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突然俺を振った幼馴染  作者: にやり
4/9

4 それからの俺は



ショックだった。


一晩中泣いて、次の日は学校を休んだ。


両親には何も言っていない。


本当に体調を崩したからだ。


後ろから身体を好き勝手に触られていた愛梨を思い出すと、嘔吐が止まらない。


あれが本当に愛梨か?


そう思う程、今までの愛梨とは別人のようだった。


よくあるNTR物なんかで、パートナーが別人になったように変わってしまう、なんてあるが、こういう事なんだろうか。


他の男の事が好きになったんだから、そういう事なんだろう。


忘れろ。


忘れちまえ。


あんなクソ女。




一週間が経ち、体調は戻った。


行きたくなかったが、学校に向かった。


数少ない友人から心配されたが、理由は体調不良にしておいた。


それと、あの時愛梨が言っていた通り、すでに愛梨は転校した後だった。


愛梨と仲がいい友達連中には、俺達が付き合っていたことを知られていたので、話しかけられたりしたが、もう別れた、とだけ答えると、もう話しかけて来なくなった。


俺が学校に復帰してから、まともに会話できなくなっていた事から、察してくれていたんだろう。


それからの俺は、話しかけられてもただ返事をするだけで、会話が成り立っていなかったから、友人も話しかけてくることが少なくなった。


ただ単に、毎日を過ごすだけだった。


あの日から一ヶ月ほどが経ち、いつものように一人で家に帰ろうとすると、



「佐伯先輩っ!!」



背後から元気よく声を掛けられた。


……誰だっけ?


俺の事を知っているみたいだけど……。



「誰?」


「あ、あの!!覚えていません?愛梨先輩の後輩の結城千夏(ゆうきちなつ)ですっ!!」


「えーと……。ああ、愛梨の中学の頃の部活の後輩……だったか……?」


「あっ!そうです!!良かった、覚えていてくれて……」



小柄で茶髪のショートカット、顔立ちも整っている。


女らしい身体つきをしていて、男から人気あるんだろうな、と思った記憶がある。


愛梨の後をちょこまか付いて回っていたような……。


覚えていたっていうのは、ちょっと怪しいけどな……。



「それで?何の用?」


「あ、あの!愛梨先輩、急に転校しちゃったみたいで、携帯も繋がらないんです!連絡先を聞きたくて……」


「……知らねえよ」



俺は愛梨の連絡先を消去した。


前の番号じゃ繋がらないって事か……。


番号変えたのか?


だったら尚更、俺が知るワケねえだろ。




「え?またまたぁ~、そんなワケないじゃないですか!佐伯先輩と愛梨先輩、メッチャ仲良かったですよね?!!」


「……」


「お願いします!愛梨先輩に聞きたい事があるんです!」


「……」


「佐伯先輩?」


「……ホントに知らねえんだよ、じゃあな」


「あっ!ちょっと!!!佐伯先輩のケチー!!!」



なんなんだよ。


知らねえっつってんだよ。





そして翌日の放課後。



「佐伯先輩!!!もったいぶらずに教えてくださいよー!!」


「……」


「ひどーい!!無視しないで下さーい!!」


「……」


「さーえーきーせーんぱーい!!」


「……」


「もう、そんなんじゃ愛梨先輩に嫌われちゃいますよー?」


「!!!!うるせえってんだよ!!!!こっちはとっくに嫌われてんだよ!!!!」


「……えっ?」


「ああ!!確かに俺と愛梨は付き合った!!!!けどな!!!!転校前に他の男の事が好きになったって振られてんだ!!!!お前、ゴチャゴチャうるせえんだよ!!!!!」


「あっ……えっ……?うそ……」


「二度と話しかけんな!!!!!!」


「あっ……やだ……嘘……」



くそっ!!


やっと愛梨の事を思い出す頻度が減って来たと思ったら、これかよ。


思い出しちまったじゃねえか。




またその翌日の放課後。


校門にて。



「あ、あの……。佐伯先輩……」



またお前か。



「……話しかけんなって言ったよな?」


「……すいませんでした!!あの…‥私、知らなくて……その…‥‥」


「……」


「無神経なこと言って……佐伯先輩のこと、傷つけて……」


「……」


「ふっ……ぐっ……わ、たし……し、ら……なく……てぇっ……」



くそっ!こんなとこで泣くんじゃねえよ!



「ああ!もう!!来い!!」


「……ふぇっ?」



俺が泣かしてるみたいじゃねえか!!


そうかもしれんけど!!!


たまらず、近くの寂れた喫茶店に連れて行った。



「あ、あの……?先輩……?」


「……まあ、昨日は俺も感情的になっちまった……正直立ち直れていないから」


「……い、いえ!私が無神経だったんです……」


「……落ち着いたか?」


「は、はい……すいません。またご迷惑を……」


「……まあ、とにかく愛梨の連絡先なんて知らねえんだよ、本当に」


「あ、そ、それはもういいんです……」


「そうか、じゃあもういいな?」


「……あ、あの!!」



帰ろうとしたら、引き留められる。



「あ?まだ何か用か?」





























「あの!!!私!!!佐伯先輩の事、ずっと好きでした!!!!!」







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