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超能力犯罪集団vs地域猫活動団体

作者: ひよ六

私はしがない私立探偵をしているのだが、

今回とんでもなく非現実的な事案に

出会してしまった。


それはよくある浮気調査の依頼から始まった。

妻に浮気の疑いがあるという夫からの依頼だった。

調査を進めてゆくと、

妻が密会していた男は浮気相手などではなく、

犯罪の共謀者だった事が判った。

私はその事実を夫に伝え、

あとは警察に任せる事にした。


しかし二週間後、今度はその夫婦から

とあるホテルの一室に呼び出され、

とんでもない事情を聞かされた。


その妻は私に飲み物を勧めると、

冷蔵庫の扉を開けずに

中の飲み物を取り出して見せた。

彼女は物質を突き抜けて物を掴み取る

能力の持ち主だという。

この能力を使い、SNSで知り合った

透視能力を持つ男と共謀して

窃盗を働いていたらしい。


夫に説得されて

自分の行いを悔いた妻だったが、

超能力者のコミュニティで既に

彼女の能力が知れ渡ってしまっていた。

彼女は稀な能力の持ち主として重宝され、

世界にネットワークを持つ超能力犯罪集団に

監視されている状態であるという。

警察に相談する訳にもゆかず、

夫婦が無事に暮らせるようになる術を

私に相談したいという訳だ。


私はこの事案を解決してくれそうな団体に

心当たりがあった。

飼い猫捜索の依頼を受けた時に知り合った

NPO法人シュレーディンガーという団体だ。

表向きは地域猫活動を行う団体なのだが、

この団体の真の活動は

「世界線の観測」なのだそうだ。

世界の出来事は全て猫の観測によって

決定されるのだという。


私は当時その話を軽く聞き流していたが、

今こそ彼らの力が必要なのではないかと思った。

それ位私自身も錯乱していたのかも知れない。


シュレーディンガーの職員に連絡を取ると、

直ぐにここへ来てくれる事になった。

間もなくやって来た職員は夫婦から事情を

聞いた後、地域猫活動のボランティアに

参加する事を条件として夫婦の安全を約束した。


頭の整理がつかないまま私は事務所に戻った。

助手に珈琲を出されても私は放心したままだった。


半年後、あの夫から連絡が来た。

超能力者のコミュニティサイトによると、

国際警察の働きで超能力犯罪集団の

首謀者達が逮捕されたという。

そして自首した妻は刑務所に居たのだが、

妊娠した事をきっかけに超能力が

使えなくなっていたというのだ。

これで恐らくこの夫婦は無事に暮らせるだろう。


シュレーディンガーの観測によって

この結果が決定されたという事なのだろうか。

私の考えが及ぶ事案ではなかった。

助手はどさくさに紛れて、保護猫を

この事務所で引き取ろうと提案してきた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 内容がなかなかにブッ飛んでておもしろかった。
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