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哀しき聖女に救いの手を  作者: 凪咲琥珀
二章臆病者の彼に武運を
24/25

プロローグ

いつかの光景を思い出す

他国との戦争の指揮をしていた私は撤退の指示をした

それだけ戦場は追い込まれていたのだ

私はこの選択を間違っていたとは思わない

確かに戦場から逃げ出すことは誇りを捨てることだろう

でもすべては命あっての物種

今回救われた命があったというだけで私は満足だった


だが、上はそれで満足はできない

他国を蹂躙せよという命令に背いた形になるからだ

帰還したとき私は非難を一心に浴びることとなった

周りからは『臆病者』と後ろ指をさされることにもなった

そうして戦線からは外され教会で常駐することになる

この降格に不服はあったが、仕方ないと諦めるしかなかった

私には結局それだけの力はなかったからだ

だから不名誉な二つ名も甘んじて受け入れた

それでも多くの命を救うことができたという誇りは胸に秘めたまま


それから数年たった時、一人の少女の見張りを任されることになった

その少女は不安定という言葉が似あっていたと思う

自分の立場を幼いながらも理解しているからこそ甘えたくても甘えられない

助けを求めようにも信用できる人がいない

そういった状況に置かれている少女だった

正直最初は何も考えずに見張りの仕事を続けていた

でも日を追うごとに疑問を感じるようになった

それこそ最初にいたシスターがいなくなり、その後長年教会に貢献していた老婆が姿を消してからだろう


さすがに何かおかしいと思うようになった

それから少女に少しだけ興味が出てきた

見張りとしては失格なのだろう

でも自分が感じたことを無視することこそ我を曲げるようなものだった

これまで自分が正しいと思うことを貫いてきたのだ

だからこそ見捨てられなかった


————結論から言えば間違ってはいなかったとそう言い切れる

だが、同時に教会の深い闇を知ってしまった

知ってしまったからには生きていられるはずはなかったのだ

来る日も来る日も実験と称する非合法的な肉体改造に体は悲鳴を上げた

息も絶えたえな中ついに廃棄の日が訪れた

薬により体を壊されそのまま森へと廃棄された

だが、度重なる実験によるものかいつしか体は再び動き出した

例え体が冷たく、心臓が動いてなくともそれでも意識ははっきりとしていた

そうして森から歩き出し一つの村に辿り着いたのだ


村では離れの家を貰い静かに暮らしていた

暮らしているうちに思うのはあの少女が今どうしているのか

それだけがただただ気がかりだった

私に何かできればいいが、一度死んだ身として聖都に戻るのは難しいだろう

だからどうかかの少女が元気であることを祈るしかなかったのだ

新章スタートです!

さてこの人は一体だれなのか、どう二人に絡んでいくのか楽しみにしていただければ幸いです。

毎週更新予定なのでブクマの登録と下の評価をしていただければ励みになります!


また、昨日から新作「据え膳食わぬは男の恥?いやいや幼女にそれはまずいだろう」も投稿しましたのでよければそちらも読んでみてください!

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