表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/26

番外編1



 『やから、いっつも敬語で喋って来る子のタメ語ほど、可愛いもんはないですって!』




 事務所で突如始まった己の癖を暴露すると言う行為に、晴臣は耳を傾けながらも『ようわからんわ』と首を傾げていた。


 老若男女問わず受けのいい、端正な顔立ちに、すらっと伸びた背にガタイのいい体。



 極めつけには、天性の人たらしな性格から、晴臣はこれまでの人生で、自分から言い寄らずとも、自然と周りに人が集まり、常に彼女らしい相手がいたのだ。


 だが、晴臣は人たらしでありながら、人に興味がなかった。



 なので今まで多くの女性と付き合った事はあっても、本気になった事はなく、数々の女性を泣かして来た、何ともクズ野郎だった。


 そんな晴臣に、恋を知ってもらおうと言う目的で、始まった若月組の皆さんの恋愛トークはいつしか、己の癖を暴露する場となり、高良の熱弁に他の組員たちは『分かる』『ええ趣味しとる』と腕を組み頷いている。



 そんな中、晴臣だけには刺さっておらず『どう喋ろうが一緒やろ』と言うのだった。




 『まじで言うてるんですか!?』


 『こんなんがモテるとかほんま、訳分からんわ』




 組員らのブーイングに『え〜……そんなに?』と眉を顰める晴臣。




 『酔った子が、タメ語で甘えて来たらやばいでしょ!?』


 『晴臣ぃ〜って甘えられんねんで?』


 『別に、何とも』




 そう言う晴臣に、組の皆さんは『こいつ、まじか』と『糖分の取りすぎて頭イカれてんのちゃうか』と批判する。




 『この良さが理解できひんとか晴臣お前、損してんで!』




 そうは言われるも、別にどうでもいいので、損はせんやろと思っていた晴臣。


 それからしばらく経ち、晴臣にもとうとう春がやって来、菖蒲と言う10歳年下の恋人ができたのだったが……。




 「晴臣さ〜ん」




 菖蒲お気に入りの焼肉屋さんへと、やって来ていた晴臣。


 菖蒲はお酒が入り何処か上機嫌だ。


 ちなみに、車を運転するので晴臣はお酒を飲んでいない。



 名前を呼ぶ菖蒲に晴臣は「どうしたん?」と聞くと、菖蒲は「呼んだだけ〜」と笑みを浮かべる。


 そんな菖蒲に一瞬固まるも、晴臣は「菖蒲くん、お酒飲みすぎちゃう。水貰おうか」と言う。



 すると菖蒲はまた「ねぇねぇ、晴臣さん」と名前を呼ぶ。


 晴臣は「どうしたん? 菖蒲くん」ともう一度聞くと、菖蒲は目をとろんとさせ、甘えたように言うのだった。




 「僕、晴臣さんのことめっちゃ好き。世界で一番好き」




 そう上機嫌に笑う菖蒲を見た瞬間、晴臣の動きは止まる。


 そんな晴臣の頭の中では、ありとあらゆる宇宙の摂理について語られる。



 何も言わずにいきなり動きが止まった晴臣に驚く菖蒲は「晴臣さん? 大丈夫?」と心配そうに言うも、晴臣は「大丈夫大丈夫。ちょっと宇宙の摂理について考えてただけやから……」と言う。


 そんな晴臣を不思議そうに見つめ首を傾げる菖蒲。



 あんだけ、あいつらの言う事否定したけど……最っ高やわタメ語……。




 晴臣の新たな扉が開いた瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ