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異世界転生してもハーレムは作れません  作者: ミカン
第一章 女のいない世界
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39-バレなければ問題ない

「決闘を申し込む」


 いつの間にかそう言っていた。周りがざわつき始める。


「では僕が勝ったら君には僕の部下になってもらう」


「「「なっ⁉」」」


 高官たち、周りの兵士たち、そして俺みんなが驚いた。


「将軍、こんなよくわからない傭兵を部下にするなんて」

「君は僕が作りたい軍隊に入るだけのポテンシャルを秘めている。ぜひとも部下にほしい」

「キリュウやめておけ。こいつに勝てるわけがない」


 将軍は俺を勧誘し、フィンは俺を止める。


 ……ここで負けたらみんなと別れることになるかもしれない。


 そう思うとさっきの話を聞いて頭に上っていた血が下がり、止めようと思った。


「うっ、やっぱ」

「では始めよう。男に二言はないよな。さあ演習場にいくぞ」


 何も言えないまま決闘をすることになってしまった。

 演習場は広い庭に円状の舞台があるだけのところだった。台の下、周りにフィン、アーロ、ライアン、高官や国民など観客が集まる。席もない、見やすいよう上から見れるようにもなってない。兵士たちが観客が割り込まないようにするためか台の下にぴったりと張り付いている。

 完全に逃げられなかった。


 ……もうやるしかない。


「これよりアルカイド軍将軍ウィリアム・アルカイドと傭兵キリュウの決闘を行います」


 俺と将軍、審判役の兵士が台に上がり審判がそう言った。


「ルールとして観客や建物など外に被害が出る技、相手を殺す技の使用は禁じます」


 絶対零度はもちろんのこと、ファイアボールを撃つなら上のほうに向けないといけない。火柱を自分の腕にセットするのも無理だろう。


「相手がまいったと言うか、場外にだしたら決着とします。」


 ルール説明が終わった。お互い一定の距離を開けた位置につく。


 ……熱血。


 フライングだが魔法を使う。勝つためだ。バレなければ問題ない。


「では、始めっ」


 自分の近くにいくつか火柱をセットする。その間将軍は何もしてくることはなかった。剣も抜かずただ棒と立っている。


「ファイアボール」


 アンダースロウのようにファイアボールを投げる。将軍に向かった火球は直前で消えた。いつの間にか将軍は剣を抜いていた。


 ……斬った? いったいどうやって?


「うーん、ここでは君に制限を設けてしまうね。でも君が挑んできたんだからしょうがない。それにどこで戦っても僕の勝ちだが」


 突然頬が少し切れた。何をされたか全くわからない。


「魔力はすごいが、戦闘面はからっきしか。そこはよう特訓だね」


 熱血の温度をさらに高め、ファイアボールをいくつも作り少し上向きに変化するよう発射する。しかし、将軍の近くまで行くとすべて消された。いや、斬られた。


 ……火を斬る? ……は?


 わけがわからない。火なんてただ高温に燃えている塊なのだから斬っても消えないはずだ。燃やす元が消えたら消えるがそこらじゅうにある酸素が消えることなんてないはずだ。それに、消えてたら将軍も息ができないはずだ。


「ではこちらから行くよ。安心して訓練用で刃は潰してあるから」


 こっちに向かってくる。火柱があるところを素通りし、発動するよりも早くそこを抜けられ、気づいたらお腹に剣を打たれていた。


「うっ」


「おお、少し溶けてる。周りも燃えてる。」


 ……反応できないなら。


 自分の足元に火柱をセットする。将軍はかまわずこちらにきて火柱を踏んだと思ったらすぐに後ろへと後退した。


「さっき見たからね」

「ぐへっ」


 かまいたちが火柱を斬りさき中にいた俺に直撃し、場外ギリギリまで飛ばされた。


「君に近づくと危なそうだから遠くからやるよ」


 そういってかまいたちがいくつも飛んでくる。避けようとするがただ風を感じるだけの見えない攻撃、何発も当たる。だが、ギリギリの場所で踏みとどまる。


 ……真空の斬撃。


 何発もくらい火が消える原理がわかった。火を斬っているわけではなく、剣から風の斬撃で真空状態にして、火を消しているのか。酸素がなければ火が燃えない。つまり、空気をなくせば火が消えるということだ。これは相性が悪いだろう。おまけに熱血状態でも相手の動きに反応ができない。

 俺は熱血を解除する。


「そろそろ降参したらどうだい? 勝てないってわかったでしょ」

「その技があれば、俺を場外でも気絶でもできるんじゃないですか。そんなことができながら降参を迫るんですか」

「あっ、そういう挑発する?」


 風が吹く。将軍へ向かうように。ホムラも城壁に向かって魔法を撃つときこういうホムラを中心に周りが動いている感じがしていた。


 ……こういうのは何かヤバイのがくる前兆だ。


 絶対零度の要領で自分の周りの温度を一瞬で下げる。


「氷壁」

「死なないでよ。エアスティング」


ゴゴゴゴゴゴ


 氷の壁を作りなんとか防いだ。削られても空気を個体にしただけなのですぐに修復する。将軍の攻撃を初めて完璧に防いだ。


「わーお、すごいね、それ」


 触ったら死ぬのですぐに温度を上げ気体に戻す。-220度だ。凍傷なんかじゃすまされない。


「あれ? 戻しちゃっていいの? 次の攻撃防げる?」

「あれは触ったら死ぬんで。それにもう攻撃させない」


 自分の周りの温度をマイナス2度くらいにして空気中から氷塊を作り出す。それを将軍に向けて撃ちだす。だが、将軍は氷塊をすべて打ち砕いた。


「決着。勝者将軍」

「「え?」」


 俺と将軍2人ともどうして決着がついたかわからず審判の方を見る。


「ちょっとちょっと、なんで勝負がつくのさ」

「相手が死ぬ技を発動したため決着となりました」

「あ」

「えー、でも僕死んでないよ。彼だって攻撃を防いだだけですぐ消したじゃないか」

「ルールですので」


 ……死ぬとか言わなければよかった。そしたらバレなかったのに。


 口に手を当てショックし、将軍は審判に抗議を続けている。 

 後ろを向くと観客もどうして決着がついたかいまいちわかっていない。


「もし、またあの技を使い、それをうっかり将軍が触れてしまったらどうしますか。今の審判は私です。私に従ってください」

「はぁ」


 将軍は審判に丸め込まれたようだ。こちらに歩いてくる。


「しょうがない。僕の勝ちだ。約束どおり僕の部下になってもらう」


 みんなと離れることになってしまった。後ろを振り返ろうとしたがみんなの顔が見れず下を向くことしかできなかった。


キリュウの反則負け。将軍としては不本意な結末。キリュウとしては言わなきゃよかったと後悔。審判の人からしたら将軍死んだら色々とまずいし一方的なんだから別にいいだろ。観客としては何が起こった? とほとんどの人がわかってない。


次回 1章最終話

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