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異世界転生してもハーレムは作れません  作者: ミカン
第二章 偽モノ
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68-なんかエッチだな

「くしゅんっ」


 水で流され起きたら半裸状態に濡れた服。体が冷えてしまうものだろう。


「これ着てて」


 アイゼンベアードの鎧を脱ぎアイラに渡した。このコート水に濡れたにも拘わらずもう乾いている。


「ありがと」

「火でも起こせればいいんだけどね~」

「そういえば、私の服に焦げ跡あったけど火使ったの?」

「……あ!? 忘れてた」

「馬鹿じゃない。毒が出たらみんな死ぬのよ」

「やばい、やばいよやばいよ」


 俺もアイラも慌てふためいてしまう。入る前に言われたのに、戦闘中も火は使わないよう気を付けていたのに。


「あれ?……でも毒でてない。……あ!」

「どうしたの」


 ……なぜ火を使ってはいけないかわかってしまった。というか当然のことだ。


「いや、なんで火がダメなのかわかって」

「罠だからでしょ」

「いや、罠じゃない。こんな狭いところで火なんて使ったら煙が蔓延して酸欠になるだけの話だった」

「あ!」


 まじで当然の話だった。こんな狭くて風通しの悪い場所で火なんて使ったら酸素がなくなり、二酸化炭素が充満するのは当然のことであった。


「だから温風とかセーフだわ。じゃ、服乾かすね」

「その前に私乾かしてもらえる?」

「え、あ、うん」



「熱くない?」

「ええ、ありがとう」


 アイラの髪を乾かすため後ろから温風を送る。


 ……なんかエッチだな。


 女の子の髪を乾かす行為に少し背徳感が出てくる。温風を送るたびに髪が揺れて髪から雫が飛ぶ光景がなんとも綺麗だ。さらに髪が揺れるたびちょろっと見えるうなじに気持ちが高揚する。別に直接触れているわけでもない。だが、髪を揺らしているのは俺だという事実に気持ち的に触っている感じになってしまう。


 ……あぁ、やばい。ムラムラする。


 さきほどから発散したい熱を発散できない生殺し状態なのに、さらに熱が溜まってくる。


 ……ああ、もう無理!


 魔法を止めてその場にうずくまる。


「どうしたの? もしかして、魔力がなくなったの?」

「いや、その。トイレ休憩」


 中腰の姿勢で起き上がり下腹部を抑え、前かがみになりながら坂を下り、パッドを見つけたところまで降りて熱を発散した。



「じゃあ、行こっか」

「ええ」


 服も体も乾かし終わりそれなりの休憩を取ったのでダンジョン攻略を再開することにした。


 下へ続く道を進み始める。代り映えしない岩まみれの洞窟。接敵することもなくただただ進んでいく。しばらく進むと下のほうに明かりのようなものが見えた。


 ……サーモグラフィー。2人か。


「誰かいる。敵かもしれないから」

「わかったわ」


 アイラに忠告して警戒しながら明かりの方へと足を進めた。

 足元の穴から明かりがある下を見る。穴の下には網が貼られていた。そして、その横、鉄格子を挟んだ向こう側には魔族が2人。扉の前の椅子で2人とも睡眠中だった。


 ……ラッキー。


「寝ているすきに通りすがろう」

「でも、鉄格子はどうやって超えるの?」

「あそこに鍵がある」


 扉の隣にかけてある鍵が見える。あれがここを超える鍵だろう。あそこまで火の鞭を届かせれば奪うこともできるだろう。


「……あれを持ってこれればいいのね。ふぅ。磁力なら大丈夫。引っ張るだけ。磁力なら大丈夫。引っ張るだけ。」

「うん。って、ちょっまって」


 アイラが小声で自己暗示を唱え始めた。嫌な予感がして止めようとしたが遅かった。


「はっ!」


 磁力が発動して鍵がこちらに引っ張られてくる。しかし、引っ張られたのは鍵だけじゃなかった。鎧に引っ張られた寝ている魔族の兵士2名、部屋の片隅に置かれた槍、明かりを灯していたランプ。


ゴゴゴゴゴゴ


 そして、鉄格子までもが引っ張られようと動き始め大きな音をたてる。


「と、止めて。今すぐ、止めて」

「ア、アアアア」


 すべての鉄製品がこっちに引っ張られていく恐怖にあわあわした様子になるアイラだが、そんな状態でもすぐに魔法を解除した。

 鉄格子は音が止まり、鍵は網の向こう側にある地面へと落ちて行った。兵士は鉄格子とがっちゃんこ。鈍い音を立てて嗚咽を漏らす。ランプは鉄格子に激突して明るかった部屋が一気に暗くなる。暗くなると言ってもこのダンジョン特有の岩からでる不思議な淡い青白い光があるが、急に暗くなったことで俺たちは下の情報がわからなくなった。


「がああぁ」

「うぎいぃ」


 下から兵士の悲鳴が聞こえてくる。


「なんだこれは」

「おい、誰かいるぞ。誰だ! 出てこい!」

「そこか。あらかたどっかで詰まって流されるのを回避したな」


 暗い中でも目が聞くのか、あるいはそういう能力を持っているのか速攻バレた。しかも、予想まで語り始めた。


「バレてるわよ」

「サーモグラフィー」


 サーモグラフィーで敵の位置情報を取得する。2人とも鉄格子の近くで座り込んでいる。


「氷柱」


 サーモグラフィーを解除して氷柱を唱える。地面から2人を串刺しにするように氷の針が出現した。


「があっ」

「ぐわっ」


 2人の嗚咽を最後に部屋はしんと静かになった。


「やったの?」


 暗闇で下の様子が掴めない状態だったためアイラがその禁句を言ってきた。


「だっ、黙って。それをいってはいけない。フラグが」


バキンッ!


 俺と真横に槍が刺さっていた。ほんと数センチしか真横に


「ちっ、外したか」


 下から聞こえる愚痴。これはつまり、そういうことだ。


 ……はいっ。生きてました。誰かさんが生存フラグを立てたせいで生きてました。……まぁ、俺が一撃で仕留めれなかったせいなんだけど。


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