27-ラグの解消法
ベランダから城の外を見回す。城壁にいる魔族たちも先ほどの音に反応し、騎士寮へ向かっているものもいればそのまま壁で警戒しているものもいる。
俺は大きな火の弾をだし、ファイアボールの準備をする。いつもは手のひらサイズだが、今回は上半身くらいのサイズである。大きくて目立ったのかこっちに気付いたものたちもいる。
「こっちだあぁぁぁ! ……ファイアボール!」
俺は自分に注意を向かせ騎士寮へ向かわせないため大声で叫び騎士寮へと向かって俺に気付いてなかったゴブリンへ向かって火の弾を発射した。着弾し、爆発が起こる。ゴブリンは跡形もなく消し炭になった。
俺の大声とさっきのファイアボールで城の壁や庭にいた魔族はみんなこちらに気付いた。気づいた魔族たちは城内に向かって走っていく。これでフィンたちのところへ誰も行かせないことができるだろう。
パッと見た感じ空を飛んでいるものや壁をよじ登ってきそうなのはいなさそうだ。全員部屋の入り口からくる可能性がある。だから、部屋のみんなにそのことを伝える。
「さっき魔族へこちらに注意を向けるようにしました。この部屋へ向かってくるでしょう。ハンナさん部屋の近くまできたら交代してください」
そのまま外を見続けるが騎士寮から壁を突き破り何かが飛び出してきた。緑色の牛のような二足歩行の生物だ。ミノタウロスだろうか。すぐに起き上がり、斧を拾い身構えている。
壊れた壁からはフィンがでてきた。ライアンとアーロは見えない。パッと見た感じ優勢のように見える。
いつでも援護できるよう火の弾を10個ほどだし準備する。一瞬入口のほうを見るがまだ向かってきた魔族が来る感じはない。
城壁からミノタウロスのほうへ向かってる魔族が何体か見える。
……まだいたのか⁉
俺はすぐに向かっている魔族へファイアボールを撃つ。警戒していたのもいたのだろう。命中したのは6人ほどであった。
ミノタウロスがこちらに気付く。そして叫びだした。
「賊が、まだいたか‼ ……いったいお前たちは何をしている‼」
ミノタウロスのもとへ駆けつけた魔族たちの首が飛んだ。
……なっ、仲間を殺すなんて。
「ファイアボール‼」
俺はミノタウロスに向かってファイアボールを発射した。だが、その火の弾を斧で振り払われた。そして、ファイアボールと同時に突撃していたフィンがミノタウロスの左腕を斬り落とす。
「キリュウさん、来ました」
このままいけば勝てそうなところで登ってきた魔族たちがこちらに来た。俺はすぐにハンナと場所を交代する。
交代したときにちょうど階段から魔族たちが上がってくる。それは緑色の体で小さなツノがあるゴブリンもいれば、犬の頭をしたコボルト、二足歩行の豚のオークの3種類の魔族が見える。
俺は熱血を使い体を熱くする。火の魔法は作ってから魔法を放つまでラグが生じる。それは俺が魔法を使い慣れてないせいだと思っていた。だが、フィンや他の傭兵に聞くとみんなそうなのだそうだ。だからあらかじめ準備をすると言っていた。俺もそれを行っている。でも、アイゼンベアードと戦うときは一瞬でファイアボールを作り発射していた。その違いを考えてるときに思ったのが体温である。火の魔法は使えば体が熱くなる。ラグの解消法それは体温が上がることで発動時間が早くなると考えた。だから、今俺は目の前の軍勢を相手にするため、自分の体温を上げる熱血を発動した。
「火柱‼」
火柱は本来トラップの魔法で受動的に発動するが、今回は俺の手に付けて能動的に発動させた。火柱は床のカーペットを燃やし、前方にいた魔族たちに襲い掛かる。前にいた魔族が消し炭になったことでこっちに向かっていた軍勢が止まった。
「ファイアボール」
止まった間にいくつもの火の弾を生成し、発射した。その数は1秒に3つほど。30秒ほどやり続けた結果そこは火災現場になっていた。死体が燃え上がり建物に引火している。窓ガラスも溶けだしている。目の前で大量に死んでいくせいで残った魔族たちも戦意を喪失している。
……もう殺す必要はないよね。
「戦う気がないなら武器を捨てて城から出ていって。さもなければ……」
俺は右手に火の弾をだし脅す。
「……ッ⁉」
俺の言葉を聞いて残った魔族は武器を捨てあっせたように階段を降りていった。俺は前方の熱を吸収し、火を消す。そして熱血も解除した。
「ハァ……ハァ……」
疲れた。戦っていた時間は短いが命のやり取りはそうとう疲れる。俺は中腰になり頭を下げた。熱血を解除してもまだ体は熱いままだ。でも、これは援護をするには熱いほうが都合がいいかもしれない。
「大丈夫ですか」
心配そうにハンナが駆け寄ってくるがすぐに止める。もし触れられたら火傷をさせてしまう。
「……触らないで。ごめんなさい。……今、体が熱いので触れたら……多分けがします。俺は外の援護に向かうんで入口を見といてください。また、昇ってくるかもしれませんから。……スー……ハー」
「お疲れ様です。フィンマーク様も敵の将を打ち取りました」
呼吸を整え外へと向かおうとする俺にハンナはそう言った。ベランダに出て外を見るとハンナが言った通り倒れたミノタウロスと返り血を浴びたフィンがいた。
投稿始めてから1か月が経ちました。1時期毎日投稿がとぎれましたが、読んでくれている方ありがとうございます。1章が終わるまでは毎日投稿で行きたいと思います。(多分)




