23-ふぁ~、熱い、顔が熱い
ホムラのところから逃げてから1日が経った。
あれから空を飛んで拠点に戻り気絶している3人に布をかけた。
逃げ延びた時、なりふり構っていられず派手に魔力を消費したので俺も疲れてすぐ寝たかったが、追手が来る可能性がある。逃げ方がジェットエンジンと派手だった。通った後には煙が飛行機雲のように一定の時間残るので居場所がばれやすいと思い、周りを警戒し寝ずに夜を明かした。
警戒している間3人の様態も見ていた。3人とも火傷がある。それに、アーロとライアンは高熱を出していた。だから、その辺に流れている川に布を浸し額にのせる。
逃げてからそれなりの時間がたったが追手がくるような気配はなかった。
俺は服を脱ぎ水浴びをする。下水道のせいで全身が臭くて臭くて。いろいろとせっぱ詰まってたせいか俺も火傷をしていた。火傷あとに水があたるとしみるような痛みがくる。でも火傷をしたら冷やさないといけない。俺は全裸のまま川で長時間すごしてしまった。一様周りの警戒はしていたのだが森は静かなまま日が沈むことになった。
日が沈んだ頃合いにフィンが起きてきた。
「おはよう、体調が悪くなかったら水浴びしたら火傷冷やした方がいいし臭いよ」
俺がそういうとフィンも服を脱ぎ川へ入ってきた。
「ひ……昼はすまな……かった」
「え?」
「復讐……で、あ……頭がいっぱいに、なってどうかし……ていた」
「俺だって何もできなかった。逃げるだけで精一杯だったんだからお互い様だよ」
「……あぁ」
気まずい。フィンと出会ってから1か月もたってるのに無口なせいかあまり話していない事実に思いつく。ライアンはコミュ力高いし、アーロ基本的に話しかけてくるほうだから困らない。
ただ、フィンは無口、俺もコミュ力がない。つまり、会話ができない。
「つぎっ」
声が上ずってしまった。ぎょっとした顔でフィンがこちらを向いてくる。
「次、どう闘うか考えよう。今日の反省をいかしてまた次勝てばいいんだから」
「そうだ、な」
「そういえば、よくあんな通路知ってたね」
会話を続けるために話題を変えてみる。偵察のときにみつけたのかな~と思いながら聞いてみると衝撃の答えが返ってきた。
「あそこの通路から、逃げたからな」
「え? あ、あそこってポラリスが落ちた時?」
つい食い気味に質問してしまったことを後悔する。フィンはあのときの恨みがそうとうあるはずなのに思い出すようなことを言ってしまった。
「い、いや~……ごめん。こ、答えたくなかったら」
「俺は王子だった」
「答えなくていいんだよ。……え?」
……今なんて言った。お、王子?
「お、俺は、あのとき、国が、あ、荒らされるのを見て、父上と母上に、逃げろと言われ、い、妹と一緒に、に、逃げてきたんだが……」
フィンが辛そうに昔あったことを話し出す。こんなときなんて反応すればいいのかわからない。だから黙って話を聞くことにした。
「も、森を抜け、平野を走り、また森を抜けと、ずっと歩いた、歩いた」
「そ、そして、やっと、ついたアル……カイドで、傭兵になった」
「そっか」
文量にしたら短い話だ。でも長く、重い話であった。一緒に妹も逃げたといっていたがそれもアルカイドと魔族の戦争で死んだか、連れていかれたのだろう。
「こんな、ことを、話した、のはキリュウ、が初めてだな」
「アーロとライアンは?」
「妹がいる、ことだけしか、知らない」
俺はフィンの手を取る。
「復讐が悪いことじゃない。俺だってそんなことあったら怒る、恨む、復讐したくなる。でも一人で突っ走らないでフィンには俺が俺たちがいるから。協力させてほしい。俺の攻撃は通らなかったから足手まといかもしれないけどそれでも協力させてほしい。フィンは一人じゃないから」
長い沈黙が訪れる。早く、なにかを言ってほしい。時間が経ってくるとさっきのセリフが恥ずかしくなってくる。これで黙れ雑魚とか言われたらどうしよう。落ち込みから立ち直れなそう。
「じゃぁ、手伝って、くれ」
だいぶ時間は立ったがいやそんなに立たなかったかもしれないけど、フィンが返事を返してくれた。俺はそれに即うなずく。
「うん」
「じゃあ、魔力を、あげる」
「へ?」
フィンから手を放そうとしたがフィンが腕をつかんで離せない。そのまま顔がどんどん近づいてくる。
「アーロから、聞いた。キリュウとやると、他者の魔力も、上がりやすいと」
……そんなの? ……てか近い近い近い。
俺の唇とフィンの唇が重なった。始めての口づけ。ファーストキスだ。
……初めての交為も男で初めてのキスも男だなんて。てかキスよりも交為が先って。
俺はそのままずるずると流されていくのだった。
ギラギラとした太陽が木々の間から照らすまぶしさで俺は目覚めた。となりではアーロとライアンはまだ寝ていた。額にのっている布は冷たいままだ。フィンが変えてくれたのだろう。そのフィンはあたりにはいない。
……もしかして、一人でまた乗り込みに。
フィンを探しにあたりを走り散策する。だが、全く見つからない。そのままポラリスへ侵入できる穴まできた。もし、本当に行ったのなら帰ってくることは可能だろうか。たとえ俺が行ったとしても俺も帰ることは可能だろうか。そんなふうに考えていると頭上の葉が揺れた。そして、誰かが飛び降りてきた。
「こんな、とこ、ろで……なにして、いる」
降りてきた人物は俺が探していたフィンであった。
「あ、よかった」
「?」
俺がほっとしたのをフィンは不思議そうな顔をする。
「起きたらいなかったから一人で乗り込んだのかと」
俺が不安を口にすると心外と思ったのかすぐキャンプ地のほうへ歩き出した。
「き……昨日あんなこと、言われたのに、一人、で行く、か」
……昨日。ふぁ~、熱い、顔が熱い。
昨日のことを思い出し、顔が真っ赤になる。
……恥ずかしいこと言うわ~。初キスするわ~。てか後半の記憶がない。俺いつ寝たの?
「何、している? 戻らない、のか?」
俺が一人思い出して悶えているとフィンはそう冷静に行ってきた。いつもの無口で冷静なフィンらしい感じがする。戻ってよかったと思い俺とフィンはキャンプ地へ戻っていった。




