ロドピス
世界中にシンデレラのバリエーションと言える話が残っている。
現在知られている中で最も古い記録の一つに、ギリシャの歴史家ストラボンが紀元前1世紀に記録したロドピスの話がある。
残業して疲れた体はベッドに入るなり、美咲を深い睡眠に導いた。
見渡せば、そこは砂漠だった。
砂漠の国・エジプト。
エジプトのお屋敷に、美しい女奴隷ロドピスが住んでいた。
⦅めっちゃ綺麗。
それに周囲の人と肌の色が違う。
めっちゃ白い。
透き通るような白磁みたいな肌の色。
私の肌の色は……あれっ? 分かんない。
あの人、外国の人?
……なんか見続けていると……香川先輩に見えてくる。⦆
主人は優しい人だったが、多くの召使いにじゅうぶん目が届かなかった。
目が届かないことから、肌が白く外国人のロドピスは周りの女召使いからよく虐められていた。
ある時、ロドピスが上手に踊るのを見た主人は、ロドピスに美しいバラの飾りの付いたサンダルを贈った。すると、他の女召使い達は、ロドピスに嫉妬して一層彼女に辛く当たった。
「何よ!
ご主人様から、ちょっと踊りが上手だったと褒められて!
こんな高級な物を貰って!」
「いい加減に身分を考えたら?
奴隷なのよ! どれい!
あんたは!」
「あんただけ、ご主人様から贈り物を頂戴するなんて!
許せないわ!」
女奴隷たちからの虐めは激しくなった。
その後、エジプトの王様が民衆を都に招き、大きなお祭りを催した。
女召使い達は、そのお祭りに出掛けて行った。
だが、ロドピスにはそのお祭りに行けないようにたくさんの仕事を言いつけた。
仕方なく言いつけどおりオルモク川で服を洗っていると、バラのサンダルを誤って濡らしてしまう。
そこでそれを岩の上で乾かしていると隼が持っていってしまい、それをメンフィスにいる王様の足元に落とした。
⦅あれっ?
王様……先輩だ……。⦆
その隼がホルス神の使いだと考えた王様は、国中からそのサンダルに合う足の娘を探し、見つかったら結婚すると宣言した。
王様の船がロドピスの住むお屋敷にやってくると、ロドピスは初め身を隠してしまったが、サンダルを履かせるとぴったり合った。
またロドピスが残していたサンダルの片割れも見つかり、王は宣言どおり、ロドピスと結婚した。
王様はロドピスに初めて会った。
その美しさに王様は息を呑んだ。
「ロドピスよ。其方を余は妃に迎える。
我が妃に……。」
「はい。お慕い申し上げ、お仕え致します。」
「其方は、もう女奴隷ではない。
我が妃ぞ。」
「はい。」
王様は優しく妃になったロドピスを抱き寄せた。
二人の姿が美しいシルエットになって重なった。
その時――美咲は目が覚めた。
美咲の口から溜息が漏れた。
⦅叶わぬ恋なんだ……片思い……。
せめて、先輩のお相手は香川先輩でありますように……。⦆




