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哀しき聖女に救いの手を  作者: 凪咲琥珀
1章傷だらけの君に救いを
3/25

3度目の再会

今回も少し短めです

リリアナは1人自室で泣いていた

あの少年との再会から3日の時が経っていた

もうあの人は無事ではないだろう

今思えばかつての面影がある

()()()()を守る為に来てくれたのだろう

とても嬉しかった

でもそれと同時にとても悲しかった

助かるわけないと分かっていたから

諦めていたから

なのに一瞬安心してしまった

もしかしたらと

でもそんなことは無かった

結果あの人はもう会えなくなってしまった

いつも辛い時悲しい時あの時のことを思い出していた

そうしていつか来る騎士様を思い浮かべていた

それだけが心の救いだった

でもそれがもう叶うことはないのだと、そう思うとまた涙が溢れてくる


「どうせならどこかで幸せにいて欲しかったのに……」


そうすれば助けには来てくれないかもしれない

でもそれでいいと思えた

勝手に期待してそうしてどんな責め苦にも耐えれた気がしたから

でももうそんな希望は意味が無い

今まで自分の身より全て他人を優先してきた

それで助かっている人がいるならせめてもの救いになるから

心が壊れずに済むから

でももう限界が近い気がしていた

ピシピシと心の亀裂が大きくなっていく感覚がある


「もうヤダよ、誰か助けてよ――」


ガシャンと窓が割れ月の光が差し込む


「――え?」

「あぁ任せろ、必ず俺が助け出して君を守る騎士になるから」


急なことに驚き、でも生きていたことに安堵し涙した

そうして彼と3度目の再会を果たした





┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

遡ること1時間


アランは地下から抜け出すと舟を漕いでいる男――おそらく見張りをしていたであろう騎士をそのまま斬り捨てる

なんだか気分がいい

確かに教会自体恨んでいたし、そこに務めるやつもクソ喰らえと思っていた

でも自分でいうのも変な話だがここまで異常なやつではなかったと思う

人を殺すことに安らぐことはなかった

きっと瘴気を吸い込んだことで感情の起伏が激しくなったのだろう

だがこれは危険だ

殺すこと自体はいい、そういう戦いだから

でもこの感情は良くない

どうにかこの気持ちを抑えないといけない

そう考えているうちに交代の騎士がやってくる


「おまえなにを――」


余計なことを言われる前にまた斬り捨てる

またあの高揚感が襲ってくるが必死に抑える

ノロイめ、こんな後遺症があるなんて知らないぞ


(ケケッ言っただろ?呑まれないよう気をつけろと)


確かにそれは言っていたがあの一時的なものではなかったのか


(そんな甘いもんじゃないサ。それに早く抑えつけるか慣れろよ。そんなんじゃまだ上位騎士には勝てねぇぞ)


どういうことだ?

以前よりも力は十分に増してるハズだろ?


(――全く。あくまで今の状態は瘴気の力で増してるいわばドーピングだ。常に使ってていい物じゃねぇ。今回は仕方ないが今後もそれだと持たねぇだろ。その力をちゃんと制御して必要な時に必要な時分出せるようにしろ)


確かにそれはその通りだ


(それにな、上位騎士は特殊な鎧を所持してる。神の加護が乗ってる物だ。それに対抗するためのものも勿論あるがその調子だとその鎧に呑み込まれるのがオチだぞ。今後の目的の1つに生身で上位騎士とタメ張れる位には鍛え直せ、いいな?)


うん、ずっとこの力に頼りすぎるのは良くないとは思っていたけど想像以上に道のりが長そうだ

だがそうしないと守れるものも守れない、やってやるさ


(勢いは1丁前だな、まぁ悪くねぇ)


まったく、一言余計だ

そのままアランは聖女様が居るであろう部屋を目指す

騎士を1人見つけるとそこからどんどんと騎士が出てくる

まるであの黒い虫みたいだ

まぁ黒い虫も忌避感はあるが存在を悪いとは思わない

それと違ってコイツらは完全な害悪だ

だから駆除してやらねば

思わず顔が緩みそうになる

――だめだ、気を抜くとどうしても考えが過激になる

心を落ち着けつつそうして1人ずつ対処していく

結局殺していることに変わりはないが気持ちの問題だ

殺すことに楽しさを覚えてしまうと戻れなくなりそうな気がするし教会のヤツら以外にも被害を出してしまうような――そんな直感がある

あくまで聖女様や地下で見たこれ以上教会の犠牲者を出さない為にも必要なことだと思わなければ

そこに違いがあるのか分からない

でも道を踏み外さないようにそうやって自分に言い聞かせ続けた

最ももう戻れる保証はないのだが

それでも長くあの聖女様の近くにいる為に


通ってきた道には多くの騎士だったものが転がっていた

その数は100をゆうに越えていた

何とかあの高揚感を抑えつつなんとか聖女様が居るはずの部屋の前に辿り着いた

だがその部屋には()()()()()()が働いており開けることも斬ることも出来ず、力押ししてもビクともしないのだ


「なんだこれは、中から開けてもらおうにも聞こえてるか分からないし……」


(きっと神の奇跡ってやつだろうな。力を解放すれば無理やり壊すことは出来るが中がどうなってるか分からない以上オススメはしないな)


「くそ、ここまで来たのにどうすれば……」


(ケケッ中の様子が見れてかつ扉よりも脆ければいいんだから()()()()()ってのはどうだ?)


「あ?そうか、窓から侵入すればいいのか」


よし、そうと決まれば1度1()()に戻って壁伝いに4()()まで登ろう

そうしてアランは約15mほどの聖女様の部屋まで()()()登っていった

そのまま中を覗くとベッドの上で泣いている聖女様を見つけた

泣いていたことは悲しかったがでもそこに聖女様がいたことに安堵した

見た感じ窓には流石に細工はないようだ

できる限り音を立てて騒ぎを大きくしない方法を考える

方法を思いつきこれなら中に侵入することは問題ないだろと考えていた


『もうヤダよ、誰か助けてよ――』


その言葉はハッキリとアランの耳に聞こえた

そんなの我慢出来るわけが無い

早く助けてあげたい一心で思いっきり窓を割り中へ侵入する

聖女様は驚いていた

まぁ窓から人が来るとは思わないよなぁ

でもそんなことよりも今はあの約束を――


「あぁ任せろ、必ず俺が助けだして君を守る騎士になるから」


その言葉を聞いてまた聖女様は泣き出したのだった

励みになりますで良ければ評価よろしくお願いします!


次は長めにする予定です

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