04 花屋の息子による現状把握
9時だけに投稿するとは言っていない。(気まぐれ)
※11/23 タイトルが分かりにくかった為、改題しました。
「......ラン!! フラン起きて、花を調達しに行くわよ!!昨日約束したじゃない! 」
「あら、ティアナちゃん。......もうちょっと優しく起こしてあげたら......?」
「あ!モニアータさん! 甘くしちゃダメですよ、フランは寝起きが悪いんだから!」
「そうね、確かにいつも寝惚けているものね......」
今朝、お腹に重りが乗せられたかのような衝撃を受け、目を覚ました。
その上、僕は頭を執拗に叩かれているようだった。それと同時に、僕を呼びかけている聞き馴染みの無い声も聞こえてきた。
俺は騒がしいな、と思いながらもお腹に乗っているであろう少女に焦点を合わせた。
その少女は白い髪をツインテールにまとめており、視線の先にあったバイオレットの瞳と目が合ってしまった。俺は気まずくなったため、すぐ目を逸らした。そして、視界に入ったもう一人の人物を見るため、その人に目を向けた。
しかし、隣に立っている女性とも目が合ってしまった。女性は琥珀色の瞳をしており、薄桃色の髪を綺麗に伸ばしていた。
「......えっと、あなた方は、誰......んぐっ......!?」
「......っ!!あのっ、モニアータさんはお店に戻っててくださいっ!!」
「えっと......? ......取り敢えず、ティアナちゃん。フランちゃんに優しく、ね?」
「分かってますっ!!」
俺は、見覚えの無い人達に、あなた方は誰だ、と訪ねようとした時のことだった。
突然、僕のお腹にいた少女が口を塞いできたのだ。そして、その少女は焦った様子でモニアータという女性をそのままの体勢で追い出していた。
そしてこの部屋には女性が居なくなり、彼女が黙ってしまったため、居心地の悪い静寂が訪れた。
「..............っ......」
「......えっと、あの、君は......?」
あの女性を追い出した少女は、暫くの無言の後、突然泣き出してしまった。俺は自分の部屋で知らない少女が泣いている状況にオロオロしていた。
しかし、その口から出てきた言葉は、ある女性を思い出させるようなものだった。
「......っ......お久し、ぶりです。薫さんっ......!!」
「えっ、あ、うん。......久しぶりなの、かな?」
その言葉は間違いなく、ついさっきまで一緒にいた俺のマネージャーの『白藤凛』の言葉だった。
「うぅ......あの、ほんとに、あの時は、ごめんなさい.....」
少女......いや、彼女は泣きながら俺に縋りついてきた。
寝ている体勢の俺の胸元に縋りついてきた彼女は、まるで甘えてくる幼子のようになっていた。
そして、寝起きだった俺は、彼女が眠った時に安心したのか、また微睡みから睡眠へと移行した。
◇
それで、俺と彼女はそのまま同じベッドで眠ってしまい、それに気づいたのはお昼ご飯のために俺の母であるらしいモニアータさんが起こしにきた時だった。
「二人で抱き合いながら同じベッドで寝るなんて......あ、全然大丈夫よ?二人がそんな関係でも私は歓迎するわ」
「も、モニアータさん違いますっ......!!」
「あら、ごめんなさいね、ティアナちゃん。そうよね、お年頃だものね」
「んもうっ!モニアータさんの意地悪!!」
モニアータさんが言うには、俺たちが起こされた時、ほぼ抱き合っているような体勢になっていたらしい。
今はティアナがモニアータさんの前に立ち、抗議をしている状態だ。そんな彼女らを無視して、俺はベッドに腰かけながら混乱している頭を整理していた。
しかし、母のモニアータさんには眺めているように見えてしまったらしく、傍観者にはさせないとばかりに次の標的にされてしまった。
「ねぇねぇ、フランちゃんはティアナちゃんの事どう思ってるの?」
「......!?え、と......あの、嫌いでは、無いです」
「そうねぇ、うんうんうん。分かったわ、私は何も言わないでおくわね」
その時に俺は考え事をしていた。そのせいで、慌てて答えたため、素っ気ない返事になってしまった。
だが、それは違和感無く受け入れ、彼女は満足気な表情をしていた。その後、モニアータさんはそんな意味深な言葉を言い残し、部屋の外へと出ていった。
俺はホッと一息をつき、凛も緊張の糸が切れたかのようにベッドの隣に腰掛け、話を始めた。
「......取り敢えず、薫さんに状況説明......ですよね?」
「まぁ、うん。ちょっと受け答え危なかったから、そうしてくれると嬉しいな」
「あー......まだそんな感じなんですかぁ......」
「うん、ほんの少しだけしか状況が理解出来てない、と思う」
そう、俺はまだ理解出来ていないことが沢山あった。理解出来ていたのは僅かな情報だけだった。
その情報というのは
一つ目は、この身体が転生した俺の身体であり、『フラン』という名前ということ。
二つ目は、『フラン』の幼馴染の『ティアナ』が凛の転生した身体であること。
三つ目は、モニアータという女性が『フラン』の母であり、かなり騒がしいということ。
大まかに言うと、この三つ以外は理解出来ていなかったり、頭が情報として処理しきれていなかったりしているのだ。
その情報を理解したお陰で、今朝起きた時に思考回路が不可解なことになっていた理由を理解した。
それは、『犬飼薫』と『フラン』が同時に存在していた為だったらしい。
そのため、朝の時点では『フラン』は自分の身に起こったに対しては『犬飼薫』ではなく『フラン』が情報として自然に処理していたのだ。
例えば、お腹の上にものを乗せられたこと。そして頭を叩かれた、自分を呼びかけているという情報は『フラン』として処理されていたわけだ。
それ以外の情報に関しては全て、『犬飼薫』が処理していたため、不自然で無茶苦茶な思考回路になっていたのだ。
「あのー、薫さん聞いてますー?」
「あ、ごめん、ちょっとまだ頭が混乱してるんだ」
「......大丈夫ですか?」
「......ダメかもしれない」
やはり、今までの大人の自分が邪魔をして記憶が散らかってしまっている。
その整理をするため、俺は一人用のベッドに倒れようとした。しかし、それは腰付近の僅かな違和感により、倒れられなかった。
「ねぇ、凛......いや、ティアナ」
「はい、なんでしょうか?」
「これって、何だ?」
俺は着ていた履物と下着を僅かにずり下げ、背中側の服の裾を上げたところに見えるだろうものを、首を捻って何があるかを視認した。そして、彼女も俺の視線の先を追っていた。
しかし、視線の先にあったものは何故、そこにあるのかと思ってしまうようなものだった。
「なぁ、俺って人間じゃない何か......植物なったのか?」
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