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おばあちゃんは名探偵!〜お隣さんは謎だらけ〜  作者: 地野千塩


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おばあちゃんと聞き込み編(5)

 駅から麹衣村の川沿いの道を石子と理世は歩いていた。この道を真っ直ぐ歩くのが一番教会に早くつくそうだ。川といってもさほど大きくはないが、時々魚釣りをやっている村人も多いらしい。


「グランマ、さっき香村刑事が記者っぽい人と接触していたのは、どういう事だと思う?」


 もう日が暮れかけていたので、川もオレンジ色に染まっている。


「さあ。でも、なにか事件と関係ありそうな気がするのよね。香村刑事が犯人という前提に立つと、隠蔽?」

「まだ香村刑事犯人説なの?」

「動機はあるじゃない。やっぱり子供のいじめかカルトの揉め事よ」


 石子がそう断言したところ、猫の鳴き声が聞こえた。川辺で子供が猫をいじめているのが見えた。棒切れで猫を叩き追いかけ回している。


「ちょっと、あんた? 何やってるの!?」


 石子は目を釣り上げて子供を注意していた。都会ではこんな大人が子供を注意する光景など一度も見たことがなく、理世は瞬きを繰り返していた。


 しかも子供は、華名と香村刑事の子供の秀太だった。写真を見せてもらっていたので間違いない。確かにルックスだけは、可愛らしい子供だった。目はくりっと大きく、肌の色も白くて天使っぽい印象だ。やっている事は悪魔じみていたが、ルックスが良いのは認めざるおえない。あの両親の子供としては、奇跡レベルでルックスが良い。なにか遺伝子的にミスでもあったんじゃないかと思うほどだった。


「うるせーよ、ババア!」

「ババアですって! 目上の人間になんて事言うの? 親の顔を見てみたいいわ」


 しばらく石子と秀太はやり合っていたが、これでは埒があかない。秀太は石子に怒られても全く反省している様子はなかった。


「秀太くん、これ食べる?」


 理世は美素町で買ったコンビニスイーツを秀太に見せた。


「え、いいの?」


 秀太は一瞬、表情を和らげた。


「ダメよ、理世。こんな子供に餌をあげたら」


 石子は注意したが、秀太はわんわん泣きながら理世に抱きついてきた。


「うわーん。うちのパパとママは仕事が忙しくてさ。いつも放っておかれるんだよ。お姉ちゃん、助けて!」


 明らかに嘘泣きだったが、ここで秀太に接触すれば何か聞き出せないか?


 そんな計算が働いてしまった。そんな理世の考えは、石子にもお見通しだったらしい。


「秀太くん。おばあちゃん達これから教会に行くんだけど、一緒に行く? 夕ご飯一緒に食べない?」


 石子は顔は笑顔だったが、声はドスが効いていた。


「えー、教会は」


 ここでなぜか秀太くんは後退りし、理世の背中に隠れようとしていた。この仕草だけなら本当人可愛らしいものだが、妙に演技じみていると思う。かくいう理世も緘黙症の症状が出ている時、それを誤魔化す為に過剰に良い子ぶりっ子をしていた事もあった。秀太は別に病気なんて持っていないだろうが、心の中は苦労しているんじゃないかと理世は想像してしまう。


「なんで教会嫌なの?」


 理世はなるべく秀太くんを刺激しないように優しく聞いた。


「うちは中価信者一家だからね。キリスト教の教会にいったら、パパとママみ怒られちゃうよぉ」

「ちょっと待って、あなたの家族は銃価なの?」


 石子はキツく問い詰めようとしていたが、理世は止めた。このまま厳しくしても口を割らないだろうと考えた。


「ね、教会一緒に来てくれたら、このコンビニスイーツをあげるよ。猫いじめていた事は親にも学校の先生にも言わない。どう?」

「だったら、行ってもいいよ」


 秀太は、理世の提案を飲んだ。渋々と言った感じではあったが、意外と物分かりはいいらしい。


「でも、お姉ちゃん。僕の事は叱らないでね?」


 その上、理世のシャツをちょっと引っ張りながら、そんな事を言っていた。ウルウルと目を潤ませ、上目遣いをしている。自分のルックスが良い事を自覚し、効果があるからこんな事をしているのだろう。


 思わず理世と石子は顔を見合わせるが、秀太はぶりっ子演技はやめていなかった。


「秀太くん、あんたは役者になれるよ」


 理世は呆れてため息をつく。


「可愛くないクソガキね。でもいいわ。事情を全部聞かせて貰おうじゃない」


 秀太の演技に石子は全く騙されていなかったが、これで事件の手がかりを見つけられると思ったのだろう。少し口元がニヤついていた。


 そういえば日本の警察は子供の証言をあんまり重要視しないと効いた事がある。こうやって子供の言葉を聞きのは、石子の役目のようにも思われた。


「お姉ちゃんもおばあちゃんも大好きー!」


 さっそくぶりっ子演技をしている秀太と一緒に、教会に足を進めた。

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