第8章:崩壊と新たな始まり
夏希の精神は限界に近づいていた。大学ではぼんやりし、アルバイトを辞めた。
母は心配したが、夏希は笑って誤魔化した。
「勉強が忙しいだけだから」
だが、夜になると篤の部屋で、時間を捧げた。
篤の欲望はさらに歪んだ。
『例の記録』を真似し、夏希を撮影した。
「姉ちゃん、俺たちの固い絆の証だよ」
カメラの前で、夏希の動揺する様子を記録する。
夏希は、顔を涙で濡らしながら、カメラを見つめた。
「篤…これで満足なの?」
ある日、母がいつもより早く帰宅した。
篤の部屋から漏れる異様な物音に気づき、ドアを開けた。
そこに広がる光景に、母は絶句した。
夏希と篤の抱き合う体。母の叫びが家に響いた。
「あんたたち!何してるの!」
夏希の乱れた姿、篤の支配的な体勢。
母の目は、驚愕と絶望で揺れていた。
夏希は慌てて体を起こし、乱れた服を素早く直した。
混乱の中、夏希はすべて話すことを決めた。
教授との関係の強要、盗撮の事実、篤の秘密を盾にした支配。
母は泣き崩れ、家族は崩壊した。
篤は家を追い出され、夏希はカウンセリングを受け始めた。
だが、夏希の心の闇は消えなかった。
夜、ベッドで篤の支配的な視線を思い出し、体が熱くなる。
「篤…私、どうして抵抗できなかったの…」
彼女は自分を責め、涙を流した。
一週間後、篤は親戚が経営する旅館で住み込みとして働きながら、残りの高校生活を送ることとなる。
夏希とは連絡を絶つことになり、彼女の過去に関するサイトを眺める日々。
だが、心のどこかで夏希の存在を求めていた。
一方、夏希は無事就職先の内定が取れ、来年の春、卒業と同時に家を出ることが決まった。
母との関係は修復されつつあったが、夜になると、恐怖と依存の記憶が蘇る。
「篤…あの強い感覚…忘れられない…」




