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滑り出しは上々だ

 数日も経つと、各授業とも顔合わせのような導入部が終了。いよいよ今日から午後の授業も始まる。


 北谷津は一応進学校なので、皆それなりに真剣である。


 不安だったのは私の頭で授業について行かれるかということだったが、今のところは大丈夫そうだ。内容はまだ中学の延長だし、受験のときに一応(こっそりと)勉強はしていたし。


 それに若い頃に習ったことは案外覚えているものだ。私もまだまだ捨てたものではないな。(最近のことはすっかり覚えていられなくなったけれど。)


「今日は小テストをするわよ」


 それぞれの実力を確認するためだ、と小原担任が説明する。

 小原担任の担当科目は国語。


「うげー」


 みな一斉に嫌そうな声をあげる。そこは進学校の生徒でも変わらないなあ、と微笑ましく思う。


「はーいはい! まったくもう。いちいち騒がないの!」


 まるでダメ彼氏に小言をいうような口ぶりで、冷たくあしらう小原聖子教諭。

 だが私だけはワクワクしていた。

 かつてはあんなに嫌だったテストもなんだか楽しい。


 そう。勉強さえも楽しいのだ!


 人が自分のためにわざわざものを教えてくれるというのは幸せなことだ。社会人になったら、必要なことは自主的に学ばなければならない。しかも仕事をしながら、限られた時間の中でだ。


 仕事に興味がないなどということは許されない。就職してから経理だの営業だのに勝手に配属され、自分で選んだのではないのに、否が応でもその道のエキスパートにならなくてはならない。しかもただ学んだくらいでは誰も評価してくれない。知識は使いこなしてなんぼ、自分から積極的に動いて、働きかけ、怒鳴られ、責任を果たし、溺れそうになりながらやっと達成してなんぼなのだ。


 それにくらべて学生は立場やしがらみに縛られることなく、ただ勉学に集中できる。なんとありがたい状況なのだろう。みな自分たちがそれほど幸福な立場にいることを理解しているのだろうか。学ぶという、それだけの環境に身を置けるとは何と素晴らしいことか。

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