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テトラポッドにうちひしがれて  作者: 池間ふゆ
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9

 「はい、そこ違うでしょ。もっと声出して。そんなんじゃ手本になれないだろ。」

 小さな台座の上に乗ったただ棒を振っている人が言った。

 

 それぞれの段に乗っている人が隣の人と顔を見合わせては少しあきれた顔をする。

 

 卒業式、人生で三回目。

 

 保育園はどっちなのだろうか。記憶には全くない。先生の名前も忘れてしまった。その頃はみんなでドッチボールばかりしていた記憶がある。まだ、女の人、女の子が強いと思っていた時だ。

 

 小学校。五年間も在校生として卒業式に同席していた。在校生からの挨拶。五年生が、

 「桜のつぼみも膨らみ。」をいいだしたら始まる。六年聞き続けた言葉。三年生まではピュアだった。四年生になると聞きたびに桜のつぼみはまだふくらんでねーよ。

 そう心の中でつぶやいた。

 比較的少なかった人数。六年間クラスは変わらず秘密ですら全員共有している関係にまでなっていた。

 

 中学校。こんな簡素なのかそう思った。練習も数回。小学生の頃は十数回、二十回も越していたのかもしれない、特に思い入れのないそんな卒業式だった。

 

 高校なんて練習なんて一回ぐらいだろう。思っていたのは僕だけだったろうか。

 

 1オクターブ離れた声。精一杯出そうとしている。裏声。もうあきらめている、自慢の地声。なんでかわからないがうまいようにきれいに混ざっている。

 たまに的外れな声も聞こえてくるが、僕の的には当たる。その瞬間どこかくすぐったい。

 

 憂鬱な練習が終わった。もう、卒業か。

 早く大人になりたいねそんなことをみんなで言っていた時が懐かしい。あと少しだ。

 

 この学校でであった人たちとはこれからどのような中になっていくんだろう。


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