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突然俺を振った幼馴染  作者: にやり
5/9

5 俺と千夏



「あの!!!私!!!佐伯先輩の事、ずっと好きでした!!!!!」


「……はあ?」


「えっ?」


「あ、わ、悪い……」


「い、いえ……」



唐突過ぎるんだよ。


え?コイツが俺の事、好きだって?



「何で?」


「えっ?あ、わ、私、愛梨先輩に憧れてて……」


「ああ、後ろをついて回ってたな」


「はい、で、愛梨先輩と仲がいい佐伯先輩の事、気になってきて」


「それがよくわかんねえんだけど」


「え?だって……憧れの人が好きな人ってどんな人かなって……」


「ああ、結局ふられたけどな……」


「あっ!ごめんなさい!そ、それで、ある時、佐伯先輩が試合に出てるトコ、見たんです!」



俺はサッカー部に所属していた。


確かにレギュラーだったけど。



「カッコいいなって思って!それから何度か練習も見てて!!」


「普通だっただろ?」


「いえ!やっぱりカッコ良かったです!!」



そうか?自分でもパッとしないと思っていたんだけどな。



「周りの人より練習に打ち込んでいる感じがしました!!頑張ってるところがカッコ良かったんです!」



……まあ、そんな風に評価してくれるのは嬉しいけど……。



「そ、それで、高校に入ってからも佐伯先輩は愛梨先輩と仲が良くて……」


「ああ……そうだったな」


「やっぱりお二人の間には入り込めないなって!!」


「……」


「でも最近、愛梨先輩を見かけなくなって、聞いたら転校したって……」


「ああ」


「それで、愛梨先輩が佐伯先輩と付き合ってなかったら、私にもチャンスあるんじゃないかって思っちゃったんです……」



そういうことか……。



「愛梨先輩の気持ちを聞きたくて、愛梨先輩が佐伯先輩の事好きじゃなかったら、私告白しようかなって思ってて……」


「それで、今告白したって事?」


「……はい、愛梨先輩と別れたなら、って……」


「悪い。今そんな気になれない」


「そ!そうですよね!!」


「悪いな」


「あ!!!佐伯先輩!!!ちょっと待って下さい!!」


「こ、声でけえって……」


「あ……ごめんなさい」


「ああ」


「あの……私じゃ愛梨先輩の代わりにはなれないかもしれませんけど、私!佐伯先輩と一緒に居たいです!」


「……」


「あの、しばらく一緒に帰ったりしませんか?それで私の事、邪魔だなって思ったら遠慮なく言ってください!」



……まあ、愛梨と別れてから、誰にも本当の事を話したことが無かったから、話して少し楽になった事は事実だけど……。



「すぐに返事が欲しかったワケじゃないんです!私、佐伯先輩を元気づけてあげたいっていうか……ただ一緒に居たいっていうか……」


「……俺と一緒にいてもつまらないと思うぞ?」


「そんなことないです!え?っていう事は……?」


「ああ、わかったよ、多分お前から離れていくと思うけどな……?」


「そ、そんな事ないですよ!やったぁ!一歩前進!」


「調子のいいやつだな……」


「へへ……いいんです!一緒に居られるなら!」



そんなわけで、結城と過ごす時間が増えていった。





結城からの告白から、一ヶ月後。



「佐伯せんぱーい!!!」


「ちょっ、大声出すな!」


「今日はどこ行きます?」


「あ?ああ、別に……」


「じゃあ、あそこ行きましょう!!駅前のカフェ!!」


「ええ……?俺、場違いじゃね?」


「そんな事ないです!!!」




三ヶ月後。



「優弥せんぱーい!!!!」


「……何で千夏はそんなにいつも元気なんだよ……」


「それが私の取り得ですから!!!」


「はあ、まあそうなのかな……」


「今日は親が帰ってくるの遅いので、夕食も一緒に食べましょう!!!」


「ま、まあ、いいけど……」


「私、大好きなファミレスがあるんです!!」


「わかったから、そんな大声出すなよ……」


「あ、す、すいません……」


「あ、そんなに落ち込むことないだろ、そこまで本気で言ってるわけじゃないんだからさ」


「そ、そうですか?」


「ああ、いいから行くぞ?」


「はい!!」




半年後。



「優弥くん、優弥くん!!!これ見て!!」


「あ?ああ、買うのか?」


「うーん、どうしようか迷ってるんです!!」


「試着してみれば?」


「それなら……これと、これ!どっちがいいか、優弥くんが選んで?」


「俺が?いや、服のセンスなんて自信ねえんだけど……」


「いいんです!!優弥くんが選んだ服を着てみたいんです!!」


「そ、それは何か責任重大だな……」


「じゃあ試着してきますね?」



結局俺が選んだ服を本当に買いやがった。


いいのかな?



「ふっふーーん、楽しみだなぁ!次の休みはこの服を着てきますからね?」


「わかった、わかったから落ち着け」



嬉しそうにさっき買った服を抱きしめながら、俺の隣を歩く千夏。


ありがとな、千夏。


ずっと俺の傍に居てくれて。


あのままだったら、俺は中身のない高校生活を送っていただろう。


千夏がいなかったら、愛梨の事を忘れる事なんて出来なかっただろうな。


だからさ、千夏。




「なあ、千夏」


「うん?なんですか?優弥くん」


「俺と付き合ってくれ」


「はい。……え?」


「だから、俺と付き合ってくれないか?」


「え、えええええ?!!!」


「なんでそんなに驚くんだよ……?」


「だ、だって……え?ホントに?」


「ああ、千夏には感謝してる」


「そ、そんな、感謝なんて……」


「いや、割とマジで」


「ま、マジですか」


「ああ、で?返事……くれないのか?」


「あ!もう!!いいに決まってるじゃないですか!!」


「じゃあ、これからもよろしくな?」


「はい!!!こちらこそよろしくお願いします!!!」



ホントに千夏と一緒に居ると元気が出るよ。



こうして俺たちは付き合う事になった。







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