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名残りの雪  作者: yukko
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淡い恋心

早春に吹くその時季初めての南寄りの強風を「春一番」と言い、漁師が恐れる強風で命を失うこともあったと言う。

気象庁では、立春(2月4日頃)から春分(3月21日頃)までの期間に限定されている。

3月の終わり頃に降る雪を「名残りの雪」と言う。

人生にも「春一番」が吹き荒れることもあり、「名残りの雪」が降ることもあり………穏やかな春の日差しをいっぱいに浴びて樹木の緑が映えて美しい季節もあり、薫風香る季節もある。


夏の日差しが厳しい中を歩くのは、ポケモンGOをしているからだ。

早朝でも日差しが厳しくて、遊ぶのも辛いと思っている。

ポケモンGOをしながら歩くのは車が通らない人だけしか通れない道に決めている。

歩き終えて家に帰ってからシャワーを浴びて、食事を摂り、身支度を整えて家を出る。

「行ってきます。」と言うと、母の「行ってらっしゃい。」の声が聞こえる。

これが、美咲の日常である。


美咲は会社の先輩が遊んでいると知ってからポケモンGOを始めた。

先輩と会話出来るきっかけになることは、一度も無かった。

それでも、繋がりが出来たようで美咲は嬉しかった。

先輩は5歳上で大卒。

美咲は18歳の新入社員で高卒。

叶うことが無い恋だと美咲は思っている。

同じフロアで働いているわけではない。

先輩は2階、美咲は3階。

仕事で接点も無い先輩を好きになったのは何時なのか……何時しか気が付けば目で追ってしまっていた。

たった一つ……先輩が会社の前の歩道で高齢の女性を助けていた姿を見たからかもしれなかった。

その高齢の女性は美咲の祖母を思い起こすような人だった。

先輩は、高齢の女性の大きな荷物を持ってあげて、バス停まで案内していた。

それからだった。

先輩をなんとなく見つめてしまっている自分に気付いたのは……。


⦅素敵だなぁ……見ているだけで満足だわ。

 先輩……ポケモンGO、私、トレーナーレベル30になったんですよ。

 先輩は……もっと上ですよね。

 ポケモンの話……出来るわけないか……無理だよね。

 きっと、私のことなんか知らない……よね。

 ……はぁ……片思いって……なんか中学生以来だわ。

 片思いで終わる恋なんだなぁ。

 それで、いいや。

 たぶん……振られると思うから……

 告る勇気、ないもんね。⦆


たまたま出会えた朝に「おはようございます。」「おはよう。」と挨拶が出来、仕事を終えて会社を出る時に出会えたら「お疲れ様でした。」「お疲れ。」と言葉を交わすだけの……それだけの接点しかない淡い恋である。

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