35-天馬のほうが俺よりつよそう
「天馬大丈夫?」
天馬に駆け寄ると黒い炎は消えていたが弱っていた。ただ状況は天馬の心配だけを許してくれない。先ほどの戦闘で北門にいた魔族たちが集まってきた。すぐに熱血を発動する。
「ホノカ様……」
今倒したやつの名前だろうか。魔族たちは驚いている。めちゃくちゃ強かった。魔族でもかなり上の方だったのだろう。
「ねぇ、人間の捕虜を探しているんだけど知らない?」
「お前に返す答えは死ねだあぁ」
魔族たちは俺へと向かって突進してきた。ただ突進してきた魔族は火柱で焼け死んだ。火柱を見て突進してくるやつがいなくなったので火柱超しにファイアボールを撃つ。火柱からでる火弾。不意を突かれまた数名に直撃し焼き殺した。
「ヒッヒヒーン」
後ろで天馬がいななき火柱へと突っ込んでいく。
「ちょ天馬」
火柱を解除し目の前を見ると。
「あ……」
天馬がものすごい勢いで魔族をひき殺していた。魔族たちは天馬にずつきされ、踏みつぶされ、蹴り飛ばされ、弱っているとは思えない。残った魔族は天馬があっという間に倒してしまった。
「ブルルル」
ほめてほしそうな顔で首を下げてこちらを見てくる。さっきまで殺戮のかぎりをつくしてたとは思えない。俺はありがとうと言い頭をなでると気持ちよさそうな顔をする。
……薄々思っていたけど天馬のほうが俺よりつよそうだなぁ。
敵にもすぐ気づき、俺がかわせない攻撃をとっさに動きかばってくれる。物理攻撃では一撃で敵を倒す。俺が勝っているのは魔力だけではなかろうか。
「じゃあいこう」
北門へと入り中を捜索する。ここには以前ルーカスに案内されたからある程度は部屋の配置が分かっている。下から手当たり次第ある部屋に入りフィンがいるかを探していく。いなかったら階をあがりすべての部屋を探し門の屋上まできた。
でっかい弓とかいろいろおいてある。少し歩くと寝ている人を見つけた。金髪に黒い服装。フィンだ。
「フィン……」
「……っ、キ、リュウか」
「大丈夫?」
「あ、あぁ」
ところどころ傷はあるがとりあえず問題なさそうだ。
「ねぇ、アーロは? 一緒じゃなかったの?」
「別々に、逃げ、たから」
「そっか」
アーロも無事なことを祈るばかりだ。
「歩ける? 下で休もう」
探すときに見つけた食糧がある部屋に来て物色する。完全に泥棒だが今は非常事態なんで、昨日から何も食べてない。
箱ひとつ持ち下へと運ぶ。
「天馬休憩しよ」
そういって天馬の前に箱を差し出し、箱からいくつか取ってフィンに渡しまたとって食べ始める。うん、おいしくない。
「こ、この魔獣は……」
「天馬、俺になついた赤兎馬に名前つけたら進化したの」
昨日別れてからの出来事をフィンへと教えていく。フィンもホムラが街を破壊していることは知っていたそうだ。そしてやはり天馬はめちゃくちゃ驚かれる。
「すまないな、心配……かけて。……昨日、アーロとは別れて逃げるとき、俺のほうにくる追手は全員倒したんだが、ホムラが現れてな。逃げれなかった……」
「生きててよかったよ」
「……ん」
「これからどうしよう」
「みんなのもとへ戻ろう。あまり勝手に、戦いにいくべきではない」
「もうだいぶ戦っているけどね」
俺とフィンと天馬は門を出てみんなが集まっている広場へ戻ることになった。そういえば何も言わずに飛んで行ってしまった。北門から広場までは結構距離ある。天馬も疲れていて2人を乗せて飛ぶのはきつそうなので歩いていくことになった。
歩いても近くには誰もいないが城門近くでは両陣戦っていて中央広場へ近づくほど戦う兵士たちの喧騒が大きくなる。
「あまり見ようとするな。こっちだ」
俺が戦っているほうを目線を向けていたのでフィンは注意する。そして、瓦礫の上を進んでいくことになった。
しかし目に見えるとどうしても見てしまう。一見するとアルカイドが側が押していて魔族側がどんどん後退している。ただし、その状況も長くは続かなかった。いや罠だったのだろう。魔族の軍が中央広場まで後退するとアルカイド軍の中央から爆発した。爆発は連鎖していきアルカイド軍がどんどん吹き飛ばされていく。
「え?」
あたり一面に兵士たちが飛んでいき俺のいるところにも何人かきた。鎧だけだったりもあれば体ごとのもある。
「あれ? キリュウ君」
そのなかに知っている顔があった。ルーカスだ。その体は下半分がなくなっていた。
「やっぱ……り……命……令違反は、するものじゃ……ないね」
そう言い残してルーカスは息を引き取った。
「いくぞ」
ルーカスは死んだ。おそらくホムラの放った魔法で。命令違反? つまり、兵士が出てきたのは街を国民を守るための行為で将軍の命令ではないのか。このままでは全員死んでしまう。フィンも、ライアンも、アーロも。ルーカスのように。
死ぬ? ルーカスは死んだ? 死んだ、死んだ、死んだ、死死死死死。
「おい、落ち着け」
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死。
気づいたら飛び出していた。足から炎をだしてジェットのように飛ぶ。後ろから天馬がついて来てその後ろでフィンが何か叫んでいる。でも今の俺の耳には入らなかった。
「あら? 私と戦うの?」
ホムラは挑発するようにそう言ってくる。
「実力差は分かっているはずでしょ?」
……わかっている。俺の炎の攻撃はホムラには効かない。魔法の破壊力も半端ない。でも、勝つ方法はある。
俺はホムラに突っ込んだ。
ホムラにリベンジなるか




