると笑顔のルージーがタオルを持って待っていた。まるでジキルとハイドだ。ハイドのルージーは、今は影もない。

「旦那様、汗をお拭きしましょう」と言って、俺の服を無理やり脱がせて、お湯で汗を拭いてくれる。いや、下半身まで拭かなくていいんだが。

とはいえ、汗を拭いてもらってさっぱりした俺は、

「外へ飯を食いに行くか?」と2人を誘う。

「行きましょう」

「お供します」

と、それぞれの返事を聞いて街へ繰り出した。

城塞都市だけあって、街行く人の3分の1以上が兵隊だ。

アールは金属の兜を被っていて顔が分からず、顔を晒しているルージーは背が低くて少女に見えるので、男に絡まれることはない。

小間物屋で、2人に安物のアクセサリーを買ったりしながら、美味くて安い店を何件か教えもらう。

入ったのは、森の茸亭というメルヘンな名前だが、店の中では暑苦しい熊みたいな親父がコックと給仕をやっている、名称詐欺みたいな店だった。この店の名物だという壺焼き茸のミートパイは話以上に美味く、2杯ずつ食べ、満足して店を出た。

食べているときに兜を脱いだアールに、客達がざわついていて、店を出た途端に柄の悪そうな男達に絡まれた。俺は何食わぬ顔で、見えない戦斧の腹で男達を叩きのめし、足早にその場を離れた。

もし、衛兵が来ても俺が手を出していないことを見ている証人は結構いるはずだ。

絶世の美女といっていいアールを連れ出すとトラブルが起きるので、その後は、部屋でゴロゴロして時間を潰していた。

3日後に砦から呼び出しがあり、ルートヒルトと一緒に砦に行くと、盗賊を討伐した報奨金として金貨2枚、賞金首の賞金として金貨3枚を貰った。これで俺の懐は一気に暖かくなった。

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