兄の昔話
姉が居る1週間。
美咲は嬉しかった。
姉は美人で文武両道。
兄もイケメンで文武両道。
二人が美咲は幼い頃から自慢の姉兄だった。
でも、美咲が姉や兄と同じなのは背が高いということだけなのだ。
姉と兄はイケメンの父に似ているのに、美咲だけが父に似ていない。
母にさえ似ていない。
美咲は何時しか劣等感が芽生えていた。
それでも、姉と兄が好きで、姉が帰って来ると嬉しかった。
家族の誰からも愛されて育った美咲は、愛らしい性格に育ったのである。
兄も帰って来た。
「おい、美咲。」
「なぁに? お兄ちゃん。」
「新しいネタあるぞ。」
「ネタ?」
「あ……お話だ。」
「お話? もしかして、お父さんに対抗したの?」
「姉ちゃん、違うよ。」
「否、そうだね。」
「違うから……父さん。」
「今日も来て良かったの?」
「えっ?」
「お嫁さんに私嫌われたくないわ。」
「母さんのこと嫌ったりして無いよ。」
「信じられないわ。」
「なんで?」
「だって、貴方、実家に帰り過ぎよ。」
「そうだな。帰り過ぎだ。」
「姉ちゃんはいいのか?」
「出張してるからいいのよ。」
「義兄さんが、出張したら帰って来るのか?」
「今回は特別なのよ。」
「何で特別?」
「赤ちゃんがね、お腹の中に居るから……。」
「えっ! 出来たんだ! おめでとう!」
「ありがと。」
「お姉ちゃん、おめでとう。」
「おい、美咲。」
「何? お兄ちゃん。」
「お前、叔母さんになるんだぞ。」
「叔母さん……そうだ。叔母ちゃんになるんだ。」
「それはそうと……余り実家に帰るのは感心しないな、忠頼。」
「父さん。」
「咲良さんが寂しがっていないか?」
「大丈夫だよ。咲良が実家に帰る日に帰って来てるだけだから……。」
「そうなのか。それなら安心だ。」
「そうね。」
「なんで!」
「忠頼、お前が実家に帰り過ぎで離婚になったら、父さんも母さんも寝覚めが悪
いじゃないか。」
「本当に、その通りだわ。
だから、良かったわ。
息子が離婚されなくて……。」
「離婚されないように、するから!」
「頑張れ!」
「頑張る。
…………美咲、話すからな。」
「えっ?」
「昔の……一番古いと言われているお話だ。
よぉ~~く聞くように!」
「お兄ちゃん?」
「では、今から…………。」
兄は話し始めた。




