執筆作業に疲れた私は奴隷貴族になります 1
「君まだ終わってないの、納期もう過ぎてるよね。おしおきしないとだめかな。まったく」
編集者からいつものように罵声が飛んでくる。
「すいません。すぐに終わらせます。」
「すみませんね。たく、保育スケジュール書かないとだめかな。君みたいな未発達児には。」
そう言って彼は私の体を見つめる。
私はこんなにも面白い恋愛小説を作ろうとしてるのに…こんな所業。
【私は奴隷なのだろうか。】
そんなことを言われる日々を過ごした結果、私は太った。むしゃくしゃしてハンバーガー店(通称バック)で油ましましポテトを食べまくったからだ。
昔のスレンダーボディはもはや夢の万物。あの頃の私に戻れない。小説にあこがれて物語に入れ込んでた私さよなら。
私は泣きじゃくった。背後から来る男に気づきもしないで。
グサッ オッフ
「サラブレッドさん、起きてください」
気がつくと天使のような少年が私の前に立っていた。あたり一面真っ白。天国みたいと私は思った。 私がここにいるのは……死んだのね。
「通り魔に後ろから刺されて即死。 って感じかしら天使さん。」
「おおーそうですよ。よくわかりましたね。それで。あなたはあなたの編集者の男に後ろからナイフで刺されたのですよ。」
うんうん うん?編集者?
「待って。あの男が私を殺したの?愉快犯の殺人鬼とかじゃなくて?」
「はい。正真正銘あなたの編集者です。彼、あなたの編集やめたかったみたいですよ。あなたを殺した後、『これで早乙女先生の編集になれる』と叫んでましたから。」
早乙女先生? 待ってあの新人の女の子? そういえばあのおやじヒップとチェストがでかい子が好みとか言っていたような。
その時私の脳内の無数の考えが暴れ出した。いわゆる激怒と言うやつなのか。
私があんなに頑張っていたのに、求められていたのは体、信じられない。私の努力は何だったのか。
「今すぐあいつの首をかちきってやりたい……」
無意識にそう口走っていた。その言葉を聞いて、男の子は笑った。
「まぁまぁ落ち着いてください。そんな大したことじゃないじゃないすか。」
何こいつ。慰めも何もなしによくそんなことが言える。私は完璧にピキーンだ。
「私は死んでるのよ。アイムフォーエバDEAD。あなたには何もわからない。私の気持ちなんて。(泣)」
私が傷ついた自分を心配してとアピールした。
その時だ。 男の子はこれでもかというぐらいを近づけてきた。
「わからないけど解決させて上げる場所をわたしはしっています。それはあなたが最も求めてる場所です。」
男の子は突然エセ日本人みたいな日本語を喋りながら、今までの態度では信じられないような笑みを浮かべた。
「私は今困っています。なぜかって言うとそれは危機を感じているからです。今、私が天から管理してる異世界で奴隷貴族が減って、生ぬるい世界で形成されています。あーつまらない。死んでしまいそうだ。どうしよう。どうしよう。」
異世界?奴隷貴族?聞き慣れない単語に私の脳は完全に状況を追えてない。いや、冷静になれてないだけかもしれないわね。
「あ!」 男の子は人さし指を立てて何か閃いたと言わんばかりの表情を浮かべた
「あなたが異世界に行って、奴隷貴族になればいいんだ。あなた怒ってるですよね。その怒りを奴隷にぶつけてくださいよ。」
何を言ってるんだ。人を何だと思ってるんだ。平和な世界を壊す破壊者になれと言ってきているよなもの。平和が一番よ。
誰がそんな者になりたいのかしら。まったくこれだからガキは。
「残念ですが、その提案断らせていただきますわ。いくら人に恨みを持ってるからって、他の人にやつあたりをするなんて人としてできませんわ。」
「あ、言い忘れてましたけど、限定一名です。」
「ドレイユルサナイ。ヘイワクソ。」
こうして私は異世界に行った。