26-何が童貞には刺激が強いだ
牢に閉じ込められた女性たちを助け出した後はポラリス内の魔族の殲滅が残された任務だ。まずは魔族の兵士が多くいる、ポラリスの騎士が住んでいた騎士寮、王族の世話などの城で生活をしていた人々が住んでいた家令寮のどちらかにいくことになった。この2つは今は魔族の兵士の住居区になっているらしい。つかまっていた人たちの話から身につけているものが高価な魔族は騎士寮に多いことがわかった。つまり、騎士寮にいる魔族のほうが強いと思われる。そして、他にも騎士寮の魔族の多くはどこかへ行き今は少ないという情報も得た。これらの情報により騎士寮に行くことになった。
だが、問題が残されていた。つかまっていた人たちを騎士寮に連れて行くわけにはいかない。危ないし、足手まといにもなる。でもおいていくにしてもここに魔族が来ないとも限らない。そう悩んでいると一人の女性が声を上げた。
「私はポラリスで騎士をしていたハンナといいます。ここには騎士をしていたものがいますので私たちでみんなを守りますのでどうか4人で行ってください」
「だめだ」
赤髪の女騎士ハンナはそう述べてきたがフィンがすぐに反対した。
「しかし、フィンマーク様」
フィンマーク⁉ フィンのフルネームか。逃亡してた身だから名前隠してたのかな?
俺がフィンの名前について考えているとフィンが今までにないくらいはきはきと話し始めた。
「装備のないお前たちに何ができる。それに訓練はしていたのか。飯は食べれていたか」
「そ、それは……」
「キリュウ、王の寝室まで全員を連れていけ。あそこは窓やベランダもあり、戦況を把握しやすい。上から魔法もはなちやすいだろう。そこから俺たちを援護してくれ。ハンナ、キリュウの案内を頼む。アーロ、ライアン俺たち3人で騎士寮へと向かう」
フィンが一方的に作戦を言ってきた。だが、アーロは別れないようにと言っていた。これでいいのかとアーロを見ればアーロはそれで納得したようにうなずいた。
「ではそれでいきましょう」
そういうわけで3人は騎士寮へと向かい、俺はつかまっていた人たち30人ほどと寝室までいくことになった。
俺はハンナに案内されながら寝室へと向かう。案内されるということは当然その人を後ろから見ることになる。というわけでいろいろと見えてしまう。その体はすごくひどかった。体中に無数の傷や汚れがあり、ごはんを食べれてないのかやせ細っていた。髪もボサボサである。
これが平時で健康的だったならHな気分で高揚したのだが、戦闘中にしかもひどく傷ついたからだを見て悲しくなった。殺し、殺されることは覚悟した。割り切った。だが、これはあんまりだ。俺は甘かった。何が童貞には刺激が強いだ。周りの人を見ればその目は恥ずかしがってもなく、みんな生きることに必死になっている。そして、俺はフィンにそのみんなを守ることを任されたのだ。
俺は両手で自分の頬を叩く。
「どうかしましたか」
突然の行動にびっくりしたのだろう。ハンナがそう聞いてきた。
「なんでもない」
そう言って俺は魔法を発動する。魔法で火の鞭をつくる。火は触れても熱くないように暖かいくらいの温度にして、後方にいた辛そうに走っている人3人に巻き付け、空中に浮かせる。軽い。3人も持ち上げているのに軽すぎる。筋力でもっていないが、魔力で持っているにしても余裕がある。だから、進行に遅れてきそうな人たちもどんどん巻き付け浮かせていく。
「ありがとうございます」
俺が鞭で持ち上げるたびにそう返ってきた。
5階まである城を登っていく。順調に走っていたが階段を上り終わる直前にハンナが止まった。
「どうかしましたか」
「ここを曲がって30mほど先に廊下の奥にゴブリンが3体います」
見えてないのにわかるのか……すごい。
「わかりました。ファイアボール」
俺は3つの火の弾を準備する。集中するため鞭を解除し持ち上げていた人たちを全員おろす。
壁の角の脇からのぞくと本当にゴブリンが3人いる。俺は3人それぞれの頭めがけて火の弾を打ち込んだ。火の弾はみごとヘッドショットして3人を絶命させる。
「いきましょう」
そう言って俺が鞭を準備すると彼女たちは静止してきた。
「もうその魔法はいいです」「あと少しですし自分たちで歩けますから」「その代わり攻撃などはすべてお任せします」
「そうですか」
俺は鞭をしまい歩き出した。寝室は廊下の一番奥もうあと少しだ。
「ハンナさん、中に誰かいますか」
「いや、いない。なんなら後ろからつけてきているやつもいない」
「わかりました。それにしてもどうやったらそんなにわかるんですか」
「主人の護衛には索敵は必須の技術だ。奴隷になってもこの技術は衰えてない。というよりさらに鮮麗された」
そういう会話をしていると寝室についた。ドアをあけた正面には壁が大きく破壊され開放的になっている。うん、俺が壊したやつだ。橋があるほうにはベランダがあり、橋側を一望できる。反対側には本棚が荒らされその中に扉があった。あれが前通ってきた隠し通路だろう。
ベランダに出、橋の方を見る。魔族たちが気づいた気配はなさそうだ。
「ハンナさん、騎士寮はどこ」
「右側の建物」
そう言われて右側の建物に目を移す。青い屋根の3階立ての建物だ。まだ戦闘が始まった感じはなさそうだ。まだ戦闘も始まってないのに俺が魔法を放ったら警戒されフィンたちが動きづらくなるだろう。
「皆さんとりあえず休んでください。ただ、これから騎士寮で戦闘が始まりますし俺もここから援護をしないといけません。だから、交代交代でいいのでドアや穴から誰かこないか見てきたら教えてください。俺はベランダで外の警戒をしているので」
俺はつかまっていた人たちにそう言う。そういうと何人かの人はベッドへと倒れこんだ。あんな硬い地面にいては満足に寝ることすらできなかったのだろう。
「私はドアの方を警戒しておきます」
ハンナさんがそう言ってくる。
「お願いします」
ハンナさんはすごい。満身創痍のはずなのに、疲れを見せていない。そういう関心をしていると騎士寮のから大きな音が響く。
……始まった。
ベランダへ飛び出し騎士寮の方を見れば煙が出ている。フィンの魔法だろうか。壁の方を見れば魔族たちも騎士寮ほ方へ注目しているようだ。何人かはすでに走り出している。
俺も魔法の準備を行う。
……戦闘開始‼




