アランという少年
お久しぶりです、古戦場終わりましたね……
今回体調が悪くてあんまり周回出来なかったんですけども……
さて、この前の後書きにあった通り少し過去の話になります!
何度かに分けて投稿しようと思います!
過去の話をするにあたって先に俺の方から話をすることになった
スザンナさんにそもそもなんで聖女であるリリアナをたすけることになったのかその説明をする為だ
それにリリアナの話は覚悟がいりそうだから……
今回話す過去の時点でも相当酷かったのが悪化しているのだから――
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さて過去の話をするとしよう
俺はお母さんと2人で貧民街で暮らしていた
ここには家や財産を失った人達が多く身を寄せている
ワンルームもある空き家に住まうことが出来た俺たちは幸運なほうだ
一銭も持っていないものは屋根もない場所で暮らすしかないからだ
貧民街のなかでもうちはマシなものだった
それも全てはお母さんが働いて日銭を稼いでくれていたからだ
それにお母さんは若く綺麗だった
なぜ貧民街で暮らしているのか分からないくらい物書きや計算が得意だった
そのお陰もあって食堂で働くことが出来たのだ
父親は会ったこともないし気にはなるが母はその話を一切しないし何より幸せに暮らせていたから
でも、それは全てお母さんのお陰であって現状でいいとは思えなかった
何せお母さんは朝から夜まで働きづめだったから
さすがに子供がいたので遅過ぎる時間までということはなかった
そういった意味ではお母さんは職場に恵まれていたんだと思う
でもお母さんに苦労をかけっぱなしというのは心苦しかったので7歳の頃から物書きや計算を教えてもらいつつ体を少しでも鍛えるようにした
そうすれば仕事の幅が広がると思ったからだ
力仕事だろうが何だろうがやってやる、そしてお母さんを楽させてあげたいそういう気持ちが強かった
「ねぇ、お母さん」
「なぁに?アラン」
「いつか立派な騎士になってお母さんが大きな家で過ごせるように頑張るね!」
「……そっか、お母さん楽しみにしてるね。でも無理しないでいいからね」
「うん!」
お母さんは一瞬酷く驚いたような、寂しいようなそんな顔をしてそれからすぐに柔らかな笑顔でそう答えた
……
今思うとお母さんはきっと分かっていたんだろう
騎士というものが立派なものではなく、むしろ腐りきっていたことに
幼かった自分は分かっていなかったんだ
教会こそが諸悪の根源だということに――
アランが9歳を迎えた頃からお母さんは体調をよく崩すようになってきた
寝たきりの状態が続くようになり仕事も碌に行けない日が続くようになった
そうして家賃を払うのがギリギリになってきた
お母さんが大変な今この家を追い出されるのはまずい
そう思い俺は本来働くことが認められている10歳を迎える前に年齢を偽り働くことにした
文字や計算を覚えていたおかげか仕事には困らなかった
でも何度か年齢詐称がバレたこともありいくつかの仕事は辞めなくてはならなくなった
そうして噂は広まっていき雇ってくれる場所はどんどん少なくなっていった
10歳を迎えた頃には詐称していた事実もあり雇ってくれる場所は片手で数える程になってしまった
なんとか食いつないでいけるだけのお金はあったが薬を買うお金や医者に見てもらうお金までは到底届かなかった
「ごめんね、お母さん……僕が不甲斐ないばかりに……」
「いいのよ、アラン。けほっけほっ……むしろ貴方に迷惑をかけてごめんなさいね」
せめてお母さんの病気を治すことが出来れば……
そんな時教会で聖水が配られていると聞いた
聖水はどんな不浄も病気も怪我も癒してくれる万能な水だという
それがあればお母さんを治すことができる
そう思い教会に聖水を貰いに行くとこにした
……だが聖水を貰うことは叶わなかった
教会の入口で騎士に門前払いを受けたのだ
「なんだ、ガキ。ここはお前みたいに汚い奴が来る場所じゃねぇぞ」
「お母さんが病院なんです、聖水をください」
「聞こえなかったのか?来るんじゃねぇお客さんの邪魔だ」
「あぐっ……」
騎士に首を捕まれ投げられた
「とっとと失せろよな」
「なんで、こんな……騎士がこんなことするなんて」
「「ははっ」」
門番をしていた騎士2人が顔を見合わせて笑っている
なんだか騎士を目指していたのが信じられなくて悔しくなる
「そうかそうか、ガキんちょは騎士になりたかったのかな?」
「無理だ無理だ、諦めな。生まれも半端な奴に務まる仕事じゃないさ」
「半端どころかそれ以下な生活送ってそうだけどな……ぷっ」
「「ハハッ」」
騎士達は大笑いしている
何がおかしいんだよ
拳を握る力がどんどん強くなるのが分かる
でもここで逆らうわけにはいかない
頭を地につけてお願いする
「薬がないと、お母さんが……だからお願いします」
騎士達はスンと笑うのを辞める
同時につまらないものを見るような目でこちらを見ている
「なんかシラケたな」
「もっと反抗的な目をしてるくらいが面白いのになぁ」
「だな、どうせ聖水なんて貰えないのによ」
「どう、して」
「さっきからいい加減めんどくせぇな――」
そういって騎士の1人がアランの腹を思いっきり蹴りあげた
アランはそのまま転がるように路肩のゴミ置き場に突っ込む
「お前みたいなのにはそこがお似合いだよ」
そうして騎士は何も無かったかのように業務に戻る
周りを歩く人もアランを避けて、見ないようにして進んでいく
どうして、誰も助けてくれないんだよ……
涙を流してアランはその場で気を失ってしまった