61-極楽極楽
荷物を持って貴族街と平民街を隔てる門へ行く。門に着くとドロシアに言われた通り騎士が宮の客室館まで馬車で案内してくれた。
「こちらのお部屋になります」
……すげー、高級ホテルみたいだよ。
案内された部屋は4部屋あり、リビング、寝室、トイレ、何もない部屋と4つあった。家具もベッド、机、椅子などどれにもお金を使ってそうな部屋でこの前連れていかれたレストランよりもお金をかけていそう。
「こちらが館内の案内図になっています。夕食は食堂で受け取ってください。部屋まで持ち込んでいただいてもかまいません。それでは」
騎士は地図を渡して出て行った。
地図を見ると、この館の1階に食堂とか玄関があり、2階から各部屋となっている。
……お、お風呂!?
地図を眺めていると1階にお風呂があると書いてある。
……お風呂あったんだ。今まで誰もお風呂の存在を示唆しないからないと思っていたよ。
「よし、行こう」
替えの服をもって早速お風呂場へと行った。更衣室で服を脱ぎ風呂場へと入る。シャワーなんてなく桶で湯舟からお湯を取って洗う感じのようだ。全身くまなくしっかり洗い湯舟に入る。
「はぁ、極楽極楽」
……久しぶりのお風呂だよ。きもちいいぃ。さすが先進国。アルカイドみたいな野蛮な国とは全然違う。一生ここにいたい。
久々のお風呂を十分堪能し、あまりの気持ちよさにそのまま俺は眠ってしまった。
顔面に水をかけられ目を覚ました。目を覚ますと温かい石の上で寝ていたようで背中が若干痛い。
……あれ? 俺お風呂にいたよね? ……って? え!?
そして、目の前には全裸の銀髪女性がいた。
勢いよく起き上がり目を手で塞ぐ。それでも気になり手の隙間からうかがうようにあたりを見回すとそこは風呂場であった。俺は風呂場の石畳の上で寝ていた。お風呂場にいるのは俺とさっきの女の人。
「起きましたか。心配しましたよ。寝ているんですもの」
女の人は腰に手を当てて俺を心配したようなまなざしを送ってきた。
……そんなことより前、前。
女の人は一切隠す気がないようでめちゃくちゃ見えまくっている。
「ごめんなさい。間違えました!」
急いでここを出ようとドアのほうへ全力でかける。
「そっちは女子更衣室よ。男子更衣室はあっちです」
背後から女の人はそう言ってきた。
……は? 女子風呂に男子更衣室?
俺がいるところは女子風呂なのだろう。女の人がいるから。なのに女の人は男子更衣室と言う。寝起きとのぼせているせいなのか頭が回らずとぼけた顔になって背後に目を向けた。
「ああ、そういうことですか。あなたはスピカは初めてですね? ここ混浴なんですよ」
……こんよく? 混浴!? 混浴風呂って存在したの?
「私も初めて来たときにはびっくりしましたよ。何の記載もないですし。まさか、スピカでは混浴が普通だとかは思いませんでした」
そう言いながら女の人湯舟につかりだす。
「さっき床に寝かせたので冷えているかもしれません。風邪ひくといけませんし入りませんか?」
そう誘ってきたからすんなりと受け入れ湯舟につかった。
……そう、これは混浴だからOK。何の問題もない。全裸空間にいたいだとか、見たいだとかそう言うわけではない。
「人妻の体にそんなに興味がありますか?」
ちらちらと見ていたのがバレたのか女の人はそう言ってきた。
「す、すみません」
「別にいいですよ。気にしませんし。ここでは結構普通ですから」
全然気にしてないようで湯煙とか水に反射された光があるとはいえ一切隠そうとしない。対して俺は全力で気にしてます。思いっきり手で隠しています。多分寝ている間に見られているけど。
「混浴はスピカだけなんですか」
「そもそも、お風呂文化がある国が少ないですからねえ。スピカでも中級以上の貴族くらいしか入ってないでしょう」
「あなたもスピカの人ですか?」
「いいえ、私はリゲル出身ですよ。ここのお風呂は気持ちいいのでスピカに来たら絶対入るんですよ。出産を経験した年増に誰も気にしないと思っていたんですが」
……出産。あなた俺と同じくらいに見えるのに、出産しているの? 腰細っ。
女の人の腰は出産を経験したとは思えないぐらい引き締まっている。そして、胸も大きい。これで誰も気にしないだろうとか自己評価が低すぎる。
「気にする人もいるんですね」
……あなたが気にしてなさすぎです。
家族で使える混浴温泉はあるって知ってたけど知らない人同士の混浴温泉もほんとにあるんだね。ワニと呼ばれる男ばっかって書いてあったけど。
次回 剣を習おう




