第2章:疑惑の足跡
翌朝、篤は学校に行くふりをして、駅前のビジネスホテル付近をうろついた。
動画の背景に映っていた場所を確かめるためだ。
ホテルの裏口、薄汚れた看板、隣のコンビニのネオン。
すべてが動画と一致した。
「やばい…これ、マジで姉ちゃんの可能性あるんじゃ…」
篤は喉がカラカラになるのを感じた。
興奮と恐怖が交錯し、頭がクラクラした。
それでも、確信を得るため、篤は行動を続けた。
学校帰りに駅周辺を徘徊し、動画に映る別の場所を探した。
ある動画では、女性がラブホテルの一室で撮影されているシーンがあった。
窓の外に、商店街の喫茶店の看板が映り込んでいた。
それは、篤がよく通る道にある店だった。
篤は週末、喫茶店の向かいにあるラブホテルに張り込むことにした。
制服のまま、リュックを背負い、ホテルの入り口を遠巻きに観察した。
数日間、何も起こらなかった。
だが、ある金曜の夕暮れ、篤の視界に夏希らしき女性が飛び込んできた。
長いコートを羽織り、キャップを深くかぶった女性が、40代くらいの男性と連れ立ってラブホテルに入っていく。
篤は震える手でスマホを構え、撮影した。
女性の横顔は、紛れもなく夏希だった。
男は背が高く、スーツ姿。顔に特徴的なほくろがあった。
篤は二人がホテルから出てくる瞬間も撮影し、証拠をしっかりと押さえた。
その夜、篤は自室で動画を確認した。
夏希の硬い表情、男の手が彼女の腰に触れる瞬間。
怒りと嫉妬、そして何よりも言いようのない興奮が篤を支配した。
姉がそんなことをしているなんて。
しかも、動画サイトにアップされているなんて。
篤は、男の正体を調べることにした。
夏希の大学のウェブサイトを検索し、ゼミの指導教員リストをチェック。
すぐに男の名前を見つけた。
上田誠一、45歳。既婚で、厳格な指導者として知られる教授。
写真のほくろの位置まで一致した。
篤の頭は混乱していた。
姉が、なぜ?
動画サイトにアップされているあの女性は、本当に夏希なのか?
そして、なぜ教授と?




