第5章:深まる闇
夏希の日常は、弟・篤の影に覆われていた。
秘密を共有したあの夜以来、彼女は鏡を見るたびに自分の姿を憎んだ。
白い肌に残るかすかな疲労の痕、瞳の奥に潜む空虚。
大学での講義中も、教授の上田の視線を感じるたび、胸がざわついた。
すべては、篤の支配が引き起こした悪夢だった。
一方、篤は興奮を抑えきれなかった。あの時の姉の表情、抑えきれぬ感情。
姉が抱える秘密を握った瞬間から、彼の独占欲は膨張し続けていた。
学校ではぼんやりと授業を受け、夜になると夏希の部屋のドアを睨むようになった。
「姉ちゃん、もっと俺の方を向いてよ」
心の中で呟きながら、次の行動を練った。
数日後、母がまた夜勤で家を空けた夜。
篤は夕食後、リビングで夏希を待ち構えた。
彼女はキッチンで皿を洗い、背中を丸めていた。
長い黒髪が肩にかかり、白いシャツとジーンズのシンプルな服装が、疲れた体を強調していた。
「姉ちゃん、今日もさ、俺の部屋来てよ」
篤の声は甘く、しかし強い要求を含んでいた。
夏希はスポンジを握る手を止め、振り返った。
彼女の目は赤く腫れ、涙の跡が残っていた。
「篤…もうやめて。こんなの、続けられない…。私、壊れちゃう…」
彼女の声はか細く、震えていた。
だが、篤は近づき、彼女の腰に手を回した。
「壊れる? 姉ちゃん、すごい反応してたじゃん。あれは、嘘だったの?」
彼の指がシャツの裾に触れる。
夏希の体は反射的に震え、抵抗する力が弱まっていた。
篤は、夏希の手を引いて、自分の部屋へ連れ込んだ。
ドアを閉め、鍵をかける音が響く。ベッドに夏希を座らせ、彼は彼女の前に跪いた。
「姉ちゃん、今日は俺が全部、最高の気持ちにしてあげるよ」
彼は彼女の心の奥底を揺さぶる言葉を囁きながら、震える身体に優しく手を這わせた。
夏希は目を閉じ、屈辱に涙をこらえた。
「篤…お願い、こんなの…家族なのに…」
篤は笑いながら、夏希をベッドに横たわらせた。
彼は彼女の弱さを包み込み、耳元で支配的な言葉を囁き続けた。
夏希の体は、意思に反して熱を帯び始めた。
行為は長く続き、夏希の心は憎しみと依存が混ざり、自分の体を呪った。
事後、篤は夏希を抱きしめ、満足げに息を吐いた。
夏希はベッドに横たわり、涙を流しながら天井を見つめた。
「篤…私、どうしたらいいの…」
彼女の声は弱々しく、心が砕け散る音が聞こえるようだった。




