昔話
想いを寄せている先輩が隣に座って、少しだけでも二人だけで話せた喜びを美咲は感じている。
「どうしたのぉ~?
なんか、めっちゃ嬉しそう。」
どうやら、その喜びが思わず溢れ出ていたようである。
⦅しのぶれど 色に出にけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで⦆
「そ……うですか?……そんなこと……いつもと同じですよ。」
「そおぉ~~っ?」
「……え……っと……。」
「うん、なぁに?
先輩に吐いちゃいなさい。」
「えっ? 吐くほど食べてません。」
「ぷっ……あはは………。」
「せんぱい?」
「あぁ……可愛いなぁ………。」
「……はぁ………。」⦅何が可愛いんだろう?⦆
「近くに香川さんでも居たの?
それで、お喋り出来たの?」
「香川先輩? おられませんよ。」
「じゃあ、なんで?」
「………お……いしかったから?」
「美咲ちゃん、ほんと、可愛い後輩だわ。」
「可愛い後輩にお話しようか……。」
「おっ! 川崎君ではありませんかっ!
でっ、何の話?」
「美咲ちゃんにピッタシ、の話。」
「お昼休みが終わるまでに終わるのよね。」
「もちのろん!」
「じゃあ、聞こうね。美咲ちゃん。」
「はい。」
「昔々、ある国にシンデレラと呼ばれているお嬢様がおりましたとさ。」
「なぁんだ。シンデレラなんて誰でも知ってるじゃん。」
「私、知ってます。」
「そうよねぇ……。」
「まぁ、聞き給え。君達!」
そう言って川崎は話し続けた。




