襲撃
俺が言葉を選び、それを口に出そうとした瞬間だった。車体が大きく揺れ、後方から大きな爆発音が響いた。
「っっ!」
レインに覆い被さるように姿勢を低くした。窓ガラスが叩き割れ、床や椅子の上に飛び散る……何度か爆発音が響くと、次に聞こえてきたのは人間の図太い声だった。
『乗っている客は抵抗すんじゃねぇぞ!?
俺たちは積み荷に用があるんだ……分かったな!?』
多分盗賊がなにかだろう。俺は初めて「機人」以外に怒りを覚えた。これが水を刺されるというやつだろうか? ……俺は車内に人がいないことを確認した後、左腕の包帯を勢いよく解いた。
「ちょ……お前何する気だ!?」
「奴らを蹴散らす。下がってろ、今から空弾で全部ぶっ飛ばす」
「駄目だ、もしも反撃されたらどうする!? 銃を持ってたら……死んだら、復讐もできなくなるぞ!?」
俺は、レインの意見を噛み締めた。そうか、俺はそんなに復讐したがっていたのか……ああ、今もそうだ。たまらなく憎いよ、でも。
「俺、この汽車が楽しかったんだ。だから、壊されたくない」
上手く言葉にはできなかったが、俺の気持ちを表現するには十分だろう。俺は左腕を割れた窓に突き出し、外の盗賊共に乱射した。