33-驚くよね
ダアアアアァァァァ
目の前で一つの建物が倒壊した。
ダアアアアァァァァ ダアアアアァァァァ
そこから波のように周りの建物も倒壊していく。
「天馬飛んで」
それだけ伝えると天馬は倒れた建物の方へ飛んだ。眼下には魔族の集団が突進して建物を倒していってる。こうやってポラリスや街の北側の建物を破壊してきたのか。
ただなぜ破壊しているのかわからない。そこに住んでいる人はみんな避難しているはずだ。
「なんで破壊しているの?」
「よく見ろ」
言われた通り見ているが城の付近にある家を次々と壊しているだけしかわからない。
……わからん。
「はぁ、あそこは高官の邸宅なんだよ。庭があったり、塀があったりするだろ」
「つまり?」
「家を破壊して、金や宝石を奪っているんだよ」
……ほう。いや非効率でしょ。倒壊した家から探すより家に侵入したほうがいいでしょ。
「家壊すより窓だけ壊した方がいいのに」
「いや、あれは国のやつらを焦らせてるんだ。高官の家だ。ああやって挑発しているんだよ」
住んでいるのは国の大臣や指揮官の立場の人たちとその家族。自分たちのものが壊されたり奪われたりするのが嫌で飛び出して来させるためにやっているそうだ。
「ほえ~」
ライアンの予想に関心していると急に天馬が駆けだした。
「えっ、ちょちょどうしたの?」
そこへ俺たちがさっきまでいたところに岩が飛んできた。天馬が姿勢を岩が飛んできた方向へ向けると目の前に5人の有翼人がいた。
「お前たち何者ですか」
リーダー格の有翼人がそう言ってくる。そして5人が何個も石を作り出した。
「キリュウ逃げるぞ」
「うん、天馬」
天馬は方向転換して西側へ駆け出した。天馬の圧倒的な速さで適当な道に入った。そのまま右往左往して道を進む。有翼人は追ってこなかった。
……あぶねぇ。手綱ちゃんと握ってなかったら落とされてたかも。
そのまま道をどんどん進んでいくとこの前いたようなところと同じ広場に出た。そこには3台の馬車が止まっている。
天馬は嘶き広場へ降り立った。馬車の方を見ると動かそうとしているのに赤兎馬が言うことを聞いていない。
「私達が食い止める。みんなは走って逃げて」
中から声がしてハンナと何人か出てきた。元騎士のメンバーだろうか。
「……。キリュウさん、ライアンさん。……え?」
どうやら俺たちを敵だと思ってたようだ。見たことのない魔獣がいるんだから当然の反応かもしれないが。
「これはいったい……」
「キリュウがあの赤兎馬に名前を付けて進化したんだ」
敵じゃないと分かり馬車からみんな出てきて全員一葉に驚いている。
……一晩たったら翼が生え、姿が変わっているんだもん。驚くよね。
警戒もなくなったことで地上に降りる。大勢にみられて居心地が悪かったのか天馬は屋根の上に飛んで行ってしまった。天馬が屋根の上に行くのを見送ってライアンが真面目な顔になった。
「アーロとフィンは来てないか」
「はい。まだ」
「ここがわからないのかな」
「ここがわからないだけならいい。捕まってたり殺されてないといいが」
「……無事だといいね」
アーロとフィンの心配に思っているとものすごい爆発音が轟いた。
「なに?」
「聞こえるかアルカイド諸君。私は四天王のひとり爆炎のホムラだ。」
ホムラの声がアルカイド中に響いた。
「今からアルカイドを滅ぼす。ウィリアムお前が城にずっと引きこもるならお前の街を滅ぼすだけだ」
そういい終えるとまた爆発が起こった。言葉通りどんどんと街を破壊するつもりなのだろう。
俺は天馬を呼んで上空から街を見下ろす。城付近の高官の家があるところはほとんどががれきの山になっている。西門側も中央広場から近いところは破壊されている。今破壊されているのは避難したところだがこれからどんどんこちらにくるのだろう。爆発音や建物が崩れる音とともに街からも人の悲鳴やら怒声が聞こえる。にもかかわらず城からは兵一人たりとも出てこない。
戦況をよく見るため西門の方へと飛んでいく。西門では馬車で国から出ようとしている人たちが門の前に集まっていた。そこを魔族の兵も攻撃しようとして傭兵に倒されている。あれが商人が雇っている傭兵で集まっているのが商人なのだろう。彼らは声をそろえて「開けろ」と叫んでいる。上空から見ていると分かった。西門でも魔族と戦っているのだ。門の上から攻撃している姿だけ確認できる。あそこにいれば戦闘の音は聞こえるはずなのに「開けろ」と叫んでいるのか。
違うところにまた人の集団を見つけた。屋上に集まり外壁へと縄で渡っている集団がいた。ポラリスの城へ侵入するときにやったように。外壁側に鎧を着た兵士らしき人がたっている。門ではなくここから脱出しろとでも言われたのだろうか。
この状況アルカイドは戦争に負けたのだろう。全く出てこない軍。破壊活動を続ける魔族。街から逃げようとする国民たち。
「ほう、ああやって逃げる方法があったか」
そのとき背後から声がした。急いで振り返るとそこには赤い髪に蒼い瞳。鳥のような赤い翼と金色羽毛で覆われた脚にかぎ爪がある半人半鳥。四天王ホムラの姿だった。
……気づかなかった⁉
天馬だったらさっきのように奇襲でも気づいて逃げてくれるはずなのにホムラが声を発してから逃げ始めたところだ。天馬は急いでホムラと距離をとってくれた。
「その魔獣はなんだ? 赤兎馬から進化したものか……。お前は……あの時の魔法使いか。ふーむ、赤兎馬を連れていたのか。ということは報告にあった空飛ぶ魔獣を連れたものとはお前のことか」
ホムラはこちらを向きながら一人ぼやいている。その態度は完全にこちらのことをなめている。自分への攻撃手段はないと思っているからだろう。迎撃のため魔法を発動しようとする。
「こっちに金髪の人間がいる。お前の仲間だろう。戦いはやめて私と話でもしないか」
ホムラが急にそう言いだした。
……金髪の人間とはフィンのことなのか。どうして?
俺は警戒したままホムラへと問う。
「どうしてフィンが?」
「あのこフィンと言うのね。そうよ、昨日捕まえたわ。せっかく見知った顔だったから殺さなかったのにあのこ何もしゃべらないんだもん。だからお前は私の話し相手になりなさい」




