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異世界転生してもハーレムは作れません  作者: ミカン
第二章 偽モノ
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49-黙って食べてます

 アルデミランを出てから3日が経った。今スピカの国境にある都市アルナスルで入国審査をしていた。

 アルデミランのときのようにアルカイドの証を見せて、待合室で待ち、天馬のことを話すだけだ。普通に終わった。

 アルデミランと違う点は天馬を連れて街に入っていい点だ。その分しっかり天馬を調べ上げられたが。アーロ曰く、スピカでは捕まえた魔物と人を戦わせる闘技場という場所があるそうだ。だから、魔物を持ち歩いてても他の国ほど目立つことはないそうだ。

 それに、アルデミランと違って兵士に宿に案内されたり、自由に動けないこともない。だから、自由に街の中を歩けていた。



 宿をとり、自由行動に入る。俺はアーロと2人で街の中を歩いていた。雑貨屋で商品を見ているとおばさんたちが話している声が聞こえた。


「お貴族様たちが央都に集まるそうよ」

「あれ? まだ冬じゃないわよ」

「なんでもニセモノを確かめに央都に集まるのですって」

「何で今更、もう1か月よ」

「さあ、派閥争いに使えるのじゃない?」

「本当にニセモノだったら聖女様どうなるのかしら?」


 そんな会話が聞こえた。


「ニセモノってなんだろ?」

「さあ、私が依然いたときはそんな言葉聞きませんでしたが。1か月と言っていたのでここ最近の出来事なのでしょう。聞いてみますか」


 アーロがそう言って2人のおばさんに完璧なスマイルで話しかける。


「すみません。少し話を聞いてもいいでしょうか」

「「……」」


 おばさんたちがアーロのスマイルの見惚れてしまった。美男子の笑顔に当てられ完全に緊張している。


「さっき話していたニセモノについて聞きたいのですが」

「ああ。それね。いいわよ。だったらお兄さん私たちとそこでお茶でもしない」

「いいわね、それは。行きましょ、行きましょ」


 アーロがおばさん2人に連れられてしまった。


「ちょっ、待って、アーロォー」



 隣にアーロ、対面におばさん2人で話している。と言っても俺は空気に徹して静かに紅茶を飲む。


「私はザラというわ」

「私はエマというのよ」

「私はアーロと言います。傭兵をしています」


 ……これは俺も名乗るべきだね。


「私はキリュ」

「あら、傭兵なの? だからいい体してるのね」


 ……無視された⁉ このおばさんたち完全にアーロにしか興味ないじゃん。もうやけ食いだ。


 メニュー表を取り中を覗いてみる。アルデミランとの道にあるだけあってメニューはアルデミランのときのカフェとあまり変わりない。値段は全然違うが。


 ……また、砂糖じゃりじゃりはやだな。


「すみません、ヨーグルト一つ」


 手を挙げて注文するとおばさんに睨まれた。お前は黙ってろと言いたげな視線だ。


 ……黙りますよ。黙って食べてます。


「それで、さっきの話ですけど」

「あぁ、ニセモノね。ニセモノは1か月前に央都で召喚された勇者様のことなんだけど、召喚されたものの一向に宮から出てこなくて」

「それに、騎士を殺したとか、若い聖女様に催眠をかけているだとか噂がいっぱい立ってニセモノと呼ばれているのよ」

「聖女様が変わるときはお披露目があって大々的に行うんだからそれがあってもいいはずなのにそれすらないのよ」


 ……引きこもりだね。


 おばさんたちは次々に勇者ことニセモノについて話し始めた。騎士を殺した、聖女を操っている以外にも、夜な夜な変な音が鳴っているだとか、宮が破壊されたとか嘘か本当かもわからない噂話ばかりだった。しまいには勇者のせいで物価が上がった。アウストラリスで事件が起きたとか完全に八つ当たりの対象にされていた。


 ……完全に八つ当たりやん。宮やアウストラリスが何かわからないけど、あとで聞いてみよ。


「有意義なお話ありがとうございました。では私たちはこれで。お代は置いておきますね」

「ちょっと、アーロさん。もう少しお話しましょうよ」

「そうよ。武勇とか聞いてみたいわ」

「あいにく私は仲間を無視する人と仲良くする気はありませんので」


 若干、アーロの額にすじ立っている気がする。


 ……アーロ、俺のことでそんなに怒ってくれていたんだね。


「キリュウ行きましょう」

「あ、うん」


 俺はアーロに続いて店を出て行った。


「キリュウのおかげで簡単に逃げることができましたよ」

「あ、そうっすか」


 店から出た瞬間アーロが普段の顔に戻った。さっきの多分演技だろう。今のは演技ですと言われたら心が若干痛むので聞かないでおこう。


「宮って何?」

「宮は聖女が住んでいるところで国の政をしているほかの国で言えば城みたいなものです」

「アウストラリスは?」

「アウストラリスはここ、ヌンキ領の南のほうにある都市の名前です。魔物が多い土地柄ですからあの事件はただの魔物の大量発生でしょう」

「やっぱり八つ当たり」

「勇者が出てこないということは誇れるだけの魔力がまだなかったのでしょう。スピカの領主が集まるのもお披露目か、はたまた勇者の相手をさせるのかもしれませんし」


 ……乱交パーティー、かわいそう。


 俺は自分がこの世界に来たとき起こったことを思い出して勇者に同情してしまった。


 ……いや、待てよ。ここはアルカイドじゃない。だったら貴族の娘と。うらやましい。


 領主が集まっていると言ってたが、領主の家族も央都に行っていることもありうる。だったら男同士のまさぐりあいではなく、ちゃんと男女でできるではないか。

 おばさんたちと話していたらすっかり日が落ちたので宿へと帰っていった。

マダムキラー・アーロ


次回 新しい魔法を覚えます

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