表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創星のエクソダス  作者: 白銀 一騎
皇女教育惑星奮闘編
36/45

36.アル=シオンの戦士

 ラディアは恐縮して目の前の男の話を聞いていた。金髪縦ロールの綺麗な髪で青い目をした彼女は普通にしていればどこかのお嬢様に見える。


 グロリア隊長がいなくなり、若干17歳の若さで隊長に抜擢された彼女は常に甲冑姿でいた。


 アル=シオンの最高幹部の男は勿体無いと心の隅で思っていたが、彼女の強さは先代のグロリア同等かそれ以上の強さであり、致し方ないと思っていた。男はラディアに優しくそれでいて力強い口調で話した。


「今朝方銀河パトロールより連絡があり、ドミニク前国王の刑が決定した。やはり実兄のライカ王やその他大勢の殺害に関与していたことが判明した。そのことを受けドミニクのアル=シオン王としての除名処分が決まった」


 ラディアは拳を強く握りしめた。ライカ王の優しかった顔が目に浮かんだ。ライカ王はアル=シオンの戦闘員としてまだ幼い少女だったラディアに対して優しく声をかけてくれたり、辛かった時もよく頭を撫でてくれた、そんなライカ王は誰からも好かれる存在だった。そんな王を殺害したドミニク大公をラディアは恨んでいた。


 グロリア隊長がいない間そんな奴を全力で守っていた自分を思うと余計に腹立たしかった。


 男は悔しそうに唇を噛み締めているラディアを見てゆっくりと話し出した。


「ドミニクがいなくなり、アル=シオン星のために次の王を決めなければならない。そこで我々は秘密裏に王族の調査を行った結果、思いもよらないことが判明した」


「思いもよらないこと?」


 ラディアは大きな青い目を男に向けて男の話に聞き入った。


「ライカ王に一人娘がいることがわかった」


「ライカ王にお嬢様が?」


「そうだ。ある事情で生きていることを隠してひっそりと暮らしていることがわかった」


「どこにいるのですか?」


「それがわからない。総力をあげて探しているが、情報が全くつかめない」


「そうですか……」


「だが。居場所を知っていそうな人物を見つけることには成功した」


「誰ですか?」


「スペースプラネット社のグレンという人物だ」


「わかりました。私の任務はそのグレンとコンタクトをとりライカ王のお嬢様をここに連れてくれてくればいいですか?」


「少し違う」


「……違う?」


「皇女教育機構というのを知っているか?」


「はい……惑星の皇女たちを集めて一定期間教育して立派な女性にするという制度ですか?」


「そうだその教育を受けていない皇女は外交的に不利になる。アル=シオンの王となるのであれば教育を全うするのは必然なんだ」


「そういうものですか……」


「そこでラディア。君にはライカ王の娘を探し出し、皇女教育期間を全うして正式な皇女になれるようにしてほしい」


「わかりました。それで私を含めて何人のチームで行きますか?」


「?……君一人で行くんだよ…」


「え……?、私一人で皇女様を護衛するのですか?」


「ああ。心配はいらない。すでに彼女には宇宙最強のエイシェントという戦士が付いているから護衛は彼らに任せればいい。あくまでも君には彼女が表舞台に出れるようにお膳立てを頼みたい」


 ラディアはすぐにグレンとコンタクトを取るためアル=シオンを出発した。


 ◇


「いたぞ! あそこだ!!」


 グレンは必死に走った。相変わらず宇宙海賊の闇を暴くため潜入取材をしていたが、今は心底後悔していた。


 先日のウロボロス海賊の一件で自分の姿が全宇宙に衛星放送されていたので、もうこんな危険な仕事はやめようと上司に申し出ていたが、グレンしか適任者がいないという理由でまた潜入取材をしていた矢先に海賊の一人がTVで自分を見たと言われすぐに素性がバレてしまった。


 それもこれもグレンにはテレポーテーションの特殊能力があり、素性がバレてピンチになっても逃げることができるという理由から抜擢されただけである。この時ほど自分の能力を呪ったことはなかった。グレンは海賊たちに追いかけられながらもテレポートの能力で脱出地点まで逃げていた。


 素性がバレた時にいつでも逃げ出せるようにあらかじめ脱出地点を決めている。そこに行けば仲間がすぐに宇宙船を始動できるように待機しているので、すぐにこの星を脱出できる手筈になっている。


 グレンは町外れの港の倉庫街に来た。ここのイースト地区の六番倉庫に脱出艇がある。目当ての倉庫を探すと周りに人がいないことを確認した。テレポートの能力で追手を引き離したことが幸いして、周りには人の気配がなかったので、ゆっくりと目的の倉庫の中に入っていった。


 倉庫の中は真っ暗で中央に脱出艇があるのがぼんやり見えたが、人の気配がなかった。待機しているはずの仲間がいないことを不審に思ったが、とりあえず脱出艇の中で待機していようと思い慎重に脱出艇に近づいた。するといきなり倉庫の明かりがついて目の前にスペースプラネットの仲間が見えたが、様子がおかしかった。それもそのはず後ろで海賊たちが仲間を羽交い締めにしていた。


「よくも我々の組織をコケにしてくれたな。ゼノン……いや、本当の名前はグレン? だったかな」


 そこまでバレているのか、グレンは海賊達の情報網に感心した。


「俺たちをどうするつもりだ?」


「これまで貴様が掴んだ情報をこちらに渡せば手荒なことはしないと約束しよう」


 海賊との約束が守られることはない。先のウロボロス海賊団の事件で痛いほど身に染みていた。グレンはテレポートで逃げることができないか考えていた。テレポートを使うと全身が倦怠感に包まれので何度も使用することはできないが、あと一回程度であればテレポートできる自信があった。


(なんとか仲間の体に触れることができれば一緒にテレポートして逃げることができる)


 そう思ったグレンは海賊達に従うようにした。どうやら海賊達は俺がスペースプラネットの社員と言うことは知っていてもテレポートという特殊能力が使えることは知らない様子だった。グレンは周りを海賊達に取り囲まれて反撃しないように両手を拘束された。海賊達はグレンが抵抗しないと見ると仲間の近くに連れていった。


 グレンは仲間の近くに近づいた時、拘束された両手を伸ばして仲間を掴もうとした瞬間海賊に両腕を掴まれて仲間を掴むことができなかった。


「おっと。お前の特殊能力がテレポートだってことは百も承知なんだよ」


 最悪の状況だ。グレンは仲間と共に逃げることができなくなり慌てた。これで俺もお終いかと観念した時に『ガシャーーーーン』と大きな音がして倉庫のシャッターが人形に窪んだ。おそらく人が勢いよくシャッターにぶつかったのだろう。


 外から多くの男達の叫び声が聞こえていたが、すぐに静かになった。周りの海賊達はすぐに戦闘態勢になっていた。暫くして倉庫のシャッターの下から手が見えたかと思うと鋼鉄製のシャッターが紙のように『バリバリバリ』と音を立てて上に曲がり、人が倉庫の中に入ってきた。入ってきた人物を見てその場にいた者は誰しも自分の目を疑った。入ってきた人物は金髪縦ロールの美少女だった。


 海賊達はすぐにその少女目掛けて銃を発砲したが少女は一瞬でその場にいる海賊達を倒してしまった。少女はゆっくりとグレンに近づくと襟首を掴んで訪ねてきた。


「ライカ王のお嬢様の居場所を知りたい。悪いが時間が無いので嘘をついたらこの場で殺す」


 少女の目を見ると本気で言っていることがわかった。容姿は可憐な美少女でも鋼鉄製の扉を簡単に破壊する人物だ、本気を出せば自分では太刀打ちできないとグレンは思った。


「あ……あんたは誰だ?」


「私はアル=シオンのエージェントをしているラディアという者だ。あなたがお嬢さんの居場所を知っていると聞いて来た」


「その人物に会ってどうするつもりだ?」


「ライカ王の意志を繋いでもらいたい」


「それは……、アル=シオンの王にしたいということか?」


「そうだ」


 グレンはカレンを守るエイシェントからアル=シオンのエージェントが訪ねてきたら、自分達の居場所を教えるように言われていたことを思い出した。


 グレンが地球の場所を教えるとすぐにラディアという金髪縦ロールの可憐な少女はいなくなった。

楽しかった。


また読みたい。と思った方は


下の☆☆☆☆☆に評価をつけて頂けると嬉しいです。


面白ければ☆5個、つまらなかったら☆1つで結構です。


感じたまま評価して下さい。


また、ブックマークの登録もできればよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ