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名残りの雪  作者: yukko
18/30

紅葉狩り

歩道の樹木も少し色付き始めた頃、美咲は家族と紅葉狩りに出掛けた。

姉の悪阻が治まり、少し遠出が出来るようになった。

姉の夫が「紅葉狩りに行きませんか?」と誘ってくれたのだ。

両親と美咲も姉夫婦との紅葉狩りは思っても居ない贈り物だ。

色付いた山の木々。

寺の紅葉は見事なばかりに紅い。


「綺麗ね。」

「本当!

 ……お義兄さん、連れて来てくれて本当にありがとう!」

「美琴が喜ぶことだから……美咲ちゃんも喜んでくれて嬉しいよ。」

「もおっ! ラブラブなんだからぁ~。」

「美咲……大人を揶揄うんじゃありませんよ。」

「もう18よ、お母さん。もう直ぐ19になるんだから……。」

「まだまだ18歳よ。」

「そうだな。まだまだ18だ。」

「お父さんも!」

「美琴、気分はどう?」

「ありがとう、駿。大丈夫よ。」

「お姉ちゃん、イチャイチャしないでね。」

「美咲っ! もう、あんたって子は……。」

「じゃあ、美咲ちゃんのご期待に応えてイチャイチャしようか。」

「もう、駿まで……。」


姉の頬が紅葉に負けないほどに紅くなっている。

両親の後ろを付いて歩いている美咲の後ろを姉夫婦が歩いた。

ふと、「お姉ちゃん。」と振り返って姉を呼ぶと、姉夫婦は手を繋いでいる。

繋いだその手を義兄のポケットに中に入れている。

「なぁに?」と慌てて返事をした姉は、手を離そうとしたようだ。

たが、義兄は離さなかった。

姉は抗議をするような眼差しを義兄に向けたが、義兄は全く意に介さずに笑みを浮かべている。


「仲がお宜しくて……おほほ……。」

「美咲っ!」

「お姉ちゃん、無理してない?」

「大丈夫よ、ありがとね。」

⦅お姉ちゃん、悪阻が治まって本当に良かった。⦆


美咲は姉夫婦に笑みを向けて、両親の元へ走った。

とても楽しい一日だった。



翌日、会社で紅葉狩りの話をして、スマホに収めた写真を見せていた。


「おっ! 紅葉狩り? いいね。」

「!………先輩………。」

「行って来たの?」

「はい。」

「誰と?」

「家族と行ってきました。」

「家族と……そっか……。」


同期が「先輩は紅葉狩りに行きます?」と聞いた。

それに「今年は行かないかな?」と答えた先輩は、「じゃあね。」と手を振ってフロアを後にした。


⦅顔、熱い……。

 ……まさか……赤くなったりして無いよね。

 誰にも知られたくない。

 だから、赤くなったらいけないのよ。

 気を付けなくっちゃ……。⦆


「美咲、どうしたの?」

「何が?」

「なんか、さっきのもみじ狩りの話してる時から顔が赤いよ。

 熱でも出てる?」

「大丈夫だよ。

 すっごく楽しかったから、きっと興奮したんだよ。」

「そうなんだ。美咲ってお姉さんのこと大好きだよね。」

「うん! 大好き!」

「うふふ……仲良い姉妹ですな。いいなぁ~。

 あ……行った所を詳しく教えてよ。

 今度のデート先にするわ。」

「うん、メッセージ送るね。」

「よろしく!」


同期にメッセージを送った。

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