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名残りの雪  作者: yukko
20/30

恋人たちのクリスマス

美咲は初めての冬のボーナスで家族にプレゼントをすることにした。

何がいいか?と考えに考えた結果、両親には映画のチケットを2枚買った。

両親が見たいと話していた映画である。


「なんとっ! 美咲が……。」

「美咲、いいの?」

「いいよっ! クリスマスに観に行ってよ。」

「どうして?」

「クリスマスデートして欲しいなぁ~。」

「デー……美咲、親を揶揄わないで!」

「揶揄ってなんかないよぉ~。

 二人でデートって何時以来?」

「美咲……。」

「美琴が生まれる前だな。」

「お父さん……恥ずかしいから止めて……。」

「へぇ~~~っ、でっ、どこに行ったの?」

「初めてのデートは映画だったよ。」

「そうなんだ。どんな?」

「お終い!」

「お母さん、いいじゃん。」

「駄目よ。お父さんとの大切な想い出だから内緒。」

「それは、それは……御馳走様でした。」

「美咲っ!」

「ご馳走様でした!って言うのよね。」

「そうだ。合ってるよ。」

「もう………。」

「合ってたんだ………ご馳走様でした。」


姉夫婦には豪華な食事を!言えるほどのボーナスを貰っていない。

それでも食べられるようになった姉に食べて欲しくて、実家の近くの店を選んだ。

小さな店だが、小さな個室もある。

そこをクリスマスに予約した。

勿論、先に支払い済みで……。


「美咲ちゃん、いいのかなぁ?」

「いいんです。その代わり!」

「その代わりが怖いわ。」

「お姉ちゃん!」

「その代わり、何?」

「赤ちゃんを抱っこさせて!」

「なんだ。そんなことでいいのか?」

「うん、いいの。お義兄さん。」

「美咲……抱っこだけじゃなくてオムツ替えの権利も取得出来るわよ。」

「オムツぅ~………それは、ちょっとご辞退申し上げます。」

「まぁ………うふふ………。」


兄夫婦には……見つからなかった。

見つからなかったので、食事券を贈った。


「おおっ! クリスマス前にThank you!」

「これで良かった?」

「もちのろんだ!

 クリスマスで奥さんとディナーする時に使わせて貰うぜ。」

「奥さん、って………プっ……。」

「笑ったな。」

「……いいえ、そのようなこと致しておりません。

 では、兄上様、義姉上様に宜しくお伝え下さい。」

「承知!」


⦅夏のボーナスは少なかったから、冬のボーナスでプレゼントしたけど……

 みんな喜んでくれて、めっちゃ嬉しい!

 それにしても……仲が良くって……なんか嬉しいな。

 ……あれっ? ひょっとしてクリスマスは私一人?

 あ………一人でクリスマスか……まぁ、いいや。

 チキンは……コンビニで買おう! ショートケーキも買って……。

 ローソクは……無くていいや。⦆


そう呟いて、美咲は少しだけ寂しくなった。

両親もデート、姉夫婦もデート、兄夫婦もデート。

美咲だけが一人で家に居る一人だけのクリスマスを今年は迎える。

そして、同期も恋人とのクリスマス。

先輩たちも恋人とのクリスマス。


⦅クリスマスは恋人たちの為にあるんじゃないかな?

 恋人たちのクリスマス。

 ………先輩は………先輩は………香川先輩とデートなのかな?⦆


その二人が寄り添う姿を目にしたら、きっと、また胸が痛む。

それだけは美咲にもはっきり分かる。

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