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哀しき聖女に救いの手を  作者: 凪咲琥珀
1章傷だらけの君に救いを
11/25

再会を夢見て

少女の手を引いて走る

彼女は外の世界を知らないらしい

だったら俺が色んな所に連れていこう

そうなればきっと楽しいと思う

いつかの未来に夢を馳せる


――そんな夢はすぐに壊れることになる


「おい、聖女を連れてどこに行く!止まれ!!」


2人で走るが外に出たことない少女に合わせていたためか騎士に見つかることになる

なんとか巻こうと身を隠しつつ入ってきた場所を目指す

だが騎士は多くなりどんどん状況は悪くなっていく


「やっぱり、私は置いていった方が、いいと思います」


息も絶え絶えな少女はそう言う

少女も自分が足引っ張っていることを分かっているんだろう

それでもここで少女を置いていくという選択肢はない

それがせめてもプライドだから


「大丈夫、必ず君を外へ連れていくから。ここにいるよりも絶対それがいいと思うから」


なにも根拠のない言葉ではある

それでも彼女を安心させたくて精一杯希望を伝える

この状況でこんな拙い言葉ではなにも意味は無いのかもしれない

少しでも彼女の希望になればそれがきっと諦め慣れている彼女への力になるはずだから


「さあ、先に進もう」

「……はい」


そうして再び彼女の手を引き走り出す

もう少しで目的の場所へ着くはずだ……

ここまで数時間の出来事のはずが長かったように感じる

これで少女が心から笑える日々を送れるはずだ

そんな日々を想像しながら進む


――だが現実はそう甘くはない


ようやく出口が見えてきたのに騎士達が2人に気づく

出口まであと少しなのに出口に着く前に騎士に追いつかれてしまう距離だ


「もう大丈夫ですから、私を置いて行ってください。その聖水を届けないといけない人がいるんでしょう?」

「っ……」


そう、お母さんの為に聖水を手に入れるのが本来の目的だ

だから今捕まる訳にはいかない

確かに今日会ったばかりの少女ではあるがどうしても見捨てたくはない

それはきっと少女が自分の中で特別な存在なんだろうと思う

会って数時間でそんな事はあるのかと思う

でもこの出会いはきっと必然だったと心から思う

だからこそ迷ってしまう

そんな時に少女から提案される


「ね、騎士様。私は死ぬことはありません、大丈夫です。だから今は行ってください。そしていつか私を迎えに来てください」


少女はそう言いながら精一杯の笑顔を向ける

きっとそれは少女の優しさだろう

本当は辛いはずなのに安心させようと笑顔でそんなことを言う

だったらそれに報いるために今精一杯の笑顔で言おう


「必ず僕が貴女を守る騎士になります。だから今は待っていてください。いつか強くなって貴方を迎えに行きます」




目の前の()()()()傷らだけの少女に誓う

今はまだ無力で何もしてあげることができない

だからこそこの誓いだけは守って見せる

この現状に少年は悔しくて泣きだしそうになった

でも少女の前で泣くわけにはいかないと歯を食いしばりその場を離れる

少年がその場を離れると少女を追っていた聖騎士が現れる

少女を連れ去ろうとした少年を騎士が追おうとするも少女がそれを引き留める




こうしてアランはその場から逃げることができた


そこから追っ手が来ることはなく家に着くことが出来た

そして聖水を無事にお母さんへ渡すことが出来た

そのかいもあってお母さんの体調は良くなった

ベッドから出ることは出来なかったが前よりも明るい姿を見ることが出来た

あの夜のことも話した

いつか物語のような強い騎士になりたいと伝えると笑っていた

そして俺は毎日訓練を行うようになった

その過程で傭兵業でお金を稼ぎつつお母さんを支えた


でもそれから半年経ってお母さんは亡くなってしまった

聖水によって病は治すことが出来ていたと思う

それでも長年の蓄積した病によって体はボロボロになっていた

ベッドから出ることが出来なかったのもそのせいだと思う

医者に見せることも出来ず、聖水もそれ以上手に入れられなかったから何が原因なのかは俺には分からない

聖水は届けられたがお母さんを救うことは出来なかった

自分は医者ではないから仕方ないかもしれない

でもそれで納得は出来なかった


お母さんは穏やかな顔で死んだ

最期に約束を守れる強い子になりなさいと言っていた

少女との約束と母との最期の約束

それらは絶対に守らなければならない

そうして俺は彼女守れるよう強くなるよう努力し続けた



sideリリアナ


少女は少年の最後の言葉に嬉しく思うも叶うことはないだろうと諦めていた

自分が我慢をすればいいのだから――そうして少女は涙も流すことなく聖騎士に追従する


でもその誓いは忘れられることは出来なくて諦めるのは慣れていた

それでもこの誓いはいつか果たされるとそう信じていたかった


騎士たちに連れられ教皇の部屋へ向かう

醜く太った教皇、父は部屋の中央に座って待っていた


「リリアナよ、何やら賊が入ったようだな?」

「みたいですね」


私は関係ないかのようにそう言う


「ふむ、まぁよい。聖水1本くらいどうとでもなる」

「え?」


教皇の顔がニヤリと歪む


「なんで知ってるのかって?さて、何でだろうな。知らないというお前に教えるつもりは無いが」


教皇は下卑た笑みを浮かべる

時折この人はなんでも知ってるかのように状況を把握していることがある

何故そんな真似ができるかわからない

恐らく()()()()の協力者がいるんだと思う

私から見てもこの人はなんの才もないタダの木偶だ

だから必ず裏があると思う

そう考えていると教皇から最悪な提案があった


「そういえばリリアナよ、お前は外に出たいのだったな。丁度いいいい加減周りも聖女を役立てろと煩かったのだ。お前に布教の()()()をしてもらおうと思ってな」

「なんでそんなことをしないとなんですか」

「いいのか?あの少年調べればすぐに分かるぞ?」

「っ……」


きっとすでに情報はあるのだろう

その上でそのネタを有効に使ってくる

ほんとに嫌な人だ


「うんうん、引き受けてくれるよなぁ。そうだどうせならその体を最大限有効に活用しようじゃないか。その体はどれだけ傷ついても治るのだ。実験の結果がそう言っている。なら()()()()()()()()()()()()()()()()()。そう思わないか?」


教皇は更に顔を歪ませ笑う

それから私は絶望の縁にたたされることになる

体を使われる布教はただの苦痛でしかない

ある時は刻まれある時は犯されある時は戦場に送られる

私の心は死にかけだった

それでも母が遺してくれた歌とあの日の再会の約束が心と命を繋ぎ止めていた

私はいつか訪れる幸せな日々を夢見て過ごす


そうして月日は流れる

今日は珍しくとても星がいっぱい見える

そんな星に願い事をする

出来れば早く迎えが来てくれますように――


投稿何とか出来ました!

ギリギリセーフ?いやアウトですね……


さてようやく2人の過去の話を終わらせられました

次から現在に戻ります

ちょっとくらいお話が続いたので一時は明るい(地下なので周りは暗いけども)話にする予定です!

今週あげる予定ですのでお待ちください!

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