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名残りの雪  作者: yukko
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シンデレラ

ここは煌びやかな舞踏会。

その中央で優しい色のドレスを身に纏い、美しい限りの令嬢が佇んでいる。

その令嬢に……まるで引力が起こっているかのように王子様が近づいて………。

二人は見つめ合った。

そして、音楽が鳴った。

惹かれあう二人はダンスを始めた。


⦅うわぁ~~~っ、めっちゃ綺麗!

 あの……令嬢は……香川先輩!

 きゃあ~~~っ、素敵!

 ………じゃ……あ……王子様は……やっぱり、先輩……。

 何時見てもお似合いな二人………。⦆


そして、12時になる少し前。

令嬢は急いで帰って行く。

追いかける王子様。

令嬢は靴を階段の所で脱げてしまっても、靴を取りに戻ることなく帰って行った。

令嬢が階段に残した靴を拾い上げて、大切な宝物のように王子様は見つめた。

そして、令嬢が立ち去った方向を見つめた。

城の外へ出られるドアの方を見つめた。



それから、王子様は令嬢を探しているようだ。

手掛かりは残された令嬢の靴。 

この靴が合う令嬢を探している。

令嬢には二人の姉が居る。

姉は継母の娘で令嬢とは血が繋がっていない。


⦅止めてぇ―――っ!!⦆


目の前で、上の義姉がナイフで爪先(つまさき)を、下の義姉もナイフで……下の義姉は(かかと)を切り落とした。


⦅嫌ぁ―――っ!⦆


使者がやって来た。


「この屋敷のご令嬢に吐いて頂きます。

 さぁ、どうぞ…………なんということをっ!」

「どうかなさいました?」

「血が流れておるではありませんかつ!」

「血? そのような………。」

「見えないとは申せませんぞ。

 血が足から出ておる。ストッキングに血が滲んで居るではないか!」

 足を切られたのかっ!」

「いいえ! そのようなこと………。」

「この二人以外の令嬢は………おられますね。」

「はい。」


目の前に血が滲んだストッキングを穿いている二人の義姉。

二人の義姉を後目(しりめ)に王子様と踊っていた令嬢が靴を履いた。

その靴はピッタリ!


⦅あぁ……香川先輩が……お相手に決まったんだなぁ……。

 あのお姉さんたち大丈夫なのかな?

 めっちゃ痛そう……。⦆


痛そうな二人の義姉達とは対照的に、令嬢は美しい花嫁になって、王子様とヴァージンロードを歩いている。

結婚式は無事に終わりに近づいた。

新郎新婦が座っている。


「シンデレラ……私は貴女を妃に迎えられて幸せだ。」

「王子様……私も幸せでございます。」


シンデレラの両脇に座った義姉二人の目を……シンデレラの両肩に止まっていた白い歯とが……くり貫いた。


⦅ギャ―――っ!⦆



そこで、美咲は目が覚めた。


⦅怖いぃ………怖い………。

 怖すぎる……川崎さんのせいだぁ!⦆


香川先輩と……想いを寄せている先輩。

二人の結婚式を、ただ眺めていた美咲の夢。

でも、ただ眺めていただけではなく……恐ろしい場面を幾度も見せられて、美咲は二人の結婚式の場面が記憶から消え去っていたことに気付かなかった。

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