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哀しき聖女に救いの手を  作者: 凪咲琥珀
1章傷だらけの君に救いを
14/25

終わりの始まり

スザンナに匿ってもらってから地下での生活は1週間が経った

アランとリリアナは念の為外出は控えスザンナに食料の調達や情報収集など頼りきっている状態だ

ずっとお世話になりっぱなしなのでいつかこの恩を返したいと思う


この地下での生活中は極力家事の手伝いなどはしてきたのでだいぶ慣れてきたと思う

子供たちともだいぶ仲良くなれたと思うのでこういう生活も悪くないなと感じてきた

強いて言うなら朝の日差しが恋しいくらいか

日が全く入らないのでロウソクの明かりのみを頼りにしている

それでも教会の地下の薄暗さに比べれば断然マシではあるが


リリアナが結構笑うようになったのは個人的にも嬉しい部分だ

やはり彼女は明るく笑っていた方がいいと思う

あの諦めたような笑顔や泣き顔はどうしても見ていて痛々しいものがあった

まだまだ先は長いがそれでもやっぱり連れ出して良かったと心から思える


だから少し気が引けてしまう

そろそろここを経つべきだといつ伝えるかそれが最近の悩みだ

スザンナの情報だとまだ慌ただしさは残るが落ち着いてきているという

騎士の多くがが外へ調査に乗り出したこともあり、今なら外に出る事が容易いかもしれない


ここにいるのにもいつかは限界がある

それに子供達だけならまだスザンナが対処出来るだろう

でも2人が見つかるのは良くない

スザンナが言うには聖女誘拐としてリリアナの人相が張り出されており、アランは顔はまだ知られてはいないが身長などの特徴は張り出されているらしい

これが今でも外出を控えている理由なのだが、アランの情報が微妙に少ないことに違和感を覚える


自分なりになるべく騎士は出会い頭に殺していたので顔を見ているものは確かに少ない

それでも最後に追ってきていた騎士らは後ろ姿しか見られていないので情報も間違いないと言える

でも不思議と違和感が拭えない

あの教皇とアランは対峙した

その上でその場にいた騎士に負け地下で実験台にされ廃棄された

自分でも生きているのは不思議だと思うがそれでもあの教皇がその可能性を見捨てるだろうか

あの狡猾そうな教皇に限って有り得ないように思えてしまう

だからこそこの違和感が怖いのだろう


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

教会 教皇の自室


教皇が1人ワインを飲みながら笑う

楽しみを抑えられない

教皇である自分に喧嘩をうるようなやつなんて久しぶりだ

だからこそ笑みがこぼれる

久しく()()で遊ぶことは無かったがなかなかどうしてこのいいタイミングで現れてくれたのか

何より実験に耐えうる個体にもなり得るし、死んだはずなのにまだ動き回っている

何故か瘴気は減っているしデータも沢山取れた

おかげで新しい実験にも着手できる

素晴らしい、本当に素晴らしい

これまでの退屈がすべてどうでもよく思える


()()()()()()()()()()

この恵に感謝をせねば


「神への供物もまた用意せねば」


あぁ本当に素晴らしい

こんな日々がもっと続いてくれるよう、長く長く醜く足掻いて這いずり回って欲しい

もっともっとその命の輝きを磨いて欲しい

そうして最後に私が希望と共に摘み取ってあげたい

その光景を想像しながら薄らと歪む顔は神々しいものなんてわけなく、ただただ禍々しいものであった


「せいぜい逃げ回ってくれよ、私が長く長く楽しめるように」


あぁ笑いが止まらない

全く、楽しみを取っておきたいがために我慢するのも大変なものだな

そうだ、そろそろ動き出すはずだろう

まだ収穫は早いが少しくらいつついても問題ない、よね?


そうと決まれば準備を始めよう

さあさあ祭りの始まりだ

楽しい楽しい狩りの時間だ






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