30-無事だろうか
移動を始めてから3日目もうすぐ昼を迎えようとしていたところで煙が上がっているアルカイドが見えた。魔族がアルカイドを攻めるとしたら、南門か前回攻撃した北門のどちらか、または両方だそうだ。
南門から1キロほど離れたところで待機する。アーロが状況がどうなっているのか見てくるといいひとりで行ってしまった。
……あの煙はいったい何だろうか?
ここから見える範囲には魔族の姿は一切見えない。もしかしてもう落ちてしまったのだろうか。
1時間ほどたってアーロが帰ってきた。状況は良くないようだ。
「南門はもう開いていました。見た感じ魔族が街に侵入しています。ただ、城のほうではまだ戦っている感じでした。国民は城へ避難した可能性もあります」
……マスターは無事だろうか。ルーカスは。ルイスは。
知り合いたちの安否が気になってしまう。
「僕たちは西門へと向かいましょう」
アーロは西門へと向かう指示をだした。みんながどうなっているか確かめるために今すぐ南門へ行きたかったが何も言わずにアーロに指示に従い馬車を西へと歩ませた。
西門へ着くと門は閉まっていた。門の上には兵士が見える。まだ落ちていなくて安心した。
アーロが身分を伝え中へ入ろうと交渉をする。しかし、答えはNoである。当たり前だろう。戦争中に門を開ける兵士がいるわけがない。それに援軍としてもこちらの戦力は4人だ。保護してほしい人数のほうが多いのに門を開けるわけがない。
だが、アーロと個人的な付き合いがある兵士がいたらしく戦況を教えてくれたそうだ。
「戦争は2日前に始まったそうです。魔族軍は街の北東側に本陣を敷いたそうです。そして、1日目は北門での戦闘で北門は守り切ったそうです。しかし、2日目魔族の航空部隊が上空から南側を攻撃したそうです。そこで南門へも攻撃され南側からの侵入を許したそうです。」
「南側には傭兵がいるよね?」
「傭兵が戦争に参加するのは呼ばれた時だけです。今回は奇襲だったためアルカイドが呼ぶ時間がなくほとんどの傭兵が出払っているのでしょう。それにいても傭兵じゃあ空からの攻撃に対応はできません」
「なんで?」
「対空兵器を持っているのは軍だけだ。多分みんな集まって家や人々を守ってるんだろ」
「はい、そうみたいです。3日目は南門から入った魔族はそのまま城への門を攻撃、南側の住民は西側へ逃げたそうです。」
「ちっ、役に立たない国だぜ」
「どういうこと?」
フィンの説明を聞き終えた後ライアンはそうこぼした。俺はその意味を聞くため尋ねた。
「国民は守られるために税を払い、女は拉致られたのに戦争が起これば城へ避難させようとしない。普通なら魔族の軍が見えた時点で城へ避難させて門を固めるなり、兵を出し野戦にするなりするだろ。それに、国は女は常時保護、男も戦争中は保護すると約束してくれたのにも関わらずにこのざまだ。」
戦争のことはよくわからないが確かにそのほうが住民からみたら安全だろう。戦争中に直接の被害をくらうことはなさそうだ。
「なんでそれしなかったんだろう」
「今はそんなこと考えても仕方ありません。僕たちは南門からアルカイドに入りましょう」
「え? 南門から行くの?」
……南門は占拠されたんじゃないの?
「僕たちの馬は魔族が使う赤兎馬です。御者を確認できないよう体中を覆えばあっちは勝手に味方だと思うかもしれません。そこから西側に行き避難所へ行きます」
「そんなうまくいくの?」
「いかせるんです。フィン、陽動をお願いします」
門へ向かって馬車を走らせる。門の周りいた魔族の兵士が前に出て声をかけてくる。
「おーい、食糧か?」
ドサッ。
その兵士を先頭の馬車はひき殺した。4台の馬車がその後を通るが突然の出来事に魔族たちは固まった。
その固まっている門の周りの魔族たちに背後からフィンが奇襲した。フィンはそのまま魔族は何人か殺し街の東側へと逃げた。
フィンのおかげで魔族をひき殺したにも関わらずこっちを追ってくる魔族はいなかった。
「はあ……」
追ってこなかった安心からか俺はため息を吐いた。
……成功してよかったぁ……。緊張した……。
ばれて戦闘になったらどうなるかと内心ひやひやしていた。こちらには戦えない人たちがたくさんいる。守りながら戦うなんて4人じゃ手が回らなかっただろう。アーロはよくこんな賭けみたいな作戦をするものだ。いや、アルカイドに乗り込む作戦からしてやばかったね。
ずっとこんな作戦を立てていたのだろう。これからのことが少し、いやかなり不安になった。
馬車はそのまま西側への馬車でも入れそうな道に入った。そして周りを住宅に囲まれたちょっとした広場のようなところに馬車を止める。
「とりあえずここで休憩をします。僕とライアンで避難民たちがどこにいるのか探してきますので休んでいてください」
そう言ってアーロとライアンは出ていった。




