28-ファン音は出さなくていいと思う
騎士寮からアーロとライアンもでてくる。
「終わったー?」
俺は大声でそう聞いた。
「ああ、終わったぜー」
「終わりましたよー。でもまだ城内にもいるかもしれませんし、国の中にだっているでしょう。油断しないでくださいいねー」
ライアンとアーロが大声で返してくれた。俺は振り返り部屋のみんなに終わったことを告げた。みんなは抱き合ったり、万歳したりと喜んだ。いつの間にか服を着ている。それもめちゃくちゃ高そうな。
俺は自分の体の熱を冷ます。イメージはパソコンの冷却ファンだ。
ブーーーーン。ブーーーーン。
急に俺の体からそんな音が鳴りだしたからみんな笑い出した。いくらイメージが冷却ファンだからってファン音は出さなくていいと思うが。
3人ともここまで上がってきた。そして、囚われていた人たちにむかってフィンが頭を下げた。
「みんなすまなかった。王族は国を守れなかった。国を守るための王族なのに、それに俺はその王族でありながら逃げ出した。」
沈黙が部屋を支配する。
「いえ、フィンマーク様が無事なだけでよかったです。そして、ありがとうございました」
ハンナがそう言いだし頭を下げた、他の人もそれに続いて感謝を言い頭を下げた。フィンは驚いている表情をしている。そして涙を流した。
そこへその雰囲気をぶち壊す言葉が投げかけられた。
「フィンて王族だったのかあぁぁ⁉」
俺とアーロはライアンへ呆れた目を送る。俺とアーロの考えは同じだろう。
……今それ言わなくてもいいだろ。
その後、フィン、アーロ、ライアンの3人は城内に魔族がいないか確認のため見回りへと出かけた。俺も行こうとしたがだったが魔法は時間がかかるからとっさにでてきたとき対応できないだろと言われ警護として残された。
「キリュウさん、本当にありがとうございました。それにすごかったです。あれだけの軍勢を一人で相手するなんて」
「魔力量だけはすごく多いので」
「……そ、そうですか」
ハンナは若干ひいたような感じで返答をしてきた。まぁ、魔力多い=ヤリチンとか思われてそうだ。童貞なのに。めんどくさいから何も言わないけど。
日も沈んだことに3人は帰ってきた。大きな鍋とパンの詰まった籠と皿をもって。
その日の夕食はカレーであった。てかこの世界に来てカレー以外のまともな食事があっただろうか。酒場の食事はつまみみたいなものばっかだし、野営中は干し肉とかかたいパンとかだし。なんかこの世界にカレー以外のまともな食事があるかどうか不安になってきた。
食事中の話題は自然とそれぞれの戦闘の話になる。まず、俺の戦いを見ていた彼女たちが俺の戦っているときの姿を語る。
「すごく、かっこよかったです。どうして、魔法使いなのに自分に集まるようにするのかわからなかったですが、あれだけ実力があれば納得ですね」
「しかも、近くにいた私達は全然熱くなかったしね」
「そう? 私はもう顔が熱かったわ」
「ここまでくるときに運んでくれたのも紳士よねぇ」
……恥ずかしい。今までにこんなに褒められたことがあっただろうか……いな、ない。
俺のあまりの賛辞に嫉妬したのかライアンがムッとした顔を向けてくる。そのまま彼女たちの話がどんどん盛り上がっていく。
……やめて、俺のライフはもう0なの。
話をやめさせるためアーロに話題をふった。
「あ、アーロたちはどうだったの?」
話題をそらすためアーロに話をふる。
「私は騎士寮で休んでいた魔族たちを殺して回ってました。最初は寝ていたのを一方的に殺せたのですがフィンが魔法を放つせいで途中からは大変でしたよ」
アーロはそう言って、フィンの方を見る。
「俺が、魔法を放ってせいにするな」
「お、おいらは騎士寮に来る魔族たちを一掃していた。最初はフィンと2人でミノタウロスの相手をしていたが援軍がきたからな。まぁ数が多いだけでそれほど大したことはなかったな」
ライアン食い気味に話し始める。そのままどう相手は倒していったかを細かく言っていく。ハンナや一部の女性のみ話を聞いているが他の人は興味がなさそうだ。話を聞いている人たちは騎士だろうか。
「すごいですね。ポラリスの騎士団はあの軍勢に一方的にやられましたのに」
「あのときは、ホムラや配下の強力な、魔物が何体もいた。今回とは違う」
「ホムラはいなかったのですか」
「ホムラや大勢の魔族たちはいまアルカイドへ侵攻しています。私達はそのすきにこの国を取り戻しにきました。」
「では早くアルカイドへ向かわないと。アルカイドが落ちたらこの国もどっちみち……」
ハンナの返答にみんな不安な顔になる。また魔族の手に落ちたいと思うものはいないからだ。
「……わかっている」
「明日向かいます。皆さんも私達に同行していただきます。この国はまだ魔族が残っているかもしれませんし、魔族側から援軍がくる可能性もありますから。行くまでの経路の安全もしっかり確保しますので。……大丈夫です。アルカイドの軍は強力ですし、落ちることはありません」
アーロは安心させるようにみんなに語りかける。みんなを救ったこと、先ほどの戦いの話で俺たちの強さは証明されている。彼女たちは不安そうな表情から安心した表情へと変わっていった。
次第に話は明日のことへとなっていった。夕食を食べ明日からについて話した後俺たちは明日に備えて寝ることになった。




