背負い投げ
「見えた! 先頭車両!」
流石に狙いにくくなったのか、攻撃の手が緩んでいく……好機だ。レインを胸の中に両腕でしっかりと抱きしめ、そのまま肩からドアを突き破る! 俺の視界はぐるぐると回り、床に突っ込んで倒れ込んだ。
「ひぃっ!? 誰だお前ら!」
突っ込むや否や、初対面の中年から鉄パイプが振り下ろされる。すかさず義手で受け、投げ飛ばすと同時に関節を決めた。頭に血が上っているのか、俺とレインを見て怯え、叫んでいた。
「こっ……殺さないでくれぇ!」
「お前は『シャショーサン』か!? どうなんだ、言え! 言わないなら此処でお前の肩を外す!」
ひぃいいっ! 中年の男が悲鳴を上げ、じたばた暴れ始めた。その時車体が大きく揺れる……だんだんと、だんだんと盗賊達が追い付いてきているのだろう。速くしなければ……!
「カルナ! 君は一体何をしようとしている!? 内容だけでも教えろ!」
「説明している暇がない、手伝ってくれレイン! こいつが『シャショーサン』なら、俺はどうしてもこいつの協力が必要なんだ!」
「離して……離せぇっ!」
しまった、俺を押し退けて男が起き上がる。まずい、レイン、にげ――。
「――ひゅぅうっ!」
殴り掛かる中年の鳩尾に一撃、姿勢を崩せば足払い……倒れ込む中年の腕を掴み、そのまま一回転するように床に叩きつける! 軋む床、その上に泡を吹く中年……その上に、小さな少女が立っていた。
「私を舐めるなよ、相棒。まぁ男として女の私を守ろうとしてくれたのは嬉しかったがな……んで、君の考えってのは何なのかな?」